「イン・ザ・プール」 奥田 英朗 (著) 文芸春秋
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装丁がいい。 表紙も見返しも扉も青いプールの写真で、ゆらゆらした水面が消毒薬である塩素の匂いを思い出す。
で、さわやかなスポーツ小説か恋愛小説のたぐいかと思いきや全然ちがったー!
本当はフツーなんだけれどちょっと精神が疲れ気味の人が、なんの因果かフツーじゃない精神科医に
通ってしまう短編連作。
いやあ、ほんとこの精神科医がアヤシゲ。
やたら注射したがるし、患者にむかって「ストレスの原因を探るとか、(中略)やんないから」と宣言してしまう。
これでもかってくらい患者を振り回し、そして本人はのびのび。
なんだかなー、なんだかなーって思いながら読みつつ、物語の最後にはほろり。
そして意外にも読後がすっきり。
ぴりりとした唐辛子というより、ほのかに効く荒引きブラックペッパー。
要は登場人物がこの精神科医に振り回されたように、私もこの本に振り回されました。はー。
(11/02/2003)
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