Jellyfish's Note

「オクシタニア」 佐藤 賢一(著)  集英社


十三世紀中世の、フランス南部オクシタニアをめぐる物語。
すごいです。
序盤からうなってしまったのは、登場人物のあふれる生活感。
着物や持ち物など小道具による表現は最小限で、人の感情や持っている価値観でその時代が匂いたっている。

十字軍、戦争、そしてキリスト教たる信仰とどうやって係わり合い生きていくか。
生と死の狭間で、精神的にも肉体的にも苦しむ生々しい人の生き様がすごい。
そして吐き出した息の先に、とてもせつないラブストーリーへと発展していく。

壮大な構成の底辺に、「来世というものがあったら一緒に」という小さな希望が流れているところがなんともせつない。
そしてエピローグで広がる風景のすばらしさ。
(02/08/2004)


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