Jellyfish's Note

「太陽の塔」 森見 登美彦(著) 新潮社


日本ファンタジーノベル大賞受賞作。その始まりたるや、悪寒にみまわれた。
京大五回生であるこの主人公、「読了したあかつきには、必ずや体臭が人一倍濃くなっているはずである」。
「彼女の日々の行動を私は観察し、研究を続けた。(中略)この研究はストーカー犯罪とは根本的に 異なるものであったということに、あらかじめ読者の注意を喚起しておきたい。」
・・・怖すぎる!

だけど女友達の鋭いツッコミには“邪眼”とネーミングして怯え、12月24,25日を“クリスマス ファシズム”と憎悪するこっけいさが憎めない。
「日常の九○パーセントは、頭の中で起こっている」とのたまう同類の男友達と、妄想にふける日々。
現実と妄想が入り乱れる中、そっと浮き上がってくる元彼女の存在。

大阪万博で岡本太郎が制作した「太陽の塔」の存在と元彼女の存在が、この強烈に臭い世界の中で 繊細な存在感をたたえながらからみあってくるのだ。
そっとたたずむ太陽の塔の情景が広がる。最後にはほっとロマンチックにため息なんぞついてしまう。
実は淡い気持ちが残るのだ。
(03/15/2004)


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