「時のかけらたち」 須賀 敦子(著) 青土社
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しとしと雨の日。
須賀敦子の本は、こういう雨の日に良く似合う。あたりは静かで、鳥の声もせず、車の音も
響かないような、そんな日に。
この本は須賀敦子が過去を振り返りながら、詩や文学などの芸術品について、それにまつわる
人々との思い出を綴ったエッセイ。
他の本と同様に落ち着いた文章で、フランスやイタリアについて述べているのは言わずもがな。
中でも「ガールの水道橋」という章が大好き。
芸術について大人っぽく語られる他に比べて、文学を学んでいる者のあやうげな心持ちが
語られていて、特に人間くさい章となっている。
私は、須賀敦子のおだやかで上品な語りの中から立ち昇る人間の生活感が特に好きなんだな。
(04/04/2004)
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