Jellyfish's Note

「無人島に生きる十六人」 須川 邦彦(著)  新潮文庫


この夏のランキング1位!気持ちいい本を読みたければ夏はこれ。
明治31年に難破し生還したノンフィクションを、当時の船長が振り返って語るのだが、 小気味いいの一言につきる。

「龍睡丸」という船の名前や、「大自然のふところにいだかれて、」などちょっと古めかしい語り口調もその時代を表していて いい相乗効果となっている。
ふつう漂流ものなら、無人島に流された人の苦悩とか、団体生活の分裂とかトラブルらしきものが リアリティをかもしだして話をひっぱるはずなのに、この本ではそういうことが一切ない。
ええ、ちょっとうそくさい(笑)。
だけど、テンポよく、かつ明るく展開するところがいいのだ。
本文中の十六人が感じる無人島の海の中や、空の青さ、島で出会うアザラシについての描写は、私達が島へ行った時になんとなく 感じる島の楽しさや感動にとても似ていて、ああしっかり味わっているんだなと感じるのだ。

ラストで小笠原老人が「この年になって、はじめて、生きがいのある一日一日」と述べるくだりでじーんとする。
これは島に行った気分になる。
(08/01/2004)


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