「海猫」 谷村 志穂(著) 新潮文庫
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色の白い女が北海道の漁村に嫁ぐところからはじまる。その色彩のない情景が物語の行く先を既に指し示しているよう。
淡いけれど生々しい、まごうことない女の、女による、女が読む(だろう)小説だ。
恋愛があって、女三代の生き様があって、とくるとなんだかむっとするような重いものを感じるが、物語に一貫している
色素の薄さが文章をも淡々とさせている。
題名でもある「海猫」の鳴き声が、読み終わった今でも響いているようで、景色もさっきまで見てきたかのようで、
ストーリーというより、情景がずっと印象に残っている。
(09/18/2004)
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