Jellyfish's Note

「星々の舟」 村山 由佳(著)  文芸春秋


直木賞受賞。正直なところ、そうきたかって思ってしまった。
というのもこの小説は密かに心の奥で感じていたいものだったので、なんだか違和感を感じたのだ。
声高に叫ぶというよりは、そっと伝えるような本だから・・・。

キーワードは「秘密」。
あるひとつの家族がひとつの章ごとに語り手となり、兄には兄の、妹には妹の、そして何より父には父の、 それぞれ秘めた思いがある。
それぞれに人生があり、意見がある面白さだが、白眉はやはり父親の戦争体験が抜きん出ています。

小説を読む楽しさ、静謐な語り口。
流れる河の水音が聞こえるよな臨場感。
人の生き方には正しいも間違いもなく、家族という人のくくりの単位は、ただ時の流れるひとつの舟に乗った人々のことを さすのだとしたら、家族ってなんだろう。答えのでない謎かけ。

ですが読後、水を浴びた後のようなさっぱり感があります。
(08/13/2003)


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