





本日はご来館いただきましてありがとうございます
この書架では、ジャンルを問わず私の好きな本を紹介しています。私の作品の背景が見えてくるでしょうか……。
海と毒薬 遠藤周作 新潮社
できるなら悲しいことや辛いことは避けて通りたい。けれど過去は消せないし、今この瞬間も地上のどこかで争いは続いている。戦争末期、実際に九州の病院で起こったアメリカ人捕虜の生体解剖事件を基にした小説。「みんなが死んでいく世の中」をしっかり受け止めたいと思う、今日この頃。
出生率0 大石 圭 河出書房新社
万人にはお薦めできません。グロテスクなものがOKという方だけどうぞ。タイトル通り、子供が生まれなくなった近未来が舞台。こんなふうになってほしくないという思いと、いつかこうなるのかもしれないという思いが交差します。この乾いた感じ、好きな人はたまらなく好きでしょう。
心とろかすような 宮部みゆき 東京創元社
ミヤベ作品が好きな理由は二つ。東京の下町が舞台なのと、登場人物に体温を感じるから。この作品では、警察犬を引退し蓮見探偵事務所に引き取られたマサ(人間の言葉を理解します)が、相棒の加代ちゃんと大活躍。長編の“パーフェクト・ブルー”もありますが、断然こっちの短編集がおすすめ。中でも表題作のマサが蓮見家に来た頃のくだりは、動物好きでない私でもウルウルしてしまいましたよ。
霧笛 レイ・ブラッドベリ 新潮社
『恐竜物語』に収録されています。初めて読んだ時は涙するほど感動したのですが、これを書くために読み返してみたらじわっともきませんでした(^^;) ただ一頭生き残った恐竜が、海の底から灯台を自分の仲間だと思ってやってくるというストーリー。すごく短い話ですが、この恐竜の哀しさには圧倒されるものがあります。“こんな小説が書きたい”と思う、憧れの一篇。
井沢元彦の世界宗教講座 井沢元彦 徳間書店
タイトル通り、各宗教を比較しながらわかりやすく解説しています。日本人は無宗教といいながら、実は神道的な考え方に影響を受けていると述べる『神道』の章はぜひ読んで欲しい。“そうなんだ〜、なるほど〜”と思うこと請け合いです。
ネプチューン 新井素子 大陸書房
『今はもういないあたしへ…』に収録されています。“あたし、〇〇って思う”という非常に軽い文体と、時にグロテスクな、時に鋭く真理を突く内容とのギャップがこの著者の特徴。中・高校生時代によく読みました。この作品は環境問題と進化論が絡み合い、かつラブストーリーの側面も併せ持っています。こういう発想はどこから出てくるんでしょう? 星雲賞受賞作。
君について行こう 向井万起夫 講談社
宇宙飛行士・向井千秋さんのご主人が、二人の出会いから千秋さんが
宇宙へ飛び立つまでを綴ったもの。“スペースシャトルから生中継”なんて見ていると『宇宙戦艦ヤマト』や『スターウォーズ』の時代がすぐそこまで来ている気がしてしまいますが、実は飛行士は命懸けで任務に臨んでいるのです。本人や家族の心境はいかばかりでしょう。宇宙に興味がなくても楽しく読める一冊。
木枯し紋次郎シリーズ 笹沢佐保 光文社
私は歩くスピードが速いと人から言われます。それはこの本を読んでいるからです。なんてバカな話はさておき、“あっしには関わりねえことでござんす”のセリフで有名な渡世人・紋次郎の活躍を描いたこの作品。ああ、活躍という言葉はちょっと違いますね。そんな明るさは紋次郎にはありません。この主人公が纏っているのは影、孤独、虚無……。発表されてから三十年経った今でも、「人間の生きる意味」を問い掛け続けています。
人類の長い午後 橋元淳一郎 現代書林
これは私にとってバイブルのようなもの。繰り返し読んでいます。ではその内容はというと、うーん、なんとも説明し難い(^^;) 2001年から3000年までの千年間に人類はどうなっていくのかを予測した本、とでも言えばいいでしょうか。科学の知識がないので理解できない部分も多いのですが、なぜか読んでいると心が落ち着くのです。