愛惜

Catalpa

本当のことをいったら、きっと君は離れていってしまう。
二度と僕を見ないだろう。
二度と僕の名を呼ばないだろう。
だから、僕は嘘をつく。
君の瞳を見つめて、馬鹿げた嘘をつく。
君は気付かない。
「友だち」なんて、嘘なんだ。
「親友」なんかじゃ、我慢できない。
それでも傍にいられるなら、嘘ぐらい。
君の視線の先にいる人は、決して「友だち」ではない。
「親友」でもない。
もっと遠くて、だからもっと近づける人なんだ。
このままだったら、君を取られる。
わかっているのに失えなくて、また嘘を重ねる。
「友だち」なんて、嘘なのに。
「親友」なんて、いないのに。
もう少し君に近づきたい。
君の肩を支えたい。
君をこの腕に抱きしめたい。
でも、それは「友だち」の距離でも
「親友」の距離でもないから、
僕はもがいて苦しんで、
それでも、また嘘の世界に戻るんだ。
一度近づいた距離をまた離すことが怖ろしい。
二度と近づけない気がして、
どんどん離れていく気がして。
だから、もう嘘も本当もわからなくなって、
ただ、僕は君の傍にいる。
遠くも近くもない距離に。
ただ、君の姿を見つめて、
夢も期待も抱かずに、
今ある距離を惜しむだけ。

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