こころ―K悲喜譚―
利き腕 01/11/01
宝石屋のおねぃさん その1 01/10/28
宝石屋のおねぃさん その2 01/10/30
この日記は某所のコンビニのアルバイト店員Κとカリスマコンビニ店員S(自称)のこころ温まる交流を元にした物語である。
尚、この物語は私の主観が入った、限りなく実話に近いフィ クションであり、ここに登場するΚ像がΚの全てではないこと をご理解頂いて御覧になって頂きたい。
また、この物語を掲載するにあたって、パソコン知識乏しい 私に惜しみない協力をして頂いた(きたかぜ)さんに心からの感謝 を述べたい。
10月吉日 むせ返るようなおでんの香りたちこめるレジにて
S
ある時、右利きの私がなんとはなしに左手で文字を書いてい たときのこと。
横で見ていたKがこう言った。
K:「右利きの人が左で字を書くの大変やろ?」
S:「まぁそうやね。Kは左利きやけん、右で文字を書けるんや ろ?」
K:「でも、箸も鉛筆も右手で使うし・・あまり左利きって意識 したことないよ 」
S:「へぇ〜そんなもんなんや」
K:「あっ!でも自転車に乗るときは左のブレーキ(注:後輪のブレ ーキ)ばっかり使いよるバイ!」
S:「(・・)?」
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ちなみにKの自転車の鍵にはアルファベットで 「baishun」(実物は筆記体) と書いてある
カリスマコンビニ店員S(仮)
いつものようにバイト先に行き、仕事の前に一服しているとKがいつものようにラマーズ法のような息遣いでやってきた。
(きたかぜ注:彼は太っているため体格がよく非常に汗をかきやすい)
私が
「おつかれー」
と言いつつ顔も向けずにタバコをふかしていると、
Kは問わず語りにこう呟いた。
「いやー、O曜日に博多駅で会った女の子は美人やった。」
(!?美人なコ?) と私は思いながらKの顔を覗き込んだ。
とりあえず、「会った」という表現だけではどういう関係なのか把握できないので、とぼけた感じで
「コンパかなんか?」
とたずねると 友達と博多駅に行ってて“声を掛けた”か”声を掛けられた” という表現をした。
(!!?ナンパ?ま,ま,まさか!!?)
本人を目の前にして言えることではないが、お世辞にもKは女の子にモテるような顔ではない。(本人はモテモテと思っているようだが・・・)
(まぁ、しかし、いくらKでもあり得もしない話を語るはずはない)
*注 Kには多少夢想癖があり得ないことではないのだが・・・(ここは事実として受け止めて話を進めよう)
Kは世間一般の人と考え方が大きくずれている(と私は認識している)ため、(ひょっとしたらものすごく不細工な女を美人と表現しているのではないか?)と私は考え、興味なさそうな素振りで
S:「へぇ?どんなコ?なんかプリクラとか撮ってないん?」
K:「いや、そういうのはないけど・・・」
(なんだ>じゃぁやっぱり、きっと不細工なコなんやな)
K:「宝石屋で働いてるコって言ったら分かるかな?」
(!!!?宝石屋のおねぃさん?)
私の頭の中で「宝石屋のおねぃさん」像の検索が始まった。宝石屋のおねぃさんといえば、割と顔立ちが良く少なくとも不細工ではない(私好みの)コが多い・・・
声を掛けた掛けられたか知らないが、Kがそんなおねぃさんと会話することが出来るとは考えにくい。
いや、断じてありえないぃぃぃぃ!!
(きたかぜ注:食パンを食べるように人殺しをする吸血鬼風で)
動揺を隠しながら、相変わらず気のない素振りで
S:「ふぅん?どんな話をしたん?」
K: 「普通に話して、友達になろうて言ってみたけど、佐賀出身らしくて遠いけんあきらめた。でも、なんかガーネットをもらった。」
(きたかぜの疑問:佐賀といえば確かに隣接県ではあるが、そう近いとはいえない。 でも出身って関係あるの?)
(え?ガーネット?もらった?) いくら宝石屋のおねぃさんでもガーネットをそう簡単にくれるものか?
(きたかぜ注:ガーネットはその深い赤色から和名でざくろ石と呼ばれている。努力、着実、向上、貞操、真実、友愛、忠実を象徴。)
*この話には絶対裏がある! そう確信した私は、尋問に近い形でKから詳しい話を聞くことにした
・・・ つづく・・・
宝石店のおねぃさんと出会ったというK。
しかし疑惑の念を拭いきれない私。
かくして、私のKに対する尋問が始まった。
―尋問―
「えっ?ガーネット?もらった? なんでそんなもんくれるん?」
「いや・・・なんか知らんけど・・・」
「ちょっと待ってん! 普通初対面の人がいきなり宝石くれる?”」
(絶対おかしい!裏がある!)確信☆
「ほかになんか言われんやった?」
「”あぁ、なんかダイヤモンド買わんかって言われた。 でも、ダイヤモンドは高いよねって言われて、
指輪(拾壱萬圓也)ならどうかって言われた。」
Kは天使のように無垢な表情でこう語った。
(ちょっと待て・・・?) 私はKの天使のような表情に 自分の今までの悪行の数々を見透かされるような心地になったが、 辛うじてそれまでのKの話を整理しなおした。
(街で偶然出会った女の子が宝石をくれて、指輪を売りつけてきた。) 思った瞬間口を吐いて出た。
「それってキャッチセールスじゃねぇの?」
・ ・ ・ Kは・・・キョトンとしている。
どうやら彼の辞書に キャッチセールス という言葉はないらしい。
(どこまでこいつは幸せ者☆なんだ) と思いながら、説明するのも面倒なので最初からの いきさつを訊く事にした。
どうやらKと友達が歩いていたらおねぃさんにぶつかったことが発端らしく、その後CD店で偶然再会し喫茶店に連れ込まれたらしかった。
それがキャッチだと説明すると、偶然会っただけと主張する。
いくら言っても聞き入れないので、私は店長(28歳,独身,♂)に事の成り行きを説明し、助けを求めたのだったが、店長の説得虚しく、仕事を始める時間になってしまった。
私は仕事中もこのネタ事件のことで頭がいっぱいだったのだが、Kの頭の中は別のことでいっぱいだったようだ。
レジカウンターの中で眠たそうな顔をしながら
「あ〜〜〜OO昨日はあのコのことを考えてよく眠れんやった〜!O”」
(・・)目が点。メガテン。女神転生。皆さんはご存知だろうかあの名作を・・・「最初の頃に蛙助けとったら、後半バールがなかまになるっちゃが」(北九州弁)などと至らぬ連想ゲームをしつつ、心の中で
”てめぇ!街でキャッチセールスに遭っておねぃさんと話したからって、恋だと思ってんじやあねえ! 変だとおもえよ!”
こう呟きつつ ”オラ!オラ!オラ!オラ!” “無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!” と叫びKの豊満な腹部に北斗柔破斬を叩き込む妄想に浸りながら、にこやかにこう言うのであった。
「いらっしゃいませ!228円になります!」