since 2002/6 +gothic opera+: since 2003/8 happiness
nana mishima
2003.8.28 木
軽井沢行ってきた/小説続き。
26、27日と会社の友達と軽井沢に行ってきました〜!
本厚木→立川→中軽井沢で4時間の予定で考えて、9時集合だったのが、実際到着したのは何故か18時。
まぁ、いいのよ。こんなもんよ。楽しければいいのよ。
で、翌日、かねてから希望してた手相を見てもらいに行ってきました。
直前にやった友達は今の仕事が向いてるとか、接客に向いてるとか言ってんのに、私だけ無言ってなんじゃい。
そりゃ、店では心霊系だわよ。呪い系って言われてるわよ。
でも、「35歳までには転職する」って具体的に言われたり、もっと頭を使う職業に就くとお金が入るとか言われて人生ちょっと考え直そうかなと思ったり。
なんて単純。










7. 過去/激情の夏。
それ以来、あたしは夏休みを数学室で過ごした。
昼過ぎに学校に行き、夕方帰る。半分の確立で鳴瀬が送ってくれたりもし、邪険に扱われることは一度もなかった。
その間、鳴瀬は小原希と別れ、今は国語教師の仙道と、英語教師の山北と関係を持っているようで、あたしが数学室にいる間でも、彼女らのために席を外すことは少なくなかった。
「いつか刺されるな、俺」
それが鳴瀬の口癖だった。
「だったら1人に落ち着けばいいのに」
呆れてあたしは答える。それは毎日のように繰り返され、結局鳴瀬は答えず、そんなやり取りも鳴瀬は楽しんでいるらしかった。
鳴瀬は風のような男だった。現実をありのままに受け入れ、抵抗することを知らなかった。理不尽な出来事には徹底的に戦う彼とは正反対で、むしろあたしにとっては鳴瀬と過ごす時間の方が楽だった。
次から次へと相手を変えながらも、鳴瀬はあたしには一度としてそんな振る舞いはなく、同時に自分は女としての魅力に欠けているんじゃないかと悩む日々も付きまとった。
そんなある日のことだった。
あと少しで夏休みが終わろうとした頃、義母は義伯母を伴ってようやく帰宅した。数年ぶりに会った義伯母はあたしを見て義母に何か耳打ちし、かくいう義母はあらかさまに侮蔑のまなざしをあたしに投げた。
あたしは妾の子供だった。母は気丈にもあたしを女で一つで育てていたが、無理をして病に倒れ、身内のいなくなったあたしはまもなく実父の家に引き取られた。義母に憎まれているのは子供ながらに知っていた。夫を一時でも奪った女の子など、義母にとっては害虫以下なのだろう。都内にマンションを構え、半年に一度しか家に戻らない父には、すでに別の女がいるようで、そのことは薄々義母も感ずいているらしかった。
義母たちが応接間に消えたのを確認すると、あたしはその日もいつものように学校に行った。駐車場には鳴瀬の車が駐車していたが、数学室に行ってみると、そこには何故か岡島ユカリがあたしを待ち構えていた。
「橘さん、よね?」
自慢の黒髪をふたつに結ったユカリは、笑顔とは裏腹にきつい口調であたしに尋ねた。
「鳴瀬先生とどういう関係なの?」
「…え?」
突然だったので、あたしは彼女が何を言っているのか、一瞬理解できなかった。
「とぼけたって無駄よ。私、知ってるんだから。夏休み中、ずっと先生と一緒だったみたいじゃない。一体、先生に何て言って取り入ったのかしらね」
「取り入ったって…」
「あなた、愛人の子だって言うじゃない。さすがに親の血を受け継いでるだけあるわね。男のたらし方も母親に教わったのかしら?」
あたしは愕然とした。何故ユカリが母親のことを知っているのか。
また同時に、何故ここまで言われなければならないのかという怒りが湧き上がった。
「いいこと、鳴瀬先生には近付くんじゃないわよ。今度忠告を無視したらタダじゃおかないから」
言いたいことだけ言い捨て、ユカリは乱暴に数学室を出て行った。自分の身近にいる裏切り者のことを教えてやろうかとも思ったが、そこまでしてやる義理はない。
肩をすくめて勉強道具を広げたとき、背後で人の動く気配がした。今度こそ鳴瀬かと思ったが、現れたのは幼馴染の有也だった。
「有也…?どうしたの、一体」
サッカー部のユニフォーム姿の有也は、真っ黒に日焼けした顔を、なかなかあたしに向けようとしなかった。兄よりは線が細い印象があるが、成長するにつれて、だんだん彼に似てきたとも思える。
数学室のドアを閉め、彼は切り出しにくそうに、上目遣いであたしを見た。
「今、ちょっと聞こえたんだけど…その、お前、鳴瀬と付き合ってんの?」
「…何よ、有也まで。あれは岡島さんの誤解だわ」
「本当に?でも、その、お前、最近よく鳴瀬といるの見かけるし…」
「あたしは家にいたくないからここで勉強してるだけよ」
はっきりしない有也に苛立ちを覚え、あたしは有也に背を向けた。
「何度か一緒にいたからって、それだけで付き合うことになるなら、あたしと有也なんて何年付き合ってることになるのよ。第一鳴瀬先生は結婚してるだから。何よ、みんなして。本当、馬鹿みたい」
鳴瀬が離婚していることは伏せておくことにした。わざわざ話を広める必要はなかった。
「…棗こそなんだよ。俺はお前を心配して…」
「それが馬鹿だっていうのよ」
まだ何か言おうとする直也に、あたしは苛立ちを覚えて向き直った。
「もう、数兄ばっかり頼りにしてたあたしじゃないの。自分のすることには責任くらい持てる。いつまでも子ども扱いしないで。いいから放っといてよ」
「そんな言い方しなくたっていいじゃないか。お前はいつだって兄貴ばっかりで、兄貴がいなくなったら誰がお前のこと守るっていうんだよ。俺は、お前のことが…」
「やめて。聞きたくない。…や、ちょっと何する…!」
直也が突然抱きついてきたので、あたしはバランスを失って回転椅子から転がり落ちた。その時本棚に頭をぶつけたらしく、一瞬気が遠くなる。
「棗…!」
そんなあたしに直也は気付かず、激情にまかせて覆いかぶさった。汗と土の匂いを感じながら、あたしは何故か、彼のくれた鍵の行方のことばかりを考えていた。
続く
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