-最後の言葉-

君のそのはじけるような笑いと 眩しい笑顔に惹かれて

僕は君の心に手を伸ばした

部活と勉強 そして君 すべて守りたかった 中三の夏


よく待ち合わせをした 学校裏のあの酒屋

僕がどれだけ急いでも 君はいつも自転車と佇んでいたっけ

息を切らす僕に「部活お疲れ様」 いつも微笑んでくれたね


まだメールがなくて 君は毎日手紙をくれた

一度も返事を書かなくて 君を不安にさせた日もあったね

君の崩れた丸文字が 僕に微笑みをくれていたんだよ


初めてのデートの日 僕は用事で遅くなって

一時間半も待ってた君の姿が たまらなく愛しくて

ごめんと言いかけた僕に 「お疲れ様」 君はいつものように微笑ってくれたね


帰りによく寄った小学校の校庭の片隅のあのブランコ

星が出るまで二人で座って ずっとしゃべっていたね

暗くかげった君のはにかんだ横顔が やけに大人びて見えた


いつからだったろうか 君の手を離してしまったのは

嫌いになったわけじゃない これだけは言っておきたいんだ

きっと僕はそのときになったら 言えなくなってしまうだろうから


君は予期していたんだね 僕が去っていくこと

それでもいつもと変わらない あの元気な声
 
電話の向こうで どんな顔してるんだろうか

胸に鋭い痛みが走る
 
「これからもお互い 頑張ろうな」


あのときのあの言葉は 不器用極まりない僕から

幸せを願う君への最後の言葉

そして

不器用極まりない 最後の
 
「愛してる」