マイクロPIVによる噴霧内微小液滴の衝突現象の解明(仮)

                                                                            安田 憲太

1 緒言
自動車用ガソリンエンジンにおいて排気浄化、燃焼効率向上の目的から高精度な燃焼制御が必要とされている。そのためにインジェクション噴霧のPIVLDVを用いた高精度な計測や、数値シミュレーションが行われている。しかし、これらの研究は噴霧流等のマクロな性質を対象にしたものが多く、噴霧のミクロな要素である微小液滴を研究したものは少ない。私は、卒論にて世界最小レベルのモデル微小液滴を衝突させその挙動を調べる実験を行い、π50μmレベルの微小液滴はインジェクション噴霧内の条件では衝突後に合体し液滴径を増加させることを明らかにした。修士の研究ではでは実際の自動車用インジェクションを用いて噴霧を作りその中の液滴の挙動を解析し、ミクロな視点から噴霧形成のメカニズムを解明することを目的とした。

2 実験装置および実験方法
1に実験装置の概略を示す。ガソリン噴霧の形成は自動車用インジェクションを用いている。実験はまずパソコン上でスタート信号を発生させその一つをインジェクションドライバに送る。信号をドライバにて1.2A程度に電流増幅しインジェクションを駆動させ、あらかじめ2.5MP程度に加圧された燃料を噴霧させる。一方、撮影範囲を500μm×500μm程度にする顕微鏡レンズをつけたモニタスコープユニット接続したCCDカメラ、レーザーシート光発生器、画像取り込みボードにも任意のタイミングでトリガ信号を送り、レーザーシート光によって切り取られた任意の噴霧断面を撮影する。取り込まれた画像から、粒径や液滴の衝突など特徴的な現象を解析する。また、レーザーシート光を時間差をつけ2回発光させ、多重露光による画像を撮影し、その相関関数から液滴の速度を求める。

 撮影結果の一部と考察
2にレーザーシート光を使わずにナノパルスライトの背面透過光による近接撮影画像を示す。液滴径や液滴形状は非常に変化にとみ、今までのようにレーザー干渉光を利用し間接的に測定した平均流速、ザウタ平均粒径では噴霧のミクロな構造を捉えられないことがわかる。また液滴の衝突と思われる現象が撮影されている。液滴の衝突が噴霧後半の平均粒径増大に影響があるといわれているが、実際の噴霧中で衝突現象を撮影できたのははじめてである。

4 今後の予定
現在レーザーシート光を撮影光源にし、バックライトでは撮影することの出来ない噴霧中心部の様子を撮影している。更に多くの撮影を行い、ミクロな画像から粒径、速度等噴霧の測定をする実験方法を確立したい。また液滴同士の衝突合体による液滴粒径の増加が噴霧全体の平均粒径の増大にどのくらい影響しているかを統計的に明らかにしたい。