Clinical Report Vol.6

Hospice - 2  ホスピスケアとは?

3月7日(火) 
8:00am-4:00pm @ Palliative Care Center of the North Shore

ホスピスケアはふつうの医療・看護とは大きく違います。
大前提が「治療はしない」。
大元の病気の治療をしません。
その上で苦痛を最低限に抑えるケアが行なわれます。
対症療法ともいうのでしょうか?
痛み、吐き気などの症状を緩和することが中心です。
Pain Control これがホスピスケアの最大の目的です。

在宅の場合は必ずしも必要とはされませんが、
ホスピス病棟では必ず入院前にDNRにサインすることになっています。
DNRとは、Do Not Resuscitate. 救命処置拒否書です。
CPRを完全拒否した人だけが入院できます。
家族の急変のためCPR講習は毎年受けるけどね、と
ホスピス病棟のナースが話していましたが。
(アメリカではナースは毎年CPRの講習会を受け、認定証を更新しなければなりません。
消防士や警察官、一部教師などもそう。だんだんCPRも拡がってきていますね〜)

Pain Controlの中心はモルヒネです。
日本にはないという話を聞いたのですが、
アメリカにはPCA(Patient-Controlled Analgesia)ポンプという機械を使い、
患者自身で除痛管理できるようになっています。
患者が自分で必要を感じたときにオピオイド(モルヒネ、フェンタニル、デメロールなど)を
投与できるように静脈内、皮下、または硬膜外にあらかじめラインが取られていて、
患者がプッシュするとそこからセットされた用量が投与される仕組み。
ポンプよりも経口与薬が先に試みられますが、ポンプを使ってる人も多いです。
時間や投与量もセットされているので危険はなく、
結果として毎回筋注を受けるよりも少ない用量ですむような仕組みになっています。
あとはフェンタニルパッチという貼るだけのものもある。
これは私は初めて聞いたのだけどただ貼るだけで薬剤が浸透するのかな?
便利だね、世の中。

死が近づいてくると食べることもできなくなってきます。
でも、だからといって一般病棟で行なうようにTPN(静脈栄養)を入れたり、
電解質バランスが崩れたからやれIVだ、などということはしません。
これを聞いた時はさすがにびっくりしたのだけど、脱水になってもいいのだそう(!)。
脱水を改善しようとして、飲むことができないからじゃぁIVで、と輸液しても
結果としてそれは浮腫や腹水のもととなり、
分泌液(痰など)も増えて呼吸も苦しくなったり、吐き気・嘔吐が増えたりする。
それは患者さんの苦痛になるだけ。
体が欲してないから口から飲めなくなる。
飲まないから脱水になる。
それは体が必要としていないなら自然な流れ、
とホスピス病棟の婦長さんは言った。
うーん、これにはびっくり。
家族も飲めないならIVで、と考える人が多いそうだが、
家族には入院時と必要に応じたその都度、ホスピスケアについてや死に備える説明が行なわれる。

家族教育もホスピスケアの中では重要です。
ホスピスケアはどういうことをするのか、
前述のような時なぜIVしてくれないのか?と怒る家族もいるということなので
ホスピスの意味から説明しないと。
あとは患者の死の準備。
赤ちゃんが生まれる時、お産のしるしって例えば破水、とか陣痛、とか、
そういうのを教わるじゃない?
死の兆候はその逆なだけですよ、って
婦長さんが話してくれました。
そして、知らないことが訪れるのは知ってることが訪れるよりもおそろしいこと。
あらかじめ死の兆候と取るべき行動を家族に伝えておきます。(パンフレットを用いる) 

例えば・・・ 手足が冷たくなって、色も黒ずんできて、
それは循環が悪くなったしるしだけど、
寒がらないように電気毛布じゃなくて普通のブランケットで暖めて、とか、
だんだん眠りがちになるから起きている時には一緒にいてあげて、とか、
だんだん混乱が多くなって、家族の名前や場所を忘れることもあるけど、
安全であること、ここにあなたの愛する、あなたを愛する家族がちゃんといることを伝えて、とか、
おしっこの量が少なくなる、とか、
痰が多くて苦しそうに呼吸をするようになるけれども、
頭を高くして、アイスチップをあげたりして、とか、そういうこと。

患者の苦痛だけじゃなく、
家族も最もつらい時期を迎えていることを忘れずに接していかないとね。
患者が亡くなったあとも、13ヶ月のフォローアップ期間が設けられていて、
ナースとソーシャルワーカーで死をうまく受け止められるようにサポートしていきます。
病棟からカードを送ったりも。
また、退院(死や転院も含め)した患者の家族には
エバリュエーションフォーム(アンケート形式)を送り、
ホスピスケアやサービス内容について評価してもらい、
それをカンファレンスなどで共有し、実際の次のケアへフィードバックすることもしています。

ナースが病棟で使っているケアプラン(看護計画)をいただいてきたり、
ナースの教育係にもお話を聞いてきたので、
それはまたHospice4で実際のケア内容まで掘り下げて紹介したいと思います。

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