Clinical Report Vol.8

Hospice - 4 ホスピスナース

3月7日(火) 
8:00am-4:00pm @ Palliative Care Center of the North Shore

ホスピスでのケアの中で普通と大きく違う概念については2で述べたが、
ここではさらに詳しく、実際ホスピス病棟のナースのケア内容について書こうと思う。

まずホスピスナースの院内教育について。
見学したPCCNSでは一般病棟で2年以上の経験があるRNを採用している。
採用されると自己学習プログラムにのっとったモデュール式テキストと
ビデオを用いてホスピス看護について学ぶ。
日本のように4月からいっせいに就職、ということはないので、
一人一人自己学習するしかない。
ビデオやテキストを見て勉強したあとは、レポート形式のワークシートを完成させたり、
スーパーバイザーの前で実際にケア場面を見て評価してもらったり、
ミーティングなどで評価、勉強、評価、勉強・・・をくりかえす。
内容としてはPCCNSでも、
日本でもはやってきている(?)Problem−Oriented Approach の方法を
取っているのでそれも学ぶ。
また、もっとも大変なのはやはり2でも述べたホスピスケアの概念である。
今まではNsとして何かしなくては!という思いでケアすることがほとんどだったが、
これまでの常識をすてて、まず患者にとってそれは必要か?苦痛はないか?と
自問しなくてはならない。
今までNsとしてやるべきだったケアが、ホスピスでは必要のないことも多い。
あとはモルヒネの投与について。
Pain Controlに薬の知識は欠かせないため、一般病棟以上の勉強が求められる。

働き始めたその後は、毎週のようにレクチャーなどが開講されているので、
年に8回以上それに参加しなくてはならない。
自分の好きなトピックを選んだり、スーパーバイザーに奨められて受ける。
また、1年に1回以上、新しい知識を勉強していっているかどうかテストも行なわれる。
もちろんCPRの更新も。

業務内容としては、ここのナースにはオンコールがある。
一般在宅ケアもホスピスの在宅も電話は24時間体制ということになっており、
夕方5時から朝8時までは電話はすべてホスピス病棟に回される。
メッセージセンターを介して病棟に連絡が入ると病棟から家庭に電話するが、
そこで家族へ指示したり、病棟へ入院させたりするが、
必要に応じて家庭に行かなければならないこともある。
その時出かけるのがオンコールナースだ。
夜中だろうと呼び出され、家庭に行ってケアする。
このオンコールや、それでなくてもホスピスナースは家族全体の問題を抱え、
病気よりも精神面をケアすることが多く、
ストレスフルでバーンアウトしてしまう人もいるとか。(燃え尽き症候群ってやつ)
そのためにスタッフのためのカウンセラーや、長期休暇などの配慮もある。
特に家族を亡くした時、すぐにホスピス現場に復帰するのはつらいことなので、
休暇を取らせたり、一時的に一般在宅ケアについたりするようです。

さてさて、実際の病棟での業務ですが、ここの病棟ではケアプランシートを使っていました。
これは、基本的な看護は共通しているものが多いので、
問題点別にあらかじめアセスメント内容やケア内容を1枚にまとめたもの。
これは私の成人の実習の時の看護計画用紙にめちゃ酷似していたのでおどろいたのですが、
それは作成者が今回案内してくれた千葉大卒のナースだからでしょうか?
うーん、びっくり。
いっぱいあるのですが、問題点別に少しずつ紹介しましょう。(A:アセスメント、I:看護活動)

1.Pain (痛み) 
A: 場所、痛みの表現方法、これまでに使った薬、
I: アセスメント、安楽な体勢を保つ、鎮痛薬投与とそれに対する患者の反応をアセスメント、家族にペインコントロールについて教育、副作用のアセスメント・緩和

2.Nausea/Vomiting (悪心・嘔吐) 
A: 原因、頻度、量など 
I: アセスメント、可能な限り原因を取り除く、腹部の状態をアセスメント、薬の投与と患者の反応のアセスメント、NPO/飲量制限/吸引(NG/G−tube)

3.Anxiety,Restlessness or Agitation (不安、興奮) 
A: 原因、これまで使った薬、 
I: 原因除去、痛み・排泄状態を観察、落ち着き安全な環境を整える、安楽な体勢を保つ、薬の投与と患者の反応のアセスメント、患者・家族と不安の原因について話す、必要に応じて死の兆候を説明する

4.Mental Status Changes (精神状態の変化) 
A: 症状(混乱、せん妄、傾眠など)、過去の疾患、
I: アセスメント、薬の投与と患者の反応のアセスメント、安全な環境を整える、事故のないよう観察、尊厳を保つような態度に配慮、必要に応じミュージックセラピーなど

5.Alteration in Nutrition & Hydration (栄養状態・水分の変化) 
A:食欲減退、嚥下困難などの原因、家族の心配、経管栄養についての患者・家族の意向 
I: I&Oチェック、高カロリー・少量の食事を頻回取るようすすめる、必要に応じ食事介助、死の過程においての栄養・水分補給のメリット・デメリットを患者・家族に説明する、患者が望めば経管栄養を行なう、口腔内の清潔を保つ、ターミナル期の脱水について説明する(自然であり、苦痛はないことなど)

6.Dyspnea or Difficulty Breathing (呼吸困難) 
A: これまでの肺疾患、症状(安静時、運動時の呼吸数、肺うっ血、努力呼吸の有無、喘鳴など)、これまでの薬、
I: 呼吸器のアセスメント、安楽な体勢を保つ、患者・家族に安楽な呼吸法を指導する、酸素吸入、薬の投与と患者の反応のアセスメント、小さな扇風機を置く、うっ血を防ぐため過度の水分摂取を控える、

7.Alteration in Skin Integrity (皮膚の状態の変化) 
A: 原因、落下事故、じょくそう、裂傷、落屑、
I: アセスメント、体位変換をすすめる、患者・家族にベッド移動・体位変換の指導、薬の投与、除圧マットレスなどの使用

8.Need for Spiritual Support (精神的サポートの必要性) 
A: 心の状態(不安、恐怖、否定的、自己尊厳の喪失、エネルギー減退、役割喪失、罪悪感、悲しみ、金銭的心配、安心など)、精神面についての表現、どんなサポートが必要か 
I: アセスメント、チャプレンのアセスメント、サポートのコーディネイト、患者・家族と精神面の不安などについて会話をもつ、

などなど、まだ他にもあるのですが書ききれないので、
中心となる問題点についてだけ、簡単に紹介しました。(私の日本語が心配・・・)
まあ、こういったケアプランに基づいて看護が展開していることは
おわかりいただけたでしょうか?ちょっとでも参考になっていると嬉しいです。 

あとは新しい患者の全身アセスメントや退院患者のサマリー、
他の施設との連絡などのお仕事もしていました。

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