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航海日誌


夫婦歴 50年 10・28  旗艦にて
 「やはり滅ぼして良かった。」故郷に凱旋中の乗艦の中で、私はつくづくそう思っている。一度ならずも、知的生命体である「レキシフ」を撲滅させることに嫌悪感を覚えていた自分が呪わしい。今考えれば、全てが悪夢だったのだ。もしも査問委員会で彼等の罪状を問われたら、私は胸を張って言ってやるつもりである。「奴等の女房にはヒゲが生えていた。」と・・・それにしても隣の政治委員が「ぶっ殺すけんな!」と騒々しい。彼のヒスの理由は2週間前に溯る。
 時は夫婦歴50年、偉大なる首領様御夫婦の金婚式典パレードのさなか私は友好使節として奴らのもとを訪れた。最初の1週間は奴等も友好的であり、我々は密月を謳歌していた。しかし2週目、悲劇は起こったのである。奴等は我々に母性(我々は星を性と呼ぶ。イカレポンチと思いたくば思え!)への布教権を要求してきたのだ。
 そこで我々は奴等の教義書の検閲を試みた所、そこには驚くべき破廉恥な内容が記されていたのである。セクシャルバイオレンス、フェチズム、ギレン・ザビ、JEAなど我が祖国の国体を根底から覆すもので溢れかえっていた。それはまさしくアル中オヤジのゲロであり消化不良のるつぼであった。検閲の翌日、奴等の代表者がやってくるとの通達があった。声の主はNと名乗ったが、声色からして女らしかった。そして2時間後、私は奴等を滅ぼす決意をしたのである。
 現れたのは確かに女性だった。しかしこともあろうに彼女にはヒゲが生えており、しかも腰のホルスターには電動式のヒゲ剃りまで収まっていたのである。私は許せなかった。奴等は「ヒゲは諸悪の根源である。」と「黒く振動するのは全てバイブレーターである。」と言う2大国是を犯す罪人だったのだ。私は迷うことなくミサイルのボタンに力を込めた・・・・なぜ奴等を滅ぼしたのか?何度でも答えてやろう。「我々は専制主義下の苦しみを噛み締めて民主主義を進展させていかなければならない。しかしヒゲは我々のアゴに温もりを与え苦難を忘れさせ我々を堕落させる。故に滅ぼしたのだ。」と。
 まだ政治委員が騒いでいる。何事かと思い先程、副官に調査を命じたところ、彼は奴等と情交を重ねていたことが発覚した。つまりは自分の情夫(イクマと言うそうだ。)が先の攻撃で殺されたことに腹をたて私に当たっているのだ。思えば彼も被害者であった。地元で純粋にSEGAに心酔していれば良かったものを下手に「レキシフ」に関わったばっかりに・・・。
 遂に船団は母性に近づきつつある。私は安堵感に身を任せようとした。しかし次の瞬間、電撃のように悪寒が走った。「しまった・・・!奴等の破廉恥レポートを始末し忘れた。」

by赤いナポレオン

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