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言語テロリスト堀部丈一郎
言語テロリスト堀部丈一郎
1998/4/10 byいくま
いつかこんな肩書きの文化人が登場すると思うのである。
さて言語テロリストとは、言論人への最大の非難である。テロとは一般的に政治的な暴力行為という意味だ。言語テロとは自体矛盾する無音ラジオみたいな変な言葉ではある。
どうすれば言語テロリストとそしってもらえるか。
ヨ〇とかフ〇とか過激な言葉を吐き出せばよいかというと、そうわけではない。赤いナポレオンは言語テロリストにわりと近い位置にいるが、まだ足りぬ。
どうやら言語テロリズムとは、赤いナポレオンが電波や活字などの媒体にのかった時点でそう呼称されるようだ。我々としては、極力そのような自体が起こるのを阻止する義務がある。
さておき、四年前に起きた、両者が互いに言語テロリストとそしり合ったある事件を振り返ってみたい。それで言語テロリズムが少しは見えてくるかもしれないから。
四年ほど前、筒井康隆というチンピラ物書きが.日本てんかん協会といざこざをおこして断筆宣言をするに至った(最近復活したらしいが)。彼の作品「無人警察」が教科書に載ったことがその問題の発端である。十ページほどの短い小説だ。
作中の一文が問題になった。
「<巡査ロボットは>また、テンカンを起こす可能性のあるものが運転していると危険だから脳波測定機で運転手の脳波を検査する。異常波を出しているものは、発作を起こす前に病院へ収容されるのである。
<中略>
でも、私はテンカンの素質はないはずだし、もちろん酒も飲んでいない。何も悪いことまをした覚えはないのだ。」
・日本てんかん協会の主張
1.脳波異常とてんかんは直接的に関係のあるものではない。脳波異常があっても発作を起こさなし、そうでない人もいる。
2.欧米では、てんかんとは問題とされていない。日本もいずれそうなるはずだから、この一文は教科書にふさわしくない。
3.「何も悪いことをした覚えはないのだ」の文は、てんかんが「悪いこと」というようにしか聞こえない。
以上をふまえて、「無人警察」は教科書にふさわしい内容とは言い難く、てんかん患者への差別意識をあおるものとして教科書からの削除を求める
このてんかん協会からの非難がマスコミに大々的に取り上げられ、筒井康隆いうには反論のコメントをしても、原稿料さえもらえない状態だったという。「すでに容疑者扱いなのだ」と筒井は書いた。
徐々に協会側の主張はエスカレートしていき、「無人警察」の出版差し止めに要求は変わっていく。
ところがここでマスコミの態度は、筒井が断筆宣言するに至って、正反対に変わった。今度は筒井サイドの文章・コメントばかりが掲載され、てんかん協会は言葉狩りの集団とそしられる。
「あたしゃキレました。プッツンします」とはじまる筒井の断筆宣言が、状況を変えた。雑誌・新聞・TVで非難されるのは、今度はてんかん協会だ。
・筒井サイド反論
1.もし欧米でてんかん患者の自動車の運転が認められているとしても、日本でそのようにすべきなのか。自身のみならず他者も巻き込む可能性のあるものに運転させていいのか(筒井)。
2.二十年前に書いたこの小説は、てんかんについて綿密な調査をした。それに誤りがあったとは思わない(筒井)。
3.もし作曲家が「この音を使うな」とか、絵描きが「この色は使うな」と言われたら、そりゃキレます(ジャズマン山下洋輔)。
四年たった今日、この事件をどう見ればいいのだろう。
結局言語テロリストは誰だったのだろう。俺は筒井もてんかん協会もそうではないと考える。
言論に圧力をかけるため、物理テロを働くオウムや右翼ではもちろんない。
実際に言葉を狩っていたのはだれか。筒井やてんかん協会の反論さえも取り上げなかったのは誰か。
十年ほど前、千石イエスに弁護の余地もなく反キャンペーンを張って、その後に謝罪らしい謝罪もしないのは誰か。
酒鬼薔薇少年の顔を公表したのは誰か(これについてはかまわんとは思うが)。
あれだけ浮かれ騒いで岡田監督を持ち上げたのに、カズを辞めさせてファシストよばわりしていたのは誰か。どうせこいつらは、負けて帰った岡田監督をめちゃめちゃ言うに決まってる。
1.言論人の言葉を“自主規制”という名で弾圧する。
2.対象の反論は絶体に取り上げない。
3.言論で対象を社会的に圧殺する。
4.間違っててもしらんぷり。昔言ったことなんかすぐ忘れちゃう。
5.責任の取れないことを平気でする。
これこそテロの名を冠するにふさわしい。言語テロリストとは、マスコミュニケ−ションであると確信するのだ。いや、多数者が行うからテロではなくファシズムか。
赤ナポよ。やはり好きにしておくれ。言語ファシズムに比ベれば、言語テロリズムなんて可愛いものだから。
早朝、ウィットモアの2ゴールに悶々としつつ書く。
1998/7/3 am9:00
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