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投票所に行こう 〜投票の心理〜
byトジ
0.まえがき
皆さんが家から投票所へと向かい、投票用紙に書き込むまでの間に、多種多様に頭の中に浮かんでは消え、また浮かんでくるというサイクルを続けるのでしょう。中には何も考えていない人もいるかもしれませんが…。
それにしても、投票するのに私たちは、どのような基準で候補者や政党を選んでいるのでしょうか。これからこのレポートで、そのようなことについて論じていこうと思う次第です。
1.投票用紙の前で
選挙とは、ある集団の中から、目的に適していると思われる人を投票などで決めることです。今日私たちは先人の尽力により、人権という権利をもつようになり、その権力を行使する立場として、民主主義があります。その民主主義を存在させるのに必要なものとして、多数決原理というものがあります。つまり、多数の人間が選んだ候補者・政党が、適任とみなされるわけです。
まず、ある集団の中で適任者を選ぶとき、自分にとって利益になるような候補を私たちは選ぶわけですが、自分の望みを全てかなえてくれそうな人を見つけだすのは、到底無理なことです。それゆえに、私たちはある部分では妥協しつつ、選挙の前にあらかじめ情報を集め、それを基にして投票所へ向かうのです。しかし記入コーナーにたち、鉛筆を持ち、投票用紙にいざ書き込もうとする瞬間に、心の中でもう1人の自分が問いかけてきます。本当にそれでいいのかと…。
2.「選挙」に関心をもつ過程
私たちがこの場に存在するのに、2つの立場から自分を捉えることができます。1つは、自分という一個人としての立場。もう1つは、社会の一員としての立場。この2つの立場が迷うことなく一致するか、極端である場合、その人の悩みは一つ減ります。しかし、2つの立場のどちらに重きを置くかを迷った場合、その迷いには、いくつかの原因があるとかんがえられます。
(1)社会は、社会的に逸脱した個人を孤立させることにより、恐怖に導く。
(2)個人は絶え間なく孤立の恐れを経験する。
(3)孤立の恐れにより、個人はいつでも意見の風潮を評価し、探索する原因となる。
(4)この評価の結果は、公の場での行動に影響する。特に公の場での意見の公表あるいは意見の沈黙に関してである。
(5)以上の4つは相互に関連し、総合すれば、この4つは、世論を形成・保持・変更する原因と考えられる。
たとえば…
(1)友達は、携帯電話・PHS・ポケットベル等をもっている。
(2)自分はもちたくないが、仲間外れにされたくない。
(3)周囲を気にして悩む。
(4)その結果、無理してもって友達の輪に入るか、仕方なく輪から離れる。
(5)その現象があちこちでなされたなら、大きな流行となる。
これらは、自分の意見が少数意見であり、自己の立場が不利であると感じた人間のなかで、自分の意見を控え、沈黙しようとする行動の根本となるものです。しかし、社会から除け者扱いをされたくないと言う信条をもつ人間のなかには、自分の意見を多数意見に変えて、自分の存在を正当化しようとするものもいるでしょう。
3.投票所に行く過程
上記の5つを自分が少数派であると認知した場合に、それにもとづいた行動を取らせる仮説であるとすると、これらの仮説を定義とするための条件、つまり自分が多数派か少数派かどちらであるかを認識させる条件が必要となります。
(1)人口の態度に関する大多数の状況
(2)「大多数の人々がどう思うか」という意見の風潮の意見
(3)未来の成功についての期待
(4)公の状況の中で自己の意見を公表する意志
今の世相でたとえると…
(1)相変わらず就職難である。
(2)景気を早く回復させてほしいと国民は言っている。
(3)候補者たちはこの問題をなんとかしてくれるのだろうか。
(4)投票所に行こうかどうか。
これらの4つの条件は、私たちの投票行動に関する重要な要素となると考えられます。(1)・(2)の条件がある程度一致すると、両者は(4)の条件と関係するとされ、(3)の条件と(4)の条件を比較し、両者の関係を分析します。
要するに、(1)・(2)の状況を認知しないと、その選挙の争点が理解できないわけで、投票に行かないのです。しかし、その争点を理解しても、候補者が、その争点に対してあなたを納得させるような解答を出さなければ、投票所に足が向かないのです。
4.マス・メディアの影響力
先程も述べたように、我々は選挙に投票するに際して、その選挙の争点を知る必要があるわけで、(1)〜(4)の条件を補佐するものとして、新たな条件を増やす必要性が出てきました。それが以下の条件です。
(5)孤立の恐れは、強い論争的、道徳的論点において存在する。従って議題は感情的に変化しやすく道徳的負荷である範囲にある。
(6)マス・メディアは投票行動の過程に強力に影響し、論点の強度と見方を定めることになる。
要するに…
(5)景気の問題よりも、行政改革や政治家の汚職の問題のほうが選挙の争点になりやすい。
(6)新聞やニュースを見て、選挙の争点に対する関心によって、
投票所に行こうかどうか決める。
(5)・(6)の条件は共に、近代におけるマス・メディアの発達によって生まれた条件です。つまり、マス・メディアによって私たちは投票所に行こうか行くまいかとか、誰に投票しようかという意志の決定を左右されるのです。具体的には、以下の3点によって影響されます。
(1)メディアによる論点の公共化…広く社会一般に伝える。
(2)メディアによる論点の協調化…異なる意見同士を伝える。
(3)メディアによる論点の累積化…繰り返し何度も伝える。
そして、マス・メディアが報道に関してどのような立場に立つかによって、さらに世論に影響を与えることになります。そのパターンとして以下の立場があります。
(1)半数以上のメディアが世論の多数派を支持する。
(2)メディアが少数派を支持し、やがて多数派になる。
(3)メディアが世論の少数派を支持するが多数派にならない。
(4)メディアが多数派も少数派も支持しない。
(5)メディアにかかわらず社会全体の事件のとき。
(1)・(2)はよくあるパターンですが、(3)〜(5)はマス・メディアによる報道が無意味であった場合のものです。
5.意見の風潮の創出
前の文章に「意見の風潮」という用語が出てきましたが、これは、「限定された時間と空間のもとで、公に示される、自己の立場を除いた他人の意見、態度、行動、価値の総体」という意味です。この「意見の風潮」というものが創り出されるときの、社会的機能に対するニュースの報道の影響を表わすとこうなります。
ニュースの報道 議題設定 集中 評価
↓ ↓ ↓
社会的機能 争点と問題の 重要性 想像
定義
6.沈黙の螺旋理論 〜さいごに〜
それで、今まで述べてきた仮説だの、条件だのの名前は、「沈黙の螺旋理論」といいます。何がどのように螺旋なのかといわれても、私がこのレポートを書く上で参照した資料には、一言も触れてはいません。そこで、私なりに考えてみました。
私たちが投票所に行くか行かないかという迷いが生じたとき、いくつかの条件に対して答えを出して、その結果によってその人の投票行動が決まるわけです。それまでの過程を図で示すと以下のようになります。
要するに、あなたは鳴門海峡を手漕ぎボートで通過せざるを得なくなった人であるとすると、途中で漕ぐのをやめると、渦潮に巻き込まれてしまうわけです。それゆえに、あなたは一所懸命漕がなくてはいけません。あなたはやっとの思いで海峡をこえます。つまり、選挙で投票に迷う人は、これほどの苦難を乗り越え、投票所へ足を運ぶのです。
参考文献:選挙と投票行動の理論([現代の政治学]シリーズ7)
白取 令 東海大学出版会
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