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“Atomic Bomb”で大丈夫ネ!
byきゃみさん
第1話 「アメリカの“GODZILLA”イチバ〜ン!にっぽんの“ゴジラ”ニバ〜ン」
昨年アメリカでそこそこヒットし、日本で凱旋上映された“GODZILLA”通称“USAゴジラ”は日本では全くうけなかった。何故だろう?見た目の違いや色んな理由があるだろうが結局のところ“USAゴジラ”には我々に訴えかけるテーマが無かった、ただのパニック映画でしかなかったのだ。
そもそも元祖日本の“ゴジラ”は水爆実験の影響で200万年前の古代生物が突然変異した怪獣であり、54年におきたアメリカのビキニでの水爆実験における第5福竜丸被爆事件などの反核の世相を反映して事件と同年に作られた映画であった。
その後、ゴジラは時代の移り変わりにあわせて人類の思い上がり、例えば公害やバイオテクノロジーの濫用のなどに対してその圧倒的な破壊力で我々に制裁を加えていくのである。どんな兵器や科学力でも倒すことのできないその姿に我々は科学の濫用の恐ろしさと自然の脅威を教えてくれたものだった。
それに比べ“USAゴジラ”はフランスの核実験の影響でイグアナが突然変異したと誕生までは日本のゴジラとあまりかわりがないが、マンハッタン島に上陸し破壊を行った理由は繁殖のためであり、思い上がった人類を懲らしめるどころか、あっさり米軍に倒されてしまうのである。反核の象徴ゴジラでさえ核の本家アメリカに渡ればメインテーマである核や放射能の脅威をなにも伝わることのない、ただ恐竜が暴れまわるだけの“くそ”映画になってしまうのである。
第2話 「ミーの目が青いうちは、ユーに
マイハウスの敷居はまたがせナイデ〜ス!」
アメリカではゴジラでさえこのあつかいである。いまだに「原爆ハ正義ト自由ノタメニ使ッタノデ〜ス」と言うような声が平気で聞こえるお国であるから、この国で作られた映画には核爆弾がお気軽に爆発するシーンを観ることができる。では、日本映画では滅多に観ることのできないハリウッド製のお気楽原爆爆発シーンをいくつか紹介したいと思う。
「宇宙戦争」(53年)
爆発地 ロサンゼルス郊外
爆発原因 敵宇宙船破壊のためにアメリカ空軍が使用
被害者 物語中ではゼロ。ただし、付近で観ていた者たちの放射能汚染は深 刻と思われる
火星が地球に大接近する53年、無敵に強い円盤に乗った火星人が地球を侵略。防戦する軍隊のあらゆる攻撃が効かないことを悟った政府が、原爆の使用に踏み切る。驚いたことに「従来の原爆の10倍」という原爆に対し、双眼鏡で覗ける位置から平気で人々が爆発を見物しているのだ。爆発前には「ゴーグルのない人は背を向けること。熱と衝撃が強烈です」という非常に頼もしい警告放送が流れ、さらには爆発後に、その場にいた人々が爆風で髪の毛を逆立たせている演出が見られる。(実際に翌年のビキニでの水爆実験では多くのアメリカ兵がこの映画よろしくサングラスなどをかけて水爆実験の様子を見物していて被爆した。しゃれになっとらん。)
「世界が燃えつきる日」(77年)
爆発地 アメリカ全土に数十発
爆発原因 交戦国(不明だが、恐らくソ連)のミサイルの発射
被害者 アメリカはほぼ全滅
物語冒頭でいきなり相手も分からず、アメリカ全土に核ミサイルが降り注ぐ。どこかの実験映像を使いまわして、それを描写。その後、アメリカが応戦したのかは分からないが、核の影響で地球の地軸がずれて(理由は不明)気候が大きく変化してしまう。物語は生き残りの米国空軍がヘンテコな装甲車に乗って大陸横断の旅をするところがメイン。放射能によって巨大化したサソリや人食いゴキブリを避けながら旅をするわけだが、実は核戦争後の世界を楽しんでいたりする。
「B−29エノラ・ゲイ」(80年)
爆発地 広島
爆発原因 アメリカ空軍の爆撃
被害者 約20万人
原爆賛美戦争映画。原爆投下までの乗組員の訓練模様を明るく描く。ほとんど戦争の悲壮感はない。いかにアメリカが余裕の戦争をしていたか、というのが分かる、余裕で原爆を落とされてはたまらないが。最後のテロップで「連合国国民には原爆が救いだった」とし、「原爆のもたらした平和をいかに維持するかが問題」と述べて、この作品の趣旨を如実に表している。原爆投下のシーンもピカッと画面が光っておしまい。正確な被害状況など微塵も述べられていない。それにしても何故に日本国内で日本人が英語で喋っているのだろうか。
「デフーコン4」(85年)
爆発地 米ソ両国全土に無数
爆発原因 第3次世界大戦勃発に合わせた大陸間弾道弾の発射
被害者 米ソの大多数
ほとんど理由も分からず突然戦争が勃発。あっと言う間に核弾頭の発射。その間の描写は軍事衛星内のコンピューターグラフィックだけというのが逆に怖い。その搭乗員が核戦争後に地球に不時着するわけだが、戦争後わずか数日しか経っていないのに、無政府状態の中で人食いの集団が形成され、奴隷制度、見せしめの絞首刑が復活、一挙に中世の様相を呈する。早い。おまけに人間の心が揃いも揃って醜くなる。「北斗の拳」の悪役並だ。あまりに人間の変化が早いぞ。放射能の影響は触れられているようで触れられていない。
「バタリアン」(85年)
爆発地 ケンタッキー州ハイビル
爆発原因 バタリアン壊滅のためにアメリカ陸軍が使用
被害者 約4000人
頭をぶち割っても死なないゾンビ軍団を一掃するために、ためらいもせず陸軍が誤爆に見せかけて核ミサイルを使用。バタリアンの無敵ぶりから核でも使用せにゃ殺せんかも、と思わせる部分はあるが、周辺に退避勧告も出さずに一地区の人間(ゾンビだけど)を跡形もなく消すほどの威力の爆風で死傷者が四千人程度で済むかは疑問。命令を下した大佐が作戦の成功を喜ぶ発言をするあたりはさすがアメリカ。器が違う。
「シャドー・メーカーズ」(89年) 原題「FAT MAN AND LITTLE BOY」
爆発地 ニューメキシコの砂漠(トリニティ実験場)
爆発原因 アメリカ空軍の軍事実験
被害者 公式発表はゼロだが放射能汚染のための死傷者ありという説もあり
広島と長崎に落とされた原爆を作った人々の立場から描いた作品。周囲の科学者に反原爆の動きが起こったり、一見中立的に原爆問題を取り上げたようにも見えるが、製造者のオッペンハイマーが戦争終結の功労者として持ち上げられているシーンがラストシーンだったり、最後のテロップが「原爆が落とされた後、日本は降伏した」という説明のみだったり、投下後の広島と長崎の被害が全く述べられていなかったり、と実は過去からの保守的な意見の焼き直しに過ぎない。
「ヒロシマ」(90年)
爆発地 広島
爆発原因 アメリカ空軍の爆撃
被害者 約20万人
この作品は驚きだ。本当にアメリカ人が作ったの、というぐらい日本よりの原爆映画。ひたすら原爆の被害の大きさと残酷さを鮮明に描き切っている。出てくる日本人は民間人も軍人もみんないい人で、アメリカ人の役者は脇役に捕虜として出てくるのみ。アメリカ兵に向かって日本兵が「もう人殺しはやめろ」というあたり完全にアメリカが戦犯状態だ。アメリカ退役軍人や中国人が聞いたら怒りそうな言葉である。建物から察するにロケ地はどうもアメリカ国内だが、この作品がどの程度の規模で上映されたのか気になるところ。
「トゥルー・ライズ」(94年)
爆発地 フロリダ近くの海
爆発原因 イスラム原理主義のテロリストが仕掛けた時限式核弾頭の作動
被害者 物語上ではないが、海洋汚染は深刻
ほとんど問題にされなかったのが不思議なぐらい原爆を軽々しく扱っている作品。「ショータイムだ。原爆を見るな。閃光を見るな」という軽い警告一つで、キノコ雲の舞い上がるのをバックに主役のシュワルツネッガーとジェレミー・リー・カーチスが抱き合い接吻。原爆が終わればショータイムは終わったとばかりに話はポンと飛ぶが、周囲の海洋汚染は深刻と思われる。作品全体に何でもやっちゃえ、というノリが感じられるが、このシーンだけは悪ノリが過ぎた。アメリカ人にとって原爆は映画を盛り上げるための一つの効果に過ぎないということらしい。
「インディペンデンス・デイ」(96年)
爆発地 壊滅状態のヒューストン上空とエイリアン母船内
爆発原因 敵宇宙船破壊のためにアメリカ空軍が使用
被害者 ヒューストンの残存者とエイリアン母船乗組員
今更解説の必要のない大ヒット映画だが、やっていることは「宇宙戦争」と同じ。原爆の使用に対し大統領が多少迷ってみせるあたり見せかけの倫理観は進歩有りか。しかし、地球に近い宇宙空間であれだけの核爆発が起きれば地球にも何らかの影響があるように思えるが、当然触れられてはいない。
「ブロークン・アロー」(96年)
爆発地 ユタ州の銅鉱山地下
爆発原因 核弾頭強盗犯の仕掛けた時限式核弾頭の作動
被害者 ヘリ1機とその搭乗員数名
主人公とヒロインがわずか数分後にセットされた核弾頭と一緒に地下に閉じ込められる。とっさに地下水路を使って逃げ出すのであるが、どう考えても核弾頭から数百メートルも離れていない。ところが、二人の近くでは何も起こらない。水を通ってきたからか?かなり謎だ。その後、珍しく放射能の心配をするヒロインに向かって、「大丈夫。今のは地下爆発だ。放射能の心配はない。見ろよ。蝶々だ。蝶が飛んでいたら放射能の心配はないのさ」と、納得させる主人公。二人は抱き合って、めでたし、めでたしだ。アメリカ映画はこうあるべし、というお手本。
「ピースメーカー」(97年)
爆発地 ウラル山中
爆発原因 核弾頭強盗犯の仕掛けた時限式核弾頭の作動
被害者 約1500人
ロシアの貨物列車から10発の核弾頭が盗まれるところから物語りは始まる。10発もあれば1発ぐらいは爆発させてみたくなるのが人情。ウラルの山の中で見せしめに的に1発爆発させてしまう。残り9発中8発は中東に運ばれる前に回収されるが、1発だけはボスニアの外交官の気違いじみた執念でNYに運びこまれ、タイマーがセットされる。これを核兵器密輸対策チームの女科学者が解除するわけだが、この女がやった放射能をもれさせないための小爆発など理論的に絶対不可能!作品中のような無茶苦茶な爆弾の扱い方をするとNYはもちろん、東海岸全域に致死量の放射能が降り注いでしまうだろう。トホホ…
第3話 「それがユーのマ〜キシマムで〜すか?」
ご覧の通りアメリカ映画では核兵器はどんな事態でも解決してくれる手軽な兵器として登場している。昨年の映画「アルマゲドン」でも小惑星の地球衝突を小惑星の中で核爆弾を爆発することで防いでいる。それに対して唯一の被爆国日本では核兵器は決して万能ではない物として、そして放射能の危険性についてもきちんと言及している。そのことは子供の見るアニメ番組でも確認することできる。
たとえば「はだしのゲン」なんてのは当たり前だが、核戦争後の世界を描いた「北斗の拳」、あの目茶苦茶な世界でも主人公の兄弟子は無敵の拳法使いであったが結局、放射能の影響で病死する。ロボットアニメの金字塔「機動戦士ガンダム」でも両陣営の間で南極条約という核兵器の使用禁止条約が結ばれていたり(マ・クベやガトーは使っちゃったが)、核動力の兵器を破壊するさいには細心の注意をはらったりしている。最近のアニメでは「新世紀エヴァンゲリオン」の敵は核兵器では破壊できないし、核攻撃後の爆心地は放射能汚染により放棄したりしている。
これら代表的なものだけだが、日本では映画だろうがアニメだろうが核兵器を用いてハッピーエンドなんてものはない。核兵器にも限界はあるし、何より放射能汚染の被害がひどく使えないものとされているのだ。
最終話 「ミーに任せなサーイ」
日本人は社会の教科書やあらゆるメディアで核の脅威を徹底的に刷り込まれているが、アメリカでは一体どうなんだろう。ハリウッド映画を見る限りでは、それなりに核は恐ろしいものだということは解ってきたみたいだが、それよりも核さえあればどんなことでも防げるという考えの方が根強いのではないかと思ってしまう。今、隣の国でも核兵器の開発に食費も惜しんで頑張っているが、いざと言うときには米軍が半島に向けて1発お見舞いしてくれるから僕たちは安心して眠れるつうもんである。核兵器がハリウッド映画のように万能な兵器であったなら……ね。
閑話休題 「GO TO HELL!」
この核アレルギー日本のメディアの中で唯一気軽に核兵器を使用できるものを私は二つ知っている。どちらもTVゲームなのだが、まず一つ目はパソコン版「提督の決断」(光栄)。太平洋戦争をモチーフにしたこの作品では、ある程度技術力が上がると日米どの陣営でも原爆を開発することができる。そして長距離爆撃機があれば敵軍の都市に投下できるのだ。私も幾度となくサンフランシスコやロサンゼルスに落としたことか。投下することによって都市の防御力、生産力は0になり占領することができる。実に愉快。しかしこの原爆、家庭用TVゲームに移植されるにあたり、従軍慰安婦の絵とともにカットされた。
次に紹介するのはゲーム史上最高のSLGとして名高いメガドライブのソフト「アドバンスド大戦略」(セガ)である。こちらは裏技で隠し兵器として登場する。自軍(ドイツ)ならDo217核武装タイプ、アメリカ軍ならエノラ・ゲイを生産すれば何時でも何処でも原爆を落とせる。ゲームでは爆心地から範囲9ヘックスが荒地に変わり都市、空港、橋などは耐久力が1になってしまう代物で、ベルリン攻防では泣く泣く自国に落として足止めに使ってました。このゲーム、電源を入れるとヒトラーの演説が流れるし本当に最高のゲームです。
完
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