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「総統の御旗のもとに」ああ素晴らしいナチ華撃団
〜ヒトラー・ユーゲント〜


byきゃみさん

 今の教育環境は腐っている!!学級崩壊にいじめ、自殺、殺人、売春と悪のかぎりが青少年の間で充満している。これではいけない、国家がもっと教育に立ちいらなければならないのである!!

 と、言うことで国家が教育に立ち入るとどうなるかここは先例であるナチスドイツの「ヒトラー・ユーゲント」について考えてみよう。

 ナチの少年洗脳組織としてのイメージがある「ヒトラー・ユーゲント」だが、もともと「ナチ青少年運動」として選挙権を持たないため党内で無視されていた連中が作ったサークルでありナチスとは関係が無く最初は7名のみだった。

 しかし、ナチスがドイツに浸透するにいたって大規模化、組織化され、最終的にナチスがドイツの全権を掌握し独裁化する中、1936年12月1日の「ヒトラー・ユーゲント法」によって全ドイツ国民の10歳以上の者は強制加入が命じられ、他の青少年組織は禁止されるにいたり、国家的組織となった。

 ヒトラー・ユーゲントと教育との関係と聞かれれば1933年に出された「学校とヒトラー・ユーゲントとの関係に関する布告」で学校、両親の家と並んで第3の教育施設と宣言していた。

 で、彼らが何をヒトラー・ユーゲントでやっていたかと言えば、祭りや行事の手伝い、キャンプ、学習会、福祉活動等のボランティア、海外への親善旅行などである。特に海外への親善旅行は枢軸国だけではなく欧米やアジアなどにも渡り、外務省が嫉妬するほど各国で平和の使者として歓迎され、各国の青年団と友好を深めていた。

 ドイツの家庭は伝統的な家父長制で厳しく、学校も伝統的な規則や体罰が横行しており、そんな中「ヒトラー・ユーゲント」ではユーゲント同士の間では身分や階級もなく「ユーゲントはユーゲントによって指導されねばならない」とした原則もあり、生徒たちは自己形成を自分たちで責任をもって、共同で決定することが求められ、教師の役目はそれを間接的に指導することであって、直接教え込むものでは無いという理念があった。(もちろん、その中には先輩や後輩、リーダーなどの序列は存在していたが能力主義であった)

 家庭や学校で閉塞感を味わっていた少年たちにとってヒトラー・ユーゲントとは大人からの解放を意味していたのだ、特に家父長制が根強かったドイツの少女たちとっては、これらは「家庭からの解放」を意味しており、少女たちがキャンプなどの出掛けることに反対していた保守的な大人たちも国家政策には反対しきれなかったのである。そしてこのことは自立した女性たちを社会に生み出すことになったのである。

 少年たちはユーゲント同士で教え合い、競い合い、助け合い、皆で火を囲み歌を唄い、自由に議論し、ボランティアをする・・・。そういう生活の中で集団の中での自分を見つけ、社会(国家)に貢献することに意義を感じる人格を形成していったのである。(特に皆で歌を唄うことは団結力や友情を確かめたり、強固にするには最適の手法であったとされている。)

 しかし、これは戦前の話しであり世の中が第二次世界大戦に突入し泥沼化すると状況は一変する。ハイキングやスポーツは軍事教練となり、ボランティアは占領地での植民活動になり、そしてエリートユーゲントは武装親衛隊の将校に抜擢されていった。

 そして指導者たちが次々に戦地に奪われ、家庭でも父は戦地に赴き不在、母には権威がなく導く者、制御する者を無くしたユーゲントたちの不良化が進んだ。帰宅時間を無視し、男女のユーゲントが深夜まで街頭で暴れまわり、反政府的な演説をし、傷害事件などを引き起こすようになっていったのである。

 さらに戦況が悪化するとユーゲントたちの分化はさらにすすんだ。不良化しチンピラになる者、エリートとして軍に徴兵される者・・・ 前者は反体制主義者としてゲシュタポに捕まり処刑され、後者はパンツァーファーストを抱えて赤軍に突撃していった。

 結局、「ヒトラー・ユーゲント」もナチスの他の政策同様、最終的には破滅的な結果だけが残りそれだけしか語られることのないモノであるが、もし戦争が無くこの体制が続いていたらという興味がわく。(政策目標に戦争の無いナチス政権なんて考えられないが)

 現在でも似たような活動は地域の子供会ではよく見受けられる。(もともとヒトラー・ユーゲントが子供会の延長だったわけで当たり前と言えば当たり前なのだが)そして、今政府が考えている教育改革の中にも多く「ヒトラー・ユーゲント」と同じ発想のモノが含まれている。そしてこれが国策として施行されれば21世紀の「ヒトラー・ユーゲント」としてどう子供に影響を与えるのか? 国家政策として協調性をたたき込むことで、荒れる子供たちは自律的な社会人になれるのか?実に楽しみな実験ですなぁ・・・。

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