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コラム
官僚制の歴史
byジュリー
官僚とは狭義には公務員のことであるが、広義には大規模組織に一般的にみられる事務員ないしは管理者のことをさす。たとえば「オール名城文化局」のアホもいちおう官僚なのである。そして官僚制とはこのような「官僚」を構成員とし、書類で事務を決済し、分業・協業によって仕事を遂行する上意下達の没人格的な組織のことである。
さて日本では律令体制で官僚制が確立したが、これは平安後期には衰微してしまった。官僚制が発展したのは江戸時代に入ってからである。しかし律令官僚制も武家政権の官僚制もその官職は特定の家の世襲財産とみなされており、(摂関家による律令高級官僚の独占、御三家の付家老が典型)そうでなくても特権階級が主要官職を独占していた。広く一般から人材を集め、能力本位で昇進していく近代官僚制とは異質のものだった、といわねばならない。
近代的な意味での官僚制が整備されたのは、明治15年の「官吏服務規律」が制定されてからである。これは明治20年に改正された。また明治18年に「内閣職権」が発令されて内閣制度が創設され、明治憲法発布後「内閣官制」が制定された。ここに戦前の官僚制の骨格が定まった。これらはドイツをモデルにしたものであり、またいずれも勅令としてだされたところに特徴がある。そして官僚たちは「天皇の官吏」として天皇に無私の忠誠を誓うべきとされ、親任官とか判任官とかといった一種の身分制的な制度が導入された。このように国民に対して絶大な権威をもち、「国民の公僕」という意識は稀薄だった。
この明治官僚制は太平洋戦争後、アメリカの影響を受けて制度上は変化した。しかしその構成員はほとんど変化せず、官僚の行動や役割はあまり変わらなかった。そして官僚制は現在に至っている。
中世後期以来、社会の複雑化に応じてしだいに大規模になってきた官僚制であるが、20世紀に入ると経済や社会への国家干渉が強まり官僚制は飛躍的に強化されてきた。最早議会は政治の中心ではなくなり、肝心要の立法権でさえ形骸化しつつある。議会は官僚作成の法案をただ形式的に審議して裁決する。その裁決でさえ党議拘束であらかじめ結果はわかっている。審議さえすでに形式的なものになっている。そして法案も概括的で抽象的なもので、最初から詳細な事柄は委任立法でお役所にまかせることを前提にしている。
そもそも国会議員自体が多くの国々の多くの政党で官僚化しつつある。もっともわが国では共産党以外はあまり官僚化していない。しかし小選挙区比例代表制が導入された為、官僚化がどんどん進んでいくと思われる。
さらに官僚制自体も時代とともにいよいよ強化されていった。構成員は増加し、業務はいよいよ細分化されて権限が明確になり、ありとあらゆる分野に明確な上下関係が確立していった。19世紀にはまだ残存していたコネによる採用は廃れていき、試験による採用と業績による昇進がひろまっていった。この為ますます官僚制は議会や大臣の制約から自由になっていき、前記の社会の複雑化とあいまって官僚制は巨大化していった。さらにこの現象は公共の分野だけでなく民間分野においてもみられている。大企業や労働組合、教会などの民間の大組織にも同様の官僚機構が発達していった。現代はこうして社会のありとあらゆる所に官僚制がはりめぐらされ、「官僚」が社会を管理運営していく管理社会である。このような社会の極限がいわゆる社会主義国家である。社会主義国家においてはありとあらゆる事柄を国家=共産党が決定している。そしてそれに反対したり疑問をもったりすれば「人民の敵」として弾圧されてしまう。社会主義はこの意味でも20世紀の極致といえよう。
官僚制はその効率性と公平性で20世紀に適合した制度として大発展したのであるが、官僚制に欠点がないわけではない。第一に官僚制は形式偏重でしばしば内容は二の次になってしまいがちである。第二に融通がきかないということである。第三に個人の個性を圧迫してしまいがちである。第四に組織至上主義におちいり、ことなかれ主義になってしまいがちである。このような欠点の結果、官僚制は目的とは逆に硬直しきった、無駄の多い組織になってしまいがちである。今日の日本などは制度疲労をおこした官僚制の典型的な例である。
では将来にむけて官僚制はどうあるベきか。まず第一に官僚制にたいして、議会や内閣、地方の首長といった政治家による統制を確立することである。第二に官僚機構のもつ情報が業務に支障をきたきない範囲内ですべて公開されるべきである。第三に官僚機構内部においても業績を的確に評価する制度を導入するべきである。このような制度を導入し、適宜事業を見直し、不必要あるいは無駄の多い事業や部局を思い切って廃止、縮小できるようにすることが日本の官僚制にとって重要な課題である。
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