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テーマ共産主義
G1とコンビーフの狭間


byいくま


*はじめに
 あなたの値段はいくらですか。あなたのお父さんの値段は、家一件と同じでした。十九世紀から二十世紀へと変わりゆく途中、いつのまにやら人生と貨幣は対価性を持つようになってしまいました。
「人の命は地球よりも重い」という言葉が嘘っぽく聞こえるのは、現実には我々は通貨と同じ次元に生きているからです。
 一日八時間(プラス残業)働いて生涯一億円。
 女子高生が援助交際して一回一万円。
 腎臓一個で三百万円。
 これが地球よりも重い我々の値段だ。

 サラブレッドは走るために生まれ、走れなくなればコンビーフになります。
 私達は働くために生まれ、働けなくなれば老人ホームにつめこまれてボケます。
 両方ともなんだか分からない理由のために、一生競争するだけの生き物です。両者ともに、本来そういうものだったのでしょうか。
 これを間違っているということはたやすい。しかし競争すること放棄して、新宿駅前を追い散らされるのもごめんです。
 やはり私達は、自分の値段を吊り上げるために競争する以外の生き方を選択できないのでしょうか。

 質問。「私達が豊かさを実感できないのはなぜか」
 ’70年代の解答。「それは資本家に搾取されているためです」
 ’80年代の解答。「精神が満たされないからです」
 ’90年代の解答。なんだか気恥ずかしくて、そんな質問を真顔ではできない。ましてや誰も答えてくれない。
 この変化はどういう意味を持つのだろう。
 楽観的にみるならば、社会は現実的に豊かになって、そんな疑問を持つ必要がなくなったからだと言えるでしょう。たしかに誰でもエルメスのバッグを買えるようになって、誰でもハワイに行ける。二十年前では考えられないことです。
 しかしそんな豊かさに、十九世紀から「待った!」をかけるおっさんがいます。そのおっさんは我々を見て言うでしょう。
「疎外された労働においては、つねに一般大衆は搾取される。たしかに君たちは豊かになった。しかしそれは飼い犬の鎖が長くなった以上のものではない」
 おっさんの名前はカール・マルクス。今日は彼とともに我々の鎖について考えてみましょう。


1.共産主義の20世紀

 20世紀は共産主義の時代であった。政治も文化も経済も、マルクス主義ないし反マルクス主義によって形成されてきたと言っても過言ではない。ロシア革命とそれに続く共産革命は言うに及ばず、ファシズムも大量消費経済も実存主義も学生運動もコギャルもたまごっ<中略>、20世紀を象徴するものでマルクスの洗礼を受けずにいたものはない(実は歴史部も)。
 乱暴に要約するなら、20世紀とはマルクス主義の壮大な実験場であり、1975年から現代、そして21世紀の少なくとも前半までは、その挫折と過失の清算の期間であると言えるだろう。
 まずはその歴史を、19世紀の発生から順におって見ていきたい。

・まずは19世紀
 社会主義(*1)という言葉が発生したのは、産業革命の真っ只中1820年代である。その直接的な動機は当時の労働者の悲惨な労働条件にあり(子供がトロッコひっぱってるアレね)、その環境の改善から社会主義はスタートした。
 当時の社会主義が目指していたものは、後にマルクスから空想的社会主義(*2)と排撃される。
 とりあえず、この段階での社会主義の主張をまとめてみよう。
 A.生産手段(*3)の共有化。
 B.資本主義の打倒。
 C.民主社会の確立。
 社会主義的な主張はあらかた出てるね。
 マルクス主義とこれらの相違については、どうやらその方法論にあるようだ(*4)。マルクスは自らの社会主義理論を、科学的社会主義と称している。その詳細については後述したい。

 さて、このように生まれた社会主義は、19世紀の現実にどのような影響を及ぼしていったのだろうか。
 1864年にマルクスを主導者に、第1インターナショナルが結成される。これは社会主義者の国際的組織で、各国の社会主義に大きな影響を及ぼした(exパリコミューン)。
 しかし、ひまな文化人の集まりの域を越えるものではなかったようで、76年には解散してしまう(*5)。
 この後第2インターナショナルも結成されて、第1次大戦まで社会主義の中心勢力となっていく。このあたりをくわしくやるとレポートがもう一本できそうであるが、テーマが20世紀であるので涙を飲んで割愛。
*1 マルクス主義では、共産主義の前段階として扱われています(解釈多数あり)
*2 ユートピア傾向が強く、資本主義の分析や階級闘争を考慮しない労働者解放は空想的でダメらしいっス。
*3 後で嫌になるほど説明します。
*4 資本主義の経済的分析による必然的没落性、階級闘争による権力の奪取なんかが科学的だってさ。
*5 ビスマルクに代表される各国の社会主義者弾圧政策、そして内部での無政府主義者との路線対立などが原因。ちなみにこの無政府主義者の代表のバクーニンというおっさんがいたが、1960年代に大学で「俺はバクーニン主義者だ!」とか叫んだりすると鉄パイプで殴られる。

・ロシア革命
 共産主義の華であり、恥部でもあるロシア革命。それは労働者の解放であり、反体制分子のシベリア抑留である。それは独占金融資本の打倒であり、暴力革命の輸出源である。それは日本軍からの中国の解放であり、ハンガリー動乱の三万人の死者である。
 スターリンとスターリニズムの過ちであったと共産主義者は言う。
 共産主義の制度的欠陥を述べる者もいる。
 あれほどみじめな最後を迎えたソ連であるが、20世紀最大のエポックメイキングであることは間違いない。ロシア革命に比すれば、ナチズムも冷戦も核兵器も歴史的には局地的な意義しか有していない。
 まずその足跡についてごく簡単に述べよう。
 第一次大戦が始まって、ロシア軍の負けがこんでくると物が足りなくなっておなかがすいてくる。1917年、ポチョムキン号で兵士が暴れたのをきっかけに、各地で労働者や兵士が暴れて手が着けられなくなり、皇帝は銃殺(二月革命)。
 その後成立した臨時政府は、レーニンを指導者とする共産主義者によって倒される(十月革命)。
 その後レーニン死んだりトロツキーが追放されたりして、愉快な(*1)グルジア人のスターリンが指導者となった。
 その後なんやらかんやらで私達の知っているソ連に至るのである(書いてて酒が回ってきたのでなんかいいかげん)。
*1 カザフスタンからイスラム教徒600万人を消滅させたり、トロツキーをアイスピックで暗殺させたりと、彼の愉快さはとどまるところを知らない。

Q.我々の知っているソ連社会主義の失敗は、スターリンにその原因があるのだろうか。
 あるいは彼個人の魯鈍以前の、共産主義の失敗であったのだろうか。

・20世紀の主軸
 ナチズムが共産主義への対抗として発生したことは、おそらく間違いない。事実ヒトラーは多数の独占金融資本から金銭的援助を受けていた。彼等資本家としては、財産没収されるよりはき〇がいが政権を握るほうがマシだと思ったのだろう。
 そのき〇がいが始めた第2次大戦後、共産主義は資本主義陣営と対立を深めて冷戦に突入した。
 共産主義への幻想が上り調子であったのは、1975年までであった。それまでは共産主義とは、アメリカ帝国主義に対抗する唯一の勢力であり、金融独占資本の横暴を食い止める勢力と認識されていた。ベトナム戦争も学生運動も労働運動もその認識のもとに盛んだった。
 けれどもベトナム戦争終結後のあたりから、共産主義に対する夢はどんどん覚めていく。
 ソ連のアフガン侵攻、ポルポト派の残虐行為、文化大革命の失敗など、その後の共産主義には醜聞が絶えない。そしてソ連の崩壊は決定的に共産主義の失敗を印象づけた。
 マルクスの始めた遠大な実験は、150年の時間をかけてその失敗を証明しただけだったのだろうか。

Q.共産主義の失敗とは、資本主義の成功であったのだろうか。我々は資本主義への懐疑を捨ててしまってかまわないのだろうか。


2.ポン助共産入門
 さて、ここまでは共産主義の歴史を扱ったわけだが、ここからは共産主義の理論面を解説していきたい。
 断っておかなければならないのは、共産主義・社会主義にはものすごい数の分派があって、それぞれが正当を主張している。今から一応マルクス・レーニン主義のつもりで書くのだが、じつはきちんとしたマルクス・レーニン主義なのかどうか自信がない。そもそも資本論きちんと読んだこともないし。
 そういうわけでかなりいいかげんなことも書いてるわけだ。

・難しい言葉で言う
 まずは共産主義の目指すところを考えてみよう。
 A.生産手段の共有(国有)、あるいはその再分配
 B.労働の人間性の回復
 C.金融独占資本帝国主義の打倒
 D.以上を実現するための革命
 並べてみたが、書いてる本人も何のことだかよくわからない。とかくあの手のものは言葉が難しくていかん。
 なるべくポン助にも分かるようにこれらを解説していこう。

・ポン助でもわかる「生産手段&労働の疎外」
 Q.生産手段て何?
 A.商品を生産するために必要な設備・装置のこと。例えば鉄板が商品だったらプレス機が生産手段、米が商品だったら田んぼが生産手段、子供が商品だったらおとうちゃんとおかあちゃんが生産手段。工場とか店舗とか土地とかも生産手段。

 Q.労働の疎外て何?
 A.労働力以外に何の生産手段も有していない労働者は、自らの労働力を商品として切り売りするしかない。本来生活のため、そして自己実現のためであった労働は(*1)商品と同じレベルにまで低下し、つまりは人生に値段が付けられることになる。資本主義とは、より緻密で巧妙な奴隷制にほかならない。

 以上をふまえて「A.生産手段の共有(国有)、あるいはその再分配」
「B.労働の人間性の回復」
 について考えてみよう。
 生産手段を国有化すれば、過当競争や余剰の商品か生産されることが存在しなくなる。労働者は、必要に応じて働き、必要に応じて受け取ることができる。生産手段を所有しているという、ただそれだけで利潤を得ている資本家という社会の寄生者が存在しなくなれば、随分と我々の生活は変わるだろう。だから生産手段を共有化しよう、そして商品奴隷になってしまった我々を解放しよう、ということさ。
*1 おそらく日本で最も苛酷な労働条件を強いられているマンガ家を例にあげてみよう。本来マンガを書くことはきわめて創造的な労働であるはずなのに、資本主義はそれを創造的であることを許さない。今のマンガ家は書きたいことを書くことはあまりないんですね。書かせてもらえないんです。編集会議で決定したシナリオを、マンガ化するだけの絵書きさんがかなり多い。そしてそのスケジュールはスーパータイト。彼等以上に労働の疎外を体現する職業はあるまい。書きたいように書かしてくれるガロのマンガがあまりおもしろくないというジレンマもあるのだが。

 Q.現在日本のGDP(国内総生産)は4兆ドル。つまリ一年で日本人は4兆ドルの物とサービスを生産するというわけだ。就労人口が50%だとして、4兆ドルを6000万人で割ると、一人あたり800万円の生産をしたことになる。
 私達は年収800万円あるだろうか。あるはずがない。残りの金はどこに消えてしまうのだろうか。

・対ポン助「需要と供給のウソ」論
 「見えざる神の手」という言葉がある。需要と供給の均衡により、おのずと資本主義社会のバランスは保たれるという経済学の言葉なのだが、もはやこの言葉は意味を失ったと言えるだろう。
 現代では必要に応じていくらでも需要を作り出すことかできる。例えば車検を考えてみると、20年でも乗れる車を車検費用のために買い替えなくてはならない。あれは法律が作り出した需要だ。
 それ以上にマスコミは架空の需要を作り出す。化粧品なんかさあ、100円均一の口紅でも2800円(税込み)でも代わりゃあしねえじゃん。片手でできるからそれがなんやねん。化粧品業界はまさに架空の需要のルツボである。
 バブルの崩壊などは、まさしく架空の需要が生んだ経済の破綻と言える。資本主義はその自律神経をもはや失ってしまったのだ。

・ポン助……しつこいからやめ。「金融独占資本&帝国主義」
 帝国主義についてはよい参考資料があるので引用したい……ってすみません。俺の昔のレポートです(しかもこれで二回目だ)。
『「金融資本の産業部門は植民地から原材料を安価で持ってくる
 →商品を作る→植民地に売る
 →産業部門は儲かる→産業部門と一体である銀行部門も儲かる
 →金融資本の、銀行部門が産業部門に金を貸す
 →産業部門はその金で工場を建てたい
 →どこがいい?→労働力の安い植民地がいい→植民地に工場を建てる
 →商品を作る→植民地に売る→儲かる
 →また工場を建てよう!→どこがいい?→植民地がいい……」
 これまでの素朴な帝国主義よりも、19世紀後半の帝国主義は、構造的に植民地の必要性がはるかに高いのです』
 このシステムは、いまだ変わることなく現代に生き続けている、という内容のレポートであった。
 産業と金融が一体になった金融独占資本は、構造的に植民地を必要とする。今も昔も変わらない。第2次世界大戦のようにむきだしの武力で植民地を争奪はしなくなったが、軍事力の介在が少なくなっただけで、経済的にはシステムは全然かわりはしない。
 資本主義の最終段階である金融独占資本は、構造的に植民地を必要とし、そしてその争奪戦が必ず行われる。極言するなら、資本主義は戦争を前提とした経済制度ではないのか。
 これをふまえて「C.金融独占資本の打倒」を考えると、何となく打倒しなくちゃいけない気になるじゃないですか。打倒しよう、おー(……眠い)。

・革命の理由
 資本主義では人間は商品と同じあつかいですね。死ぬまで競争ですね。 資本主義は自律神経を失ってしまいましたね。不況になったら容赦なく労働者を切って捨てますね。
 資本主義は戦争しますね。植民地でも搾取しますね。
 現在は金権政治ですね。金をもってる人か選挙勝ちますね。金をくれる人は資本家ですね。というわけで議会主義では、永遠に労働者のための政治は行われないですね。

 だから革命しようと共産主義者は言う。みなさんはどうですか。


*終わりに
 資本主義の必然的没落を予言したマルクスの言葉は死んでいない。共産主義が死んだことについては賛否両論のわかれるところであるが、ヒゲ親父の資本主義批判は未来永劫私達に疑問を投げかけるであろう。
 魔首領奴素子追悼二周年にこのレポートを書いた。一同黙祷。

参考文献 FOR BEGINERS MALX(マンガ。作者忘れた)
     資本論(最初の20ページだけ)
昔、名大生と魔首領奴素子に聞かされたこと。
     サルでもかけるマンガ教室
     ほかいっぱい。
5月17日AM3:45 いくま

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