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byいくま
入門編 帝国主義をイギリスにそって理解しよう
初回のこのレポートは、帝国主義について皆さんにわかりやすく理解していただくために作りました。歴史的な記述はひかえ、帝国主義というものの一般的な姿をとらえていただくことを主眼に作成してあります。
年代的にイギリスの植民地主義&帝国主義は三百年にわたるものですから、個々の歴史的な事柄は次回以降にひかえ、イギリスの流れをつかみ、さらに帝国主義とは何ぞや、と聞かれたら、百字以上説明できるくらいにはなりたいものです。決して手抜きではありません。
1.帝国主義(インペリアリズム)ってなんだろう
まず辞書を引いてみる。
・新語海:他国を軍事的・経済的に侵略して、一大国家を建設しようとする国家政策。
・角川新国語辞典:資本主義国が自国の軍事力を背景として、海外市場の獲得を目指して他国を自国の保護国、または領土にしようとする侵略主義。資本主義の最終段階(何やら、一般辞書にあるまじき左よりの内容のような気がしないでもな)。
・イミダス1988(古くてすまん):帝国主義とは、ある国の政治的・経済的支配権を他の国家・民族・領土に拡大していく政策で、膨張主義や植民地主義の同意語として用いられる。だが歴史学においてはもっと厳密に、19世紀以降の欧米資本主義列強の間で植民地における勢力拡張を目指す対立・抗争が激化した事態をいう(以下略)
最初のやつが分かりやすいですね。まあ簡単な説明。とりあえず、帝国主義についてくわしくない方は、これでイメージを膨らませて下さい。
ちなみに最初に定義から入るのは、ドイツ人の悪い癖らしいです。
2.では本題
帝国主義は現代にも脈々と生き続けていますが、その出発点はどこかと聞かれれば、迷うことなく私は18世紀後半にイギリスから起こった産業革命である、と答えます。
さて、産業革命は帝国主義の発端であり、またその継続する理由ともなります。このことは後に触れ、まずは現象面としてそのイギリスがどのように帝国主義の前進―植民地主義を進めていったか、かる〜く触れましょう。
3.まずは植民地主義国家の歴史
イギリスが植民地主義国家として世界史に登場するのは、1588年にスペインの無敵艦隊を打ち破ってからです。
株式会社の株主千人強が世界人口の1/5を支配する状況が、ここに出来上がったのでした。
大航海時代に開かれた航路が植民地主義の通る道になります。喜望峰経由のアジアへの道、大西洋を渡ってのアメリカへの道。
大航海時代の海の覇者であるスペインからその座を奪ったイギリスは、1600年にあの東インド会社を建設を建設して、ムガール朝時代のインドにくい込みます。北米にも植民地を建設します。
ライバルとしてはオランダとフランスがいました。以後第1次世界大戦までの300年間にわたる植民地獲得レースにオランダは脱落しますが、英仏は「持てる国」としてレースの先頭を走り続けます。
さて、大航海時代に広大な植民地を獲得したスペイン・ポルトガルは、世界史の流れのどこにいっちまったのでしょう。
この二つの国は、植民地主義国家にはなれたのですが、帝国主義国家にはなることができなかったのです。
では、それらはどう違うのでしょうか?
「植民地主義と帝国主義の違い―私の場合、まず私の独断的な分類です。
a.植民地主義国家―持ってくる国。
b.帝国主義国家―売りつける国。」
説明しよう。
スペイン・ポルトガルの両国がなぜ英仏蘭とはまるで違う結果をたどったのか。それはひとえに、植民地からただ物を―例えば銀―を持ってくるのと、自国で製造した産物―例えば毛織物―を植民地で売ることの違いにあるのです。
a.スペインは銀を新大陸から持ってくる。
b.イギリスはインドで毛織物を売る。
即物的に考えると銀のほうが得なような気がするが、あなたが一企業家・一国民である場合を念頭に考えてみましょう。
a.あなたは船をもっていない。船をもっているのは国王とその商人だけ。
新大陸にいって銀を取ってこれるのも国王とその商人だけ。
b.あなたは船をもっていない。でも、毛織物を作ればそれをインドで
売ってきてくれる。だから儲かる。もしくは、毛織物工場で働く
ことができる。だから賃金もらえる。
はなはだ簡略化したモデルですが、ま、こんなもんでしょう。
スペインの植民地経営は王様にしか利益をもたらさないが、イギリスの植民地経営は企業家に利益をもたらします。中産階級に利益をもたらします。利潤を得たならば、さらに事業を拡大再生産していきます。こうして産業は盛んになっていき―科学技術の導入にともなって18世紀後半には産業革命が起こるのでした。
a.王様はヨーロッパで銀を安く売る。代わりに他国から物を買う―自国の産業すたれる。
b.植民地は広大で、市場はいくらでもあるからどんどん毛織物作る―産業発展。さらに産業発展させるためには? さらなる植民地獲得。
これが帝国主義だ!
分かった?
4.産業革命
産業革命のことについて手持ちの本をペラペラと見ていたら、高校時代の資料集にあまりにも便利すぎてもう付け足すことのない略図がのっていた。プライドを捨てて、ここはそのまま使用することにします。
(諸般の事情で略図はカットいたします。お手元の資料集で確認して下さい)
素晴らしい略図ですね。これを見てしっかり理解すれば、もうこれから先レポートやる必要がないくらいです(重ねて言うが、決して手抜きではない)
5.産業革命後
そろそろ歴史に戻りましょう。
上記の産業革命はナポレオン戦争の前後に発生します。ナポレオン戦争の結果、ヨーロッパ大陸の指導的地位にロシアが、そして世界の海の覇者にイギリスはなりました。
産業革命で大規模工業が発達したイギリスは、世界中に安価な製品を売り、世界の工場と言われるようになります。例えば、鉄の生産量は1870年代に至るまで全世界の半分をしめていました。
ヨーロッパの動乱をよそに、1870年代にいたるまで基本的にイギリスは平和に過ごす。そしてヨーロッパの外では平和じゃない手段で植民地を伸ばしていく。アヘン戦争・アロー戦争・セポイの反乱―インド帝国成立・ビルマ戦争……。
しかし、ここで世界の工場の座が危うくなり始めます。1930〜60年にかけてヨーロッパの各国で(アメリカも)産業革命が始まったのでした。先ほどの例として出した鉄ですが、かつては全世界の半分しめていたイギリスの生産量が、十九世紀の末には世界の1/6になってしまったのです。
イギリスが弱くなったのではなく、「持たざる国」が「持てる国」に追いついてきたのです。
イギリスはさらなる植民地―商品の市場であり、原材料の供給地である―を求めてさらに植民地戦争を繰り広げます。トルコから独立したエジプトを保護国とし、アフガン戦争を起こし、スーダン・ウガンダ・ケニア・ナイジェリア・ローデシアなどアフリカ諸国を植民地にします。さらに典型的な帝国主義戦争と言われるブーア戦争をふっかけて、オランダ人の子孫(もちろん黒人も)が住んでいた南アフリカを植民地としました(ちなみにチャーチルはこの戦争に出た)。
ここにいたっては帝国主義は最終的な形態へと変貌します。
まず第2次産業革命が起こって、産業が軽工業から重工業へウェートが移行します。毛織物から始まったイギリス産業は、綿製品を経て、鉄鋼・非鉄金属・重化学工業へと製品が変わっていきます。石油・電気も登場します。
そして銀行資本と産業資本が結合し、金融資本なるものが生まれます。
そしてこれまで市場と原材料供給が目的であった植民地は、余剰資本の投下地として………。
どんどん言葉が難しくなっていくので、もう私なりにかみ砕いて話を進めましょう。多少の誤りは目をつぶってください。
これまでの帝国主義は先に書いたとおり―
「植民地は広大で、市場はいくらでもあるからどんどん毛織物作る―産業発展。 さらに産業発展させるためには? さらなる植民地獲得」
だったのですが、19世紀後半の帝国主義はもう少し説明が長くなります。
「金融資本の、産業部門は植民地から原材料を安価で持ってくる
→商品を作る→植民地に売る
→産業部門は儲かる
→産業部門と一体である銀行部門も儲かる
→金融資本の、銀行部門が産業部門に金を貸す
→産業部門はその金で工場を建てたい
→どこがいい?
→労働力の安い植民地がいい
→植民地に工場を建てる
→商品を作る→植民地に売る→儲かる
→また工場を建てよう!
→どこがいい?→植民地がいい……」
これまでの素朴な帝国主義よりも、19世紀後半の帝国主義は、構造的に植民地の必要性がはるかに高いのです。
この、工場を建てようというのが余剰資本の投下ということです。
ついでに、あまり好みではないが、レーニンなどを引いてみる。奴の「帝国主義論」と言う本に、はなはだ分かりにくいけれど帝国主義の経済的特徴とやらがのっていました。参考までにどうぞ。
一.生産と資本の集積が、経済生活で決定的な役割を果たす独占を作り出すほどに高い発達段階に達したこと。
二.銀行資本と産業資本とが融合し、この「金融資本」を基礎にして金融寡頭制が作り出されたこと。
三.商品の輸出と区別される資本の輸出が特に重要な意義を獲得していること。
四.資本家の国際的独占団体が形成されて、世界を分割していること。
五.資本主義的最強国による地球の領土的分割が完了していること。
さて、イギリス帝国主義に必要な植民地は、フランスにも必要ですし、アメリカにも必要ですし、ドイツもロシアにも日本にも必要です。
しかし世界はイギリスとフランスがほとんど分割していました。
遅れて参加した国も植民地が欲しい。
しかし帝国主義国は植民地がなくてはならない。領土的野心うんぬんよりも、構造的に……。
僕も欲しい。
私は譲らない。
それでも欲しい。
結果:第1次世界大戦。
六.問題提起
・例えば綿製品輸出―インドの場合
意見A:自由な取引として行われているわけで、インドの人は安く綿製品を買えて、イギリスの綿産業は儲かる。誰も損していないじゃない。
意見B:インドの綿産業は、イギリスの安価な綿製品のために壊滅してしまいました。インド人はそのために働き口を失います。これは確実にインド人にとっての損失です。
・帝国主義諸国の領土分割―例えばアフリカ
意見A:封建的・非文化的な国々の野蛮な支配から、現地人を解放してやったではないか。イギリスはアフリカに文明の灯をもたらしたのですよ。たとえ今は貧しくても、イギリス連邦の一員として生きる貧困と、未開部族の一員として生きる貧困との、どちらに未来があるでしょうね。
意見B:それはイギリス人が決めることではなく、アフリカ人が決めることです。望んでイギリス連邦に所属したアフリカの国があったでしょうか。
・産業革命(第2次も)の功罪
意見A:電気も欲しい。車も欲しい。安い服も欲しい。これらは産業革命で生まれた。
意見B:それは植民地でしいたげられた人の上にあるものだということを、忘れていませんか。
次回予告!!
恐怖!! インド帝国!!
戦慄!! 残虐行為の数々!!
無残!! インド産業の壊滅!!
自由は!? 民族自決は!? 人権は!?
イギリスの恥の歴史を暴く感動の名作、10/1だけロードショー
=感想=
・イギリスは非常におせっかいである。
・インドが近代化しないから悪い。
・弱き者は去れ
・産業革命を帝国主義の発端とする意見があるが、産業資本を軸とした経済構 造として考えるとこれを帝国主義とは言えない。
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