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バトルガンMac−16(DEATH WISH,4)
byきゃみさん
◎ Negotiator(交渉者)
最近、インターネットを使って企業や行政を告発し、“自警団”気取りでマスコミに取り上げられている「ホームページ・ネゴシエーター」なる者たちが急増している。はっきり言ってわしはこの風潮が気に食わん!何が気に食わないかって、これって「言葉のリンチ(私刑)」だよ、思いっきり自力救済の禁止に反しているじゃないのかと思うんだよね。どうせ警察や司法が頼りにならないんだったら男気見せてポール・カージーのように銃で闘えってんだ!(え、元ネタわかんないって?それなら今すぐビデオ屋にいって“チャールズ・ブロンソン”コーナーに吶喊(とっかん)し、DEATH WISHシリーズ全5巻をレンタルすべし!)
◎ 東芝ビデオ事件
このネゴシエーターを一躍有名にしたのが東芝ビデオ事件だ。ビデオの修理を頼んだら社員に暴言を吐かれたということを、ホームページで隠し録りした暴言の音声入りで告発したところ二ヶ月で800万件を超えるアクセスがあったほどの大反響。マスコミも煽って社会問題にまでなってしまった事件だったわけだ。(結局、東芝の副社長が謝って一件落着したのだが……)
当初、奴のホームページを見るかぎりでは、無辜の市民が大企業の横暴に対して告発したという体裁であり、奴は市民の英雄としてマスコミ各社に祭り上げられていやがった。しかし、何故東芝が客に対して暴言を吐くほど怒っていたのか?何故手際よく隠し録りをしていたのか?ということに疑問を抱くものが現れはじめたのだ。そして数週間後、週刊誌の中で奴のホームページの内容は一方的なものであり、奴は陰湿なクレーマーとして業界内では有名人であって、この騒ぎの中でも執拗に東芝に対して嫌がらせをしていたことが暴露されたのである。
◎ネットの威力
しかし、この事件によってホームページ告発というものが絶大な威力を発揮することが世間に知れ渡ってしまい、そして多くの追随者を生んでしまった。ホームページ告発は今までなら当事者間の交渉で解決していた問題を、広く不特定多数の人間に知ってもらうことによって、社会問題にすり替え、交渉を優位に持っていく戦法として個人で交渉するには最も有効な手段として利用いや、悪用されているのである。さらに、その告発が真実であり正当なものであればよいが、それが虚偽もしくは単なる思いこみによる告発であった場合その害悪は計り知れないものがあるのだ。
◎和歌山私立小倉小学校イジメ告発事件
その、ホームページ告発の危険性を我々に気づかせてくれたのがこの「イジメ告発事件」である。イジメられている息子(小1)に対して学校がなにも対処してくれないとその父親が「校長先生お願いです。殺される前に彼を出席停止にして下さい」と題して告発したこのホームページは、登場人物はすべて実名、表紙には息子の顔写真、さらには校長との三者面談の様子をビデオで隠し録った動画まで掲載されていたのである。この事件は新聞にも取り上げられ9月にはアクセス数は30万を越し、名指しで非難された校長は心労を理由に退職してしまったという事件である。
この事件、本当に息子が殺されそうなほどイジメられていたなら、父親の勇気ある決断として世間は拍手喝采していただろうが(私はしないが)、現実はこの親父の思い込みと妄想のようなのである。学校側やPTAなどの調査の結果イジメの形跡はなかったそうな。しかし、この親父は学校側の調査結果には納得せず息子の登校を拒否、ホームページでいじめたと思い込んでいる小1の子供をまるで殺人未遂の容疑者のように実名で告発するという暴挙に出たのだ。この親父のでたらめな告発のために、退職した校長をはじめ告発された子供とその両親、担任の先生、そして自分の息子と一体何人の善良な人々の未来を滅茶苦茶にしてしまったのか!
◎ 失楽園
インターネット告発の恐ろしいところは、何度も言うが不特定多数の人間がその情報を知り得ることにある。たとえその情報がでっちあげでも世界中の人が何十万人もその情報を知ってしまうことである。告発者の一方的な告発と情報のみを手に入れた人々は、東芝を悪徳メーカーに、小1の子供を殺人鬼と思ってしまうだろう。それに対して東芝や小学生がその情報を訂正するには一体どれくらいの努力と時間が必要なのであろうか?つまりインターネット告発されるということは何の証拠もないのに事実の認定をされ、世界中に指名手配されたみたいなもの、いや晒し者、さらしの刑に処せられたのと同じなのである。告発とは言っているが実際は私的な刑の執行に他ならないのだ。
法学を少しでもかじっている者ならわかるはずだが「自力救済の禁止」は近代国家の基本中の基本である。インターネット告発のように証拠の立証もせず裁判も無しに実力行使にでるようなことがまかり通ってしまえば社会秩序が乱れてしまうのは必定なのである。もし本当にネゴシエーターが自分の告発が正しいと思っているなら正々堂々と法廷に立てばいいのである。自分が勝てる土俵でしか闘わないのは最近の横綱のように卑怯で悪辣だとしか言いようがないではないか!
しかし、悪いことはすぐ広まるもので早急に手を打たないと世間は企業や個人に対しての中傷で溢れ返るだろう。情報化社会とはある意味では誰もが中傷の発信者や対象者になってしまう社会なのだ。そしてその中傷に対して我々は現状ではまったく有効な手段がないのである。インターネットの存在意義とは自由に情報を発信することに集約されるが、これからもインターネットの利用者が、情報を自分のわがままを通したり、人を陥れるための武器として悪用するのであれば、何らかの規制や処罰の法整備をしなくてはならないだろう。『モラルを持たないメディアは国を滅ぼす』とは“シーマン”の言葉だが、またこうしてモラルの無い利用者のために一つの自由の楽園が失われようとしているのである。
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