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Y2Kバブルとの戯れの中から
著者:赤いナポレオン
(1)そんなに大騒ぎするほどの事かしら
コンピューター2000年問題(以下略Y2K)。即ち西暦2000年を境に一部のコンピューターが作動下良を引き起こし社会システムの様々な面に渡って深刻な打撃を与えると云う「人災」のことである。今年は1999年であって来年がその問題の年に当たる訳なのでメディアなどがやたらと絶叫を繰り返しているのが目に付く今日この頃である。
この問題の解決方法は至って簡単、コンピューターを作動させているプログラムを書き換えれば良いのである。そしてそれに伴い世の中のY2K未対応のハード(簡単に云えば機械類のこと具体的には1995年以前の製品を指すらしい」但ししアップル製品の場合は1984年度版製品以来全てY2K対応らしい)を、これを機会にすべて入れ替えてしまえば完壁である。但しこのパーフェクトな対策を実施するには綿密なタイムスケジュールとネットワーク調査、それに莫大な予算と時間か必要であり問題の年まで残り僅か100日余りとなってしまった現状ではどう考えても「手遅れ」としか云いようかない。だからスッパリ諦めなさい。それにしてもこの問題、そんなに大騒ぎするほどのことなのかしら? ねぇ奥さん。
(2)Y2Kが世の中にもたらすであろう被害
・ライフライン(電力供給・配水システムなどコンピューター管理である。)が寸断される。
・コンピューターチップを内蔵した電化製品の誤作動
・もちろんのことだがパソコンの動作不良
・インターネット接続が不可能となる。(寧ろネット上での電子商取引が不可能になったり取引のバックアップが失われる、電子メールがひとりでに消滅してしまうなどの具体例を挙げた方が現実味があるだろう。)
・ATMが作動しない(大抵は動くらしい。特に郵貯は大丈夫だと)
・核ミサイルが誤作動、発射される。
・ネットワークの混乱に乗じてハッカーが通常以上に蛮勇を奮うステージを得る。
・世の中の混乱のどさくさに紛れ各地で反体制派が武装蜂起する。(イチ押し)
・飛行機が飛ばない。
・初詣の電車が動かない。
・ハイテク兵器で武装した米軍が戦闘不能に陥り、そこを謎のアラブ軍に急襲され米軍は壊滅的打撃を被る(妄想120%)
(3)予想される「被害」に対する俺なりの実感
Y2Kが我々にもたらすであろう様々な被害は前述の通りであるが、そんなに心配する程のことなのだろうか。例えば「電化製品の誤動作」、仮にその電化製品が医療用機器だったとして、ペースメーカーがいきなりストップして心臓がパンクしようが人工透析機がストップして老廃物まみれになろうが基本的に俺の知ったことではない。また昨日で世界人口も60億を突破したらしいから、ここらで丁度良い「口減らし」になるじゃないか。他にもATMが動かなくなってしまってもジュリー的には何の問題もない。(ただ顧客のバックアップが失われれば預貯金額のデータも失われる可能性があるのだが・・・)
つまり基本的にOKと言い切れてしまう程度の災害に過ぎないのである。核ミサイルが誤発射されるというが、プログラムは自らに不備が生じれば自らの機能を停止させる自律性を持っているので大災害につながる可能性はまずもって0%である(でも米軍の壊滅は見てみたい)。敢えて我々一般大衆が被る一番の被害と言えばビデオのタイマー録画ができない・カーナビが作動せず渋滞に巻き込まれる程度のささやかなものであるに違いない。
(4)すべては合理性
「だが、それから現在まで、火星どころか月にさえ、人類が運ばれることはなかった。人類が月に到達したのは、あの輝かしい一瞬だけである。それ以降宇宙計画は牛歩の歩みに徹し、牛の如き眠りについてしまった。その理由はただひとつ・・・予算がつかなかったから。」(鈴木光司「ループ」より一部抜粋)
気になった一節があったので抜粋してみた。最近何やら云う歌手が歌う「アポロ」と言う歌がよく耳に入るが、あの歌詞が示す通り宇宙計画の象徴たる「アポロ」はもはや我々にとっては歴史の遺物でしかない。そして「アポロ」以降の宇宙計画と云えば数年に一度のペースでシャトル・人工衛星が打ち上げられるのみである。「チャレンジャー」を思い起こしてほしい、幾億もの資金を投入した結果が爆発である。だから敢えてリスクとコストを費やして新しい生活圏を開拓するよりは、現在の社会の利便性を高める方がより確実であり、合理性にかなった判断だといえる。鈴木光司、全くその通りだよ。故に世界のネットワーク化、即ち情報化社会なのである。
(5)欠落した部分
<1>先送りの弊害
だったらプログラムを作る時の段階で、4桁の年号入力を認識できる様に組んでおけば良かったじゃないかと思える。しかしコンピューターが社会に普及し始めた1970年代から1980年代にかけて世の主流となっていたハードのスペックは今の物とは比べようが無いほどお粗末なものであったことを忘れてはなるまい(具体例を挙げると内蔵ハードディスクの容量が平均で1.3GBのアンポンタンなハードが我が物顔で闊歩していた時代である。外付けの増設ハードディスクを購入すれば良いのだが、今から考えれば卒倒する位高価なものだったのである)。だからプログラマー達はいかに合理的なプログラムを作ろうと執心した。そこで、20年30年先に必要となる4桁人力を当時は敢えて割愛して仕事をしたのである。彼等からすればどうせその頃には、自分たちは定年になっているであろうし、後の人間が上手く処理してくれると思っていたのだ。
<2>目先の利益
日本人はどうも目先の利益を優先する傾向がある。太平洋戦争の折りも、補給は現地調達。補給線のことなどお構いなし、とにかくどこかで一回大会戦に勝利すれば良いという発想である。負けてそれに気付いたかと思えば、今度は2000年問題である。全くもって後に備えるという発想が見られない。
確かに2000年対策は、何かを生産したりする訳でもない、後ろ向きで地味な仕事である。そのうち誰かが何とかしてくれると思っていたうちにいきなり「約束の時」の到来である。そもそも日本人には想像力というものが先天的に欠落しているのである。今年の8月にユリウス歴を使用したカーナビがプログラム・バグで停止した事件があったそうだ。この件にしても企業側が再三に渡ってユーザーに警告してきたにも関わらず作動不良を起こした日には抗議の嵐である。従って企業もこうした民族性を考慮してもっと懇切丁寧な対応をすべきであったとしか云いようがない。
(6)メメント・モリ〜破滅を覚えよ(覚悟せよ)〜
2000年問題。いいじゃないか。コンピューターがストップするとデマが流れれば電気屋でいらん買い物をするバカが増えて消費が伸びる。どさくさに紛れてパニック本を書けば肝っ玉の小さい経営者がすぐに飛びつく。資本主義的には、まさしく2000年効果いや2OOO年バブルである。この泡風呂の中冷静な判断力をもって入浴する奴は泡まみれにならないし、貧弱な想像力しか持たぬ輩はたちまち泡の中へ消えてしまうことだろう。私としてはこの混乱に乗じてジュリーと共に武装蜂起することを虎視眈々と企むのみである。
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