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ユダと当時のユダヤ人社会
byランバ・ラル
銀貨三十枚、これは一般的にはユダがキリストを売り渡したとされる代価である。よって現在では、「ユダといえば裏切り、裏切りといえばユダ」というように裏切りの代名詞としてユダという名は残っている。さらにはユダヤ人でもあったためユダヤ人自体、それ以後の歴史では良い扱いを受けてはいない。しかしそれは、現在の史観である。当時の人々はどの様に受け止めていたのか、少し考えてみたい。
当時の状況キリストが活躍していた時代はちょうどローマ帝国の最盛期にあたり、地中海沿岸は完全に「パクスロマーナ」(ローマの下での平和)の勢力下にあった。当然、エルサレムのローマの統治下にあった。 そこで生活しているユダヤ人らもその元で生活していた。そんな中でキリストは生まれ育ち、そしてユダヤ教を少し変形させた「キリストの教え」(確立するのは死後)広め、各地で奇跡を起こし、信者を増やしていった。
彼は直弟子十数名と各地を回っていたがその中でのユダの投割は一行の旅費の工面を任せられている。今でいえば財務管理を行っていた。金銭のやり取りに関しては信用できる者しか任せられないのが、古今東西共通の事例である。それほどキリストに頼られた男が師を売り渡す行為になぜ走ったのか?
理由はいろいろあるが死後キリストが、より神格化されその教えが広まるにつれ、そんなカリスマを陥れたユダとユダヤ人らは信者らから差別を受け今日に至るのは事実である。
次にはっきりさせたい点として
1.死刑判決を下したのは、その地にあったローマの地方総督(今の日本でいうところの県知事クラス)だが、それも民衆に強く熱望されての判決であり、そして
2.ユダヤ教の救えでは他民族に教えてはならないのである。(キリストも元々はユダヤ人)2.からさらには敵対する民族には寛容のかけらもない教えをユダヤ教では説いているが、キリストは「汝の敵を愛せよ」と教え始めた。
ユダヤ人はその伝説において神から祝福されたものとしていつかメシア(救世主)が現れ祝福されたものに富や栄耀を与えることを約束されていた。いわゆる選民思想、一言でいえばエリートである。なぜ彼らは他民族に対し寛容性がなく、エリート意識が強いのか、そしてユダがキリストを売ったことに象徴されるようにキリストを始末したのか、それは民族の歴史の教訓からきている。
放浪の歴史
この教えは「ヤハウェを創造主とするユダヤ人の宗教」としてBC6世紀に成立、かの有名な神様が六日で世界を作り、残り一日休んだ話や、ノアの箱船の伝説も旧約聖書つまりユダヤの教えからきている。今のパレスチナ問題のもととなる神との契約も交わしている。そこから時代が進み、エジプトの圧政下にあったユダヤ人を救い彼らを連れて海を渡って逃げ、成功したモーゼの話もここからきている。
その後、逃げおおせた彼らはいくつかの王国に別れていつしか滅亡していった。ある王国ではその住民をすべて連行される“バビロン虜囚”なんて屈辱を受けている。このように周りの民族からいろんな仕打ちを受けたとか、さらには神から祝福されたとかこれだけでもひとに対して寛容になれない要素になりえる。キリスト教はユダヤ教の一派であるが忠実にユダヤの教えを守っている人々からはキリストは裏切り者として後ろ指さされても文句は言えないだろう。ユダの行為も容認したのだろうか。
しかしユダはキリストの処刑直前に別の場所で自殺したと伝えられる。なぜ死んだのかは分からないが、推測してみるしかない。ユダヤ人である以上ユダヤ教を守らねばならない。キリストに死を与えた彼らのモラルからすると、仲間を絶対守るだろうし、裏切りは許さないだろう。裏切りという形でユダヤ民族の裏切り者キリストを始末したユダ、彼は自分の信仰していた集団、つまリキリストとその仲間たちを裏切っていることになるので「二重に裏切っているのではないだろうか、もし自殺したのなら自責の念かえあの行動であろう。民族の信仰を裏切り、キリストをも裏切ってしまった彼、こうしてみるとこの二つのモラルの衝突から、流されるような行動を彼は選択してしまったのかもしれない。
(参考文献)「世界の宗教と民族紛争」ひちまさや監修
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