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日刊メイド日誌(仮) -桜音(おうと)-

Ver.2.00.2072.3

 マニアの DNA に刻み込まれていると言っても過言ではない最萌 (なんて読むんだ?) の呪文「幼なじみ」を取り入れた、ぶっちゃけた話こびこびキャラ。
 責任感が強く、引ったくりの件で負い目を感じているので多少の無茶は聞く。
 普段は妹っぽいが、たまにお姉さん調になる変幻自在さ大爆発♪

シナリオのつぼ

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01

 気になる彼は、幼馴染み。
 当時私は、何をどうしたらいいのかまったく判らないまま、思春期絶頂期を迎えていた。
 学園ラブコメモノのヒロインのポジションというか。

 図式的には、むらっ気な私に彼が振り回されているという、平和・順調そのものの関係で。
 まったくもって漫画の世界。
 しかし、内心私は焦っていた。

 このままではいけない、というより、耐えられそうにない。
 彼は私の幼馴染みだったが、ただそれだけで。
 それ以上の関係に進展させるためには、何かキッカケが必要だった。

 ところで彼は、女とお金にルーズなヒトだった。
 しかも、なかなか治らない(治す気がない?)という。
 彼に自覚はあったのだが、いや自覚があるだけたちが悪い。最悪だ。

『自分の気持ちをなんとかしなければ』と、『彼のいい加減さをなんとかしてあげたい』がまぜこぜになって、ある日突然に私は、自分勝手に宣言してしまった。

「真人間になるまで、私があなたを、キッチリ管理します。更正させてみせます」と。

 気心の知れた……と私が思いこんでいただけというところだろうか?
 彼は、ブチ切れた。大げんかになった。
 仲裁に入ってくれた友人を、勢い余って殴り倒した。

 全力でぶつかり合った。腕力じゃ勝負にならず、泣きじゃくった。
 なにか大事なモノが壊れていくのを心のどこかで感じながら、互いに、そこで踏みとどまる勇気がなかった。
 泣きながら、言いたい放題の、本音がどんどん口をついて出てしまう、あのときほど感情がバクハツしたのは後にも先にも1度きり。

 その後、数週間、冷却期間があり。
 彼の方が私を立ててくれて、そのおかげでなんとか、仲直りが出来た。
 彼は、そういうところは人間が出来ていた。

 だから好き。
 前より好きになった。
 やっと、自分の幸せに気づいた。

 一時期はめちゃくちゃになったけど、これからはきっと。
 またなにか起こっても、きっと乗り越えられる。
 私たちだから、二人なら。安心して力を合わせられるから。

 そんなときだった、人生最悪の事件が起こったのは。
 私が、引ったくりに遭ってしまったのだ。
 盗られたバッグの中には、預かっていた彼のお金も入っていた。

 予測不可能な行動を取る彼に、必要な時に必要な分だけ、いつでも渡せるよう、預かったお金を常に全額持ち歩いていた。
 それが災いした。
 なにもかも終わりになってしまう。そんな気持ちで、心が壊れかけていた。

 言えば、彼は私を許してくれないだろう。でも、隠し通すことなどできっこない。
 覚悟を決めて、無理矢理気持ちの整理を付けて、謝りに行った。
 しかし、意外なほど、彼の言葉は優しかった。

「まぁ、不可抗力、だよな。実際」
 ……泣けた。
「全額弁償しろ! なんて言ったところで、しゃーねーし。……ムリだろ?」

 心の芯から癒された。すごく泣けた。そして、心底からうれしかった。

「でも、なんにもナシってのもアレか。居心地悪いよな。なんかペナルティ考えねーとな」
 ……ゑ?
「こうしよう。オレの世話を頼む。しっかり者のお前に面倒見てもらえたら、オレめっちゃ幸せに過ごせそうだし。ついでに、オレの世話が重荷になってきたら、すっぱり別れよう。金返せとは言わないけど、オレの前から消えてくれ。たぶんそのとき、オレはお前を許せないだろうからな。……身勝手かな?」

 そんなことになって、以来、私は彼に、前にも増してべったり。
 そして、幸せ絶頂期。
(最後の言葉は余計だと、未だに思ったりしてるけど)

 週1日、一人暮らしの彼の家へ行き、メイドさんみたいなことまでしている。
 炊事、洗濯、あとエッチなことも少々。
 今のところ、本気でそれがイヤになったことはないです。

 高校2年の春、振り返れば、山あり谷ありな人生だったけれども。
 いまがあるから、まぁいっか、なんて。
 そんな気持ちで、いまという時が永遠に続けばいいのになんて夢想したりして、平和で退屈でかけがえのないまったりした生活を満喫していたはず……でした……?

「どうして私は、ここにいるのだろう……」
 数百人、いやひょっとしたら数千人の観客の前で、私はこれから戦わなくてはならない。
 しかも、あと1勝で、地区予選を突破できるというところまで来ている。

 なんの前触れもナシに、『夏の思い出に、なにか記念になることがしたい』と彼が言い出した。
 あれよあれよという間に大会の出場手続きがなされ、スケジュールが決まり、特訓のメニューが組まれ、ながされるままに、だか真剣に取り組んだ結果、ここまで来れた。
 彼からは、「並み居る強豪を押しのけて、予選を突破しないと、なんかするからね」と、ちょっと怖い念押しをされていて、ここで終わることは出来ない。

『あの特訓の日々をムダにしないためにも、彼のためにも、なによりもはや彼なしには生きられなくなっている自分自身のためにも、がんばらなくちゃ』
 相手もたぶん、似たようなことを考えているんだろう、そんなことを考え出した頃、試合開始の合図があった。
 私はベストを尽くすだけ。結果は自然に出る。それだけを考えていた……。

2-14

(省略)

15

 余談だが、殴り飛ばしてしまった友人の話。
 すこしの間気まずかった時期もあったけれども、最後には無事、仲直りできた。
 こちらも一生モノの出逢いだと、世を動かす何かに感謝している。


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