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2000年9月26日


 学生の脳みそと変わりつつある中国
 
 教師という職業柄、学生たちに代表される中国人のものの考え方、若者の心理というものに触れる機会が多い。
 当然、学校(高校)に通えるようなある程度のお金を持った子供たちの話に限定はされるが、それでもそこから感じられることは多い。
 学生たちに、「将来の夢」とか、「今年の目標」とか、また「夏休みに何をしたか」と言うような題で作文を書かせることがある。すでに三学年ほどに対して試みてみたが、そのどれもが「模範的な」解答なのである(できの悪いのは友達の答えを写すので、その実何種類かの「模範」解答に分かれている)。
 将来の夢に関していえば、「中国に貢献する」という言葉や、日本語を習っているためか「日中の友好に身を捧げる」というような言葉が並んでいる。キミたちゃもっと自分の人生について考えたこたぁないのかい?と聞いてみても、生真面目な答えが返ってくることが多い。もちろんなかには変わりダネもおり、「人生は冒険です!」などと勢い込んで留学の話を持ってくる学生もいる。そんな学生からは自分の人生を謳歌しようとする気概がありありとうかがえるし、最近はそんな学生も増えてきてはいる。いやむしろそんな学生の方が目立つようになってきているといった方がいいだろうか。
 しかし考えてみれば、この数十年とたたない昔、この国で起こったことを考えれば「模範的な」答えが出てくるのもやむをえないことかもしれない。今でも巷にあふれている言葉の多くは最近の中国で新しく作られた特別な言葉たちで、その言葉を使って今の中国も経営が成り立っているのである。また学生たちもその言葉をもって「模範」解答を出してくる。大人たちがこの言葉を使って儀式の挨拶をし、その言葉こそが正しい言葉とし(なければならず)、そしてそういうことが教育とされていたこの国にあって、未だにその教育理念は残っているのである。
 そんな学生たちも、年々歳を追う毎に一風変わった学生が入るようになって来ている。学年がひとつ違うとここまで違うものか、と思うほどにオリジナリティのある文を書く学生もいる。それもまた別の意味で「同じような」解答であるときもあるが、それでも選択肢が大きく広がっていることだけは間違いない。
 「社長になりたい」とか「お金持ちになる」という答えは、私たちが小学生だったころの将来の夢人気ナンバーワンだったはずだし、「DJになりたい」などという答えは、今の中国の変わりようを如実に表しているものだ。
 先日は学生主催でパンクバンドのコンサートがあった。高校生らしいいわゆるパンクバンドのコンサートであったが―――日本の高校生が一度くらいはハマるいけないことをしている楽しさ―――、これとて中国では目を見張るべき変化である。それを表舞台に出すのだから。
 この変化がどういうふうに変わっていくのかはともかく、今の若者たちは間違いなく、国のためでなく自分のためにできることをしようとしている。そしてこの子達がこれから中国を変えていくのだ、と考えると、改めてこの国をまっすぐ見直さなければならないな、という気にさせられる。
 少なくとも今までの目で見ていてはいけない、ということだ。


 士別三日、即当刮目相待。(呉史呂蒙伝)
 士別れること三日なれば、すなわちまさに刮目して相待すべし。
 優秀な者は三日くらい会わなければ再開したときには目を見開いてよく見なければいけない、(でないと真価を見誤ることになるぞ)という意味だが、今の中国を見ていると、優秀かどうかはともかくおろそかに見ることはできないと、この学生たちの作文を見て思うことしきりであった。






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