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『ウは宇宙船のウ』 創元SF文庫
レイ・ブラッドベリの短編集で、私が何度も何度も繰り返し読み返している本。萩尾望都の漫画『ウは宇宙船のウ』と原作の方、どちらを先に読んだかははっきり覚えていない。おそらく漫画を読んでから、本屋でブラッドベリを探したと思う。宇宙への憧れ。ロケットを見上げる少年たち。私がずっと欲しくて、でも結局遠くなってしまった夢がここにはある。他の短編も本当に気に入っていて、ブラッドベリの本の中でもとりわけ思い入れが深い一冊。

            

『万華鏡』レイ・ブラッドベリ サンリオSF文庫
「kaleidoscope」という言葉が本当に好きで、実際の万華鏡も好きで、そしてこの素敵な小説に出会えた。表題にもなっている短編「万華鏡」は忘れられない作品。爆発した宇宙船、投げ出されて漂流をはじめる乗組員。深宇宙への漂流、死への漂流。万華鏡のような流星群の中へ落ちて、そして燃え尽きて死んでいく。彼らの交わす言葉もまた万華鏡のフラグメント、そして流星のように美しい。悲しいけれど、美しいイメージを残して飛び去っていく小説。そう、まるであの青いほうき星のように。

            

『空の名前』高橋健司著
私は夜空が好きなので『宙ノ名前』の方が好きですが、こちらも持ってます。雲の名前などを調べるにはこちらの方がよいので。美しいことばがたくさん収録されています。こんなにたくさんあるのに、日常では使わないな・・・と思ってしまいます。この本を読むと、雲のかたちや風、四季の移り変わりに敏感になれるような気がします。世界のささやかな美しさが目に入ってくるような気がする。四季に恵まれた日本ならではの言葉、絶滅させないで大切にしていきたいものです。

            

『宙ノ名前』林完次著 光琳社出版
私の一種の原風景と言いますか、そんな懐かしい本です。この本が発売された直後に購入したので、初版を持っています。見た瞬間手に取ってしまった本です。美しい夜空の歳事記。「見上ゲテ御覧、夜ノ宙ヲ」とはじまる帯の文章は何度も書き写しました。この本は角川から再版されていますが、光琳社出版の本の方が個人的には好みです。今でも一番取り出す本で、アトランティスのイメージ源になっています。

            

『月の本』光琳社出版
月は不思議。都会の夜のビルと空。ビルの狭間に見えるあの白い月。白銅貨の月が今夜も私を見つめる。丸ごと一冊月のこの本。個人的には高山宏「月の図像学」がとても好き。

            

『ルナティックス』松岡正剛 作品社
サブタイトルは「月を遊学する」。これは科学的というよりは、文学的な月の百科辞典。内容も濃いし、図版もたくさんあって楽しいです。西洋に偏ることなく、日本文学や短歌まで大いに語っている、読みごたえたっぷりの一冊です。90年代の松岡氏の著作の中ではかなりお気に入りです。

            

『星の地図館』小学館
とてもすばらしい星のビジュアルブック。ちょっと大きくて持ちにくいのですが、そのぶんきれいだから許せます。そういえばお金のない中学生のころ、雑誌『ニュートン』なんかを切り抜いて、部屋の壁に貼ってました。夜寝るとき、それを眺めて宇宙のことを考えました。ちょっとした幻想旅行。なかなか楽しい思い出です。

            

『空の色と光の図鑑』草思社
この本は写真のほかに、気象現象の原理などについての説明もなされてます。太陽柱とかダイアモンドダストとか、幻日など。小学校の理科の教科書に載っていたような、それでいてすっかり忘れていたことがらなんかを確認するのに便利です。私はこういうことにはあまり詳しくなかったので、これを読んで得ることが多かったです。

            

『宮沢賢治 星の図誌』斉藤文一・藤井旭著 平凡社
この本は宮沢賢治の童話や小説、または詩に出てくる星や星座について、作品共々細かく分析したとてもおもしろい本です。賢治の作品に親しんでいる人の方がよりいっそう楽しめると思いますが(内容はとても読みごたえがあります)、あまり知らない人でもおさめられているきれいな写真を楽しむことができます。あくまで「宮沢賢治」をキーポイントにして天文に切り込んでいますが、賢治は膨大な知識やイメージを作品の中に埋め込んでいるので、結局この本は宇宙全体を俯瞰するような造りとなっています。 賢治作品を読んで、見るだけでなくぜひ読み込んでほしい本です。

            

『FULL MOON』新潮社
これはアポロ宇宙飛行士が目撃した月の写真集です。帯には立花隆さんの「おもわず目をむいた」という言葉が載っています。私は目をむいたという感想とは異なりますが、それでも意識にすごい衝撃をうけました。ものすごくインパクトのある写真集だと思います。本物の月世界はこんな比じゃないのでしょうね。立花さんの『宇宙からの帰還』で語られている宇宙飛行士たちの言葉を思い出してしまいます。これを実際に見たら、本当に意識が変容する気がする。ものすごい沈黙と内省。

            

『全宇宙誌』工作舎
私が最近入手してとてもうれしかった本。内容もさることながら、デザインもとても素敵です。本全体が漆黒で、そこの散りばめられた文字や図像がコスモスを形成しています。見るたびに本当に素敵な本だなと思います。後ろについている全宇宙年譜・文献目録もとてもおもしろいです。 文献録はちょっと見づらいですが。実はまだ読み終わっていないのですが、いろいろ勉強させていただいてます。本屋とかではあまり見かけない本ですが、ぜひ一度手に取ってほしい本です。

            

『星三百六十五夜 冬』野尻抱影 中公文庫BIBLO
最近文庫化されてとてもうれしい野尻抱影の本。他の『日本の星 星の方言集』『新星座巡礼』などども大好きです。今のところ一番のお気に入りはこの冬の本で、絢爛たる冬の夜空に対する野尻抱影の想いが伝わってくる一冊です。オリオン、昂、シリウス、アルデバラン・・。この小さな本に閉じ込められているプラネタリウムをそっと覗いてみましょう。このシリーズは本の装丁も好みで気に入っています。

            

『天体議会』長野まゆみ 河出文庫
やっぱりこれははずせない一冊。他の多くの方にとってもそうだと思いますが、私の長野まゆみの原点です。天体や鉱物を愛する少年たちのイメージ、透きとおった透明さとどこか空虚なからっぽさを感じる世界、ふとした瞬間に感じる孤独。本当にこの世界を愛していたんです。今の長野さんの作品はもう読まなくなってしまったけど・・。水道橋のイメージを求めて京都の南禅寺へ出かけたり小金井の方へ出かけたり、初期作品の中の原風景を求めて出歩いたりもしました。好きなものが凝縮された小宇宙が潜んでいるこの本は私の永遠のイメージ源です。

            

『死亡した宇宙飛行士』J・G・バラード NW-SF社
数あるバラードの本の中でなぜよりによってこの一冊を選ぶのかという感じですが、私の一種のトラウマ・恐怖のイメージがある本です。ブラッドベリも宇宙での死を書いていますが、そこにはどこか流星のような美しさが溢れています。私はこのイメージも大好きなのですが、本当は宇宙での死はグロテスクで怖いものです。アメリカに住んでいた子供の頃にあったチャレンジャー爆発の事故が本当に怖くて、今でもあのイメージを引きずっています。「死亡した宇宙飛行士」はごく短い短編ですが、私にとっては結構ヘビーでした。怖いけど忘れられなくて好きな小説です。バラードの他の『結晶世界』『 沈んだ世界』『時の声』『溺れた巨人』なども大好きでおすすめです。
                    


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