連続小説「世界の果てを見た男」  神山 怜

序章〜紅い大地

1、 

「どうしてこんなことに?」

トーマス・ピットフィールドは吐き出すようにその言葉を吐いた。彼は今どこにいるのかも忘れてしまったかのような表情でその場所に立ち尽くしていた。

「なぜ・・・?」

彼の口からまた呟きが漏れる。だが、彼の眼はどこか遠くを見るように見開かれたまま瞬き一つせず、呼吸も止めてしまったかのように身じろぎ一つしないで小半時の間立ち尽くしているだけであった。彼の口からまた一つ言葉が生まれる。

「俺がやったのか・・・これを・・・?」

彼は立っていた。一人この赤い、赤い、黒に近い紅い大地でただ一人・・・。彼の前には物言わぬ肉の塊が・・・。

―つづく―

 

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