経済原論レポート
今私たちの国の経済生活はほぼ全面的に資本主義経済に依存している。資本主義経済とは商品取引が行われる市場で行われる徹底した市場経済のことである。また企業はより多くの利潤の獲得を動機として活動している。市場経済は社会と社会の間の発生し発展してきた外来性を持つものである。ルールとしては自由で平等な関係であり、原理としては社会内部の秩序とは異質な利潤原理である。もし万が一市場経済が社会内部に浸透していくと、社会秩序は崩壊しかねない。よって社会の経済秩序が市場経済の原理に従っており、市場経済の原理が経済活動を支配しているのである。そんな社会の中、現在の日本の経済は戦後最大の不況であり、デフレもどんどん深刻になっている。企業は相次ぐ倒産により、人事削減というリストラによりこの危機を打開しようとしている。最近では銀行もつぶれ、私立大学なども経営難に陥るところが増えている。政府もさまざまな政策をこころみようとして打開しようとしているがまだ回復の糸口は見えてこない。では、どうしてこのように経済状態を混乱させる不況は発生するのだろうか?
一般的に、景気後退は、需給ギャップを拡大し、通常は循環的なディスインフレの形をとる。つまり、一定期間インフレ率が低下した後、景気回復とともに再び上昇していくのである。デフレは、ディスインフレの極端な姿と言え、例えば、資産バブルが崩壊した時には、通常よりも厳しい景気後退が起きる可能性が高く、このためデフレになる可能性が高まっていく。景気回復は、発生した需給ギャップが「本当の意味で」解消されないと実現はしない。つまり、通常の景気後退であれば、例えば、過剰在庫の削減、過剰設備の除去や過剰雇用の調整が終わって、企業業績が戻り、再び生産増、投資増、雇用増となることによって、経済は本格回復となっていくのだ。ただし、デフレは遅効性があると言われているので、経済回復から少し遅れて解消されていくことになるだろう。景気循環的に言えば、プロセスの進展と共に、いつかは景気が回復し、いつかはデフレも解消する。俗に言うデフレスパイラルも景気循環的な考え方で見ると、永遠に続くことはないのである。デフレスパイラルは短期間に過剰を除去し、次の発展基盤を作ることには変わらないが、あまりにも急激で「痛みが大きい」ところが欠点ととらえる方が正しいのではないかと思われる。望ましいことは、避けることができない必要悪的な景気停滞期間をできるだけショックが少なく、短期間に経過できるようにすることなのだろう。しかし、これは「経済の過剰を調整しなくてよい」、つまり「痛みを発生させない」ことを意味するものでは決してないことは強調されるべきであろう。政府・日銀は約10年に亘って、景気回復のための財政支出・金融緩和を実施してきた。しかし、現状経済は回復していない。景気循環的に言うと、金融緩和策や財政刺激策は、経済の過剰を調整している間のまさに「デフレ」圧力を緩和する効果があるのであって、過剰の調整自身を直接的に促進しない。むしろ、残念ながら調整速度を緩める結果となった。景気回復の道筋として、政策効果でショックが緩和されている間に、過剰となってしまった債務や設備などを企業部門が懸命にリストラし健全化し、それでも十分に健全化されない場合は市場から退出するという淘汰を経ていれば、現段階でマクロの経済が回復していた可能性はあったと思われる。さて、現実はどうであろうか。ショックが緩和されている時に、痛みの伴う調整過程がほとんど進まなかったために、現在の日本の長期低迷が起きてしまったと思われます。景気低迷、そしてデフレを脱するためには、景気後退の原因である「過剰」の調整が不可避であるという部分が、痛みを伴うが故に、意識的か無意識的に認識されなかったということだろう。各種景気刺激策は、過剰の調整がすんで、経済が(縮小しながらも)健全化した段階でしか、景気浮揚効果を持てなかったのだろう。デフレは経済に問題があることを示すシグナルであり、デフレが起きることは望ましくないことは確かだ。しかし、デフレが起きてしまった時には、「デフレ自身を(魔法のように」解決して経済を立て直す」という考え方よりも、デフレの要因となっている景気後退の要因を突き止めて、それを解決するという考え方の方が正しいと思われる。いつの頃からか、日本では、景気後退阻止からデフレ阻止へと論点がシフトしたが、結局デフレは実体経済から生じる現象なので、長期でみれば金融政策による改善は難しいだろう。
そもそも景気は(好況〜恐慌〜不況)から(好況〜恐慌〜不況)の二つの波の景気循環が10年周期でおこっている。景気変動には3つの波動がある。1つ目の短期の波動は約40ヶ月の周期であり企業な在庫の増減によって起こる波である。2つ目の中期の波動は7〜10年の周期で設備投資の変動によって起こる波である。最後3つ目の長期の波動は約50年の周期であり技術革新によって起こる波である。好況・恐慌・不況期にみられる特徴を見ていくと、好況期では生産の量的拡大に重点を置く資本構成不変の蓄積がおこる。生産が順調に拡大していき、固定設備の増加に比例して雇用が増大し、さらに消費も拡大、よってより生産も拡大する賃金水準は安定的になり利潤率は相対的に高くなる。企業は順調に収益をあげてるいるかぎり、固定設備はなかなか廃棄しようとはしない。資金需要は増大し、資金供給はより拡大して資金の需給関係は安定的となり利子率は相対的に低くなるのである。これらにより好況期は企業経営・国民経済は順調に拡大していくのである。好況末期に入ると、生産拡大のために固定設備が増加し雇用もさらに増える。それにより労働人口は不足していく。労働力の需給は圧迫し、物価上昇よりも速い賃金上昇が起こり、利用可能な労働人口に対して資本が過剰になるという資本の過剰蓄積がおこる。投下資本の増大に比べて利潤の増大が相対的に減少し、利潤率は低下する。さらに農産物・資源・エネルギーなどの物資が不足し、物価騰貴が始まる。資金需要は急激に増大し、資金供給は遅れ、それにより資金の需要が圧迫し、利子率は高騰していく。恐慌期になると資本の絶対的過剰により企業の生産意欲は減退し投機的活動が行われる。それにより市場経済の秩序は混乱していく。過剰資本は整理されていき企業や銀行の倒産がみられるようになり、雇用は減り、失業者も急激に増大する。そして不況期がやってくる。製造業の生産能力、貨付加脳な遊休資金、労働力が過剰し、三者の結合は困難となる。既存の固定設備は収益をあげず、技術革新により、固定設備は更新されていき、資本の技術的構成はあがり、投下資本あたりの不変資本の比率もあがり、資本構成は高度化されていくのである。そのため企業などは次の好況期の生産拡大の準備のためにリストラを実施し失業者はさらに増大していく。その間、設備投資が増大していくのである。そしてまた新たに好況期がやってくるのである。資本の蓄積過程から見ると、好況期(資本構成不変のもと生産の量的拡大)と不況期(資本構成を高度化して生産の量的増進)が交替し、さらに労働人口の不足と過剰が交替する。よってこれらをふまえて市場経済が社会経済システムとして成立できるのである。近年では重化学工業が基軸産業となり巨大な固定設備を有する産業の比重が増大し景気循環が変容している。好況期には生産物の過剰が早々と発生し、この過剰が不況期に持ち越される。好況期に開始された固定設備の建設は不況期に完成し、やがて生産物の過剰が深刻化されていく。不況期における過剰資本の整理と再編が困難となり不況の慢性化がおこるのである。そこで巨大な企業集団は収益性の改善のために独占的行動を開始する。不況圧力を中小企業や労働者に転化し、やがては経済全体の不均衡や成長の困難が深刻化していき不況の深刻化を巻き起こしていくのである。
このレポート作成を通じて景気循環過程についておおまかな理解を得ることが出来たと思う。資本主義経済のなかで資本と商品のやり取りは重要である。失業率もいまだ減少せず、戦後最大の不況から脱せない現在の状況はいつまで続くのだろうか。景気循環過程から見ると、次に訪れるのは好況期である。今後の日本の経済動向に注目しつつ、講義を通して学んだことを生かし、学習していきたいと思う!