平成11年12月18日(土)午後1時から宮城学習センター学習室で、行いました。入会希望者22名中12名が参加しました。
1 自己紹介
各人の名前、専攻などを相互に紹介をしました。
2 夢について、討論会をしました。
(1)最近、夢についての関心が、非常に高まってきました。
複雑な夢を膨らませて、いろいろ考えてみたら、人間の心のひだの微妙な働きがよくわかるようになると思います。そして、改めて、自分の心の動きもはっきりしてくるし、周りの人のことも、今までよりももっと解るようになるでしょう。
人が生きると言うことは、苦しい思いも、嬉しいことも、ともに体験していくことです。そのたびに、喜びで舞い上がったり、悲しみで落ち込んだりするでしょう。でも、夢は、そういう心の動きをしっかり見つめていて、喜びや悲しみとともに、それらを乗り越えていく力を与えてくれます。
夢がわかったら、悲しみが少なくなるわけでも、いつも喜んでいられるわけでもありませんが、でも、そういう心の動き、そのものの、人間の体験の世界の変化の妙を与えてくれるのです。そして、生きると言うことは、やっぱり素晴らしいと感じさせてくれます。
夢と共に生きることで、人生は倍にも、それ以上にも十分に毎日を送ることができるように思います。
(2)夢の構造
夢のどこに、どのような願望が隠されているだろうか。フロイトは、この問いに対して、「場所論的モデル」ないし「構造論的モデル」と呼ばれる二重構造の図式によって説明している。
無意識にある隠された願望(大部分が幼児期に由来する)が姿を変えて、報告された夢となる。従って、報告された夢は「潜在夢」と呼ばれる。潜在夢とは、無意識にある思考や願望(それを潜在思考という)が姿を変えて示されているものである。
では、なぜ、潜在思考は顕在夢となるために姿を変えなければならないのだろうか。それは、次のような理由によっている。潜在思考の中に潜む生の衝動や、激しい欲動などがそのまま表現されると、自我を脅かし、大きな不安を生んだり、衝動性に圧倒されて、現実生活に重大な障害をもたらす可能性があるからである。このために、自我の防衛として、強い抑圧が加えられ、自我による検閲という操作が行われるのである。フロイトは、このような姿を変える心的な操作を「夢の作業」と言い、姿を変える方法を「夢の湾曲」と呼んでいる。
フロイトの言う夢の解釈とは、顕在夢を通して潜在思考に探りを入れる手法と言うことができる。
(3)個人的な夢であっても全ての人間に共通して影響を与える
ユングは、個人的経験を超えた人間に共通する普遍的な観念複合体を「複合無意識」と呼んでいます。つまり、無意識のコンプレックスの中には、その個人だけによる特有のものと、もっと広く人間に共通するものがあります。
夢は確かにその夢を見た個人の無意識の問題を提示してもいるのですが、それと同時に、もっと人間に共通する普遍的な問題も示しているのです。
例えば、ある人が親との関係を悩んでいて、親との問題を暗示するような夢を見たとします。そういう夢の話を聞くと誰でも「自分の親との関係はどうなのだろうか」と自分に引きつけて考えるので、心の中で親との問題が動き出します。だから他人の話にも共感がもてるのですが、親子問題というのは人間に共通する普遍的なものです。
このように、夢で提示する問題は、ある意味では、誰にも共通してるともいえるのです。そのために夢分析というのは、夢分析を行う方も大変なのです。その夢について一生懸命考えることは、夢を見た人の問題を全て自分でも抱え込むことになってしまうのです。
このように、人間に普遍的な集合無意識の中でも、核になっているようなものをユングは「アーキタイプ(原型)」と呼んでいます。このアーキタイプを通して、夢というものがあらわして言うものもわかってくるし、また夢分析をする人とされる人がわかり合っていくのです。
(4)心理療法と夢
心理療法の理論の種類は、それに従事する臨床家の数だけあるとか、逆に臨床家を訪れるクライエントの種類によって、臨床家の理論が決定すると言われている。これは、夢分析理論についてもいえる。ユングやフロイトの夢分析理論の構築は、彼らの人格に即して考え出されたとも、ユングが分裂病のクライエントに多く、フロイトが神経症のクライエントに多く会ったからともいえるのである。分析家の夢分析理論は、既成のそれらに影響されながらも、クライエントと分析家が相成して作り上げられていくものなのであろう。
しかし、無限にあるであろう夢分析理論の規定をなす夢分析理論は多くはない。大別すると7種類になる。フロイト派、ユング派、文化学派、対象関係論派、現象学派、ゲシュタルト派、ロジャース派である。このうち、文化学派と対象関係論派は、フロイト派の流れを汲むものであるから、フロイト派とユング派以外の派は、現象学派、ゲシュタルト派、ロジャース派だけとなる。これらの派とフロイト、ユング派とは、理論の上で大きく異なる。それは、無意識を想定するか否かにある。現象学派、ゲシュタルト派、ロジャース派は、無意識を想定しない。無意識を想定するか否かは夢の接近方法に質的な差を想定させる。現象学派、ゲシュタルト派、ロジャース派の理論は、この質的差に着目して、フロイト、ユング派の夢分析に対するアンチテーゼとして考え出されたのである。これらの夢分析理論には、主たる共通性を見ることができる。それは、クライエントと分析家が同じ地平に立って夢分析を行おうとする意図が、それぞれの夢分析理論の規定にあるからである。現象学派はともにある存在の地平で、ゲシュタルト派は、今ここの場において、ロジャース派は自らの夢を自らの身体的によって、夢分析を試みようとしたのである。
3 まとめ
我が国は、夢を扱う際に一つの理論にとらわれず、クライエントの夢に合わせて、夢の理論と方法を多角的に選定し、夢に対しての多角的のアプローチを実践している臨床家が多く存在している。学派が異なっていようとも、夢に対する基本姿勢に代わりはなく、あくまで治療者−クライエント関係に中心をおく中で、自分にあった理論的背景を築き、夢に対する独自のアプローチ法を見いだしていくことが臨床家のつとめであるともいえる。
夢とどう向き合うか。それは個人の問題である。そして、夢の持つ可能性を生かすのも殺すのもあなた次第である。
参考文献:「眠りと夢 懸田克躬著 岩波書店」
「夢分析による心理療法、ユングの心理学の臨床 渡辺雄三著 金剛出版」
「夢で自分がわかる本 秋山さと子著 史輝出版」
4 先生の質問
客員教授(心理学)の大渕先生が特別参加されました。
先生の心温まるご厚意に感謝します。