第10回心理学研究会報告書
平成12年8月26日(土)午後1時から宮城学習センター小会議室で行いました。今回のテーマは「最近の17歳」でした。
*尚,下の資料は発表者の中村さんが準備された資料で,心理学とはかけ離れてますが,研究会ではとても深い心理学の意見交換になりました。
参考文献としては,「警察白書 平成9年度版」を参考としました。
1 少年非行の動向
少年刑法犯検挙人員は,昭和26年,39年及び58年をピークとする三つの大きな波があり59年以降は減少を示していたが,平成7年を境に増加に,転じ9年には21万5629人となっている。
年齢層別刑法犯検挙人員及び人口比は,いずれの年齢層においても平成8年,9年と2年連続して増加・上昇しているが特に年少少年及び中間少年においてその程度が著しい。人口比の推移を見ると,昭和46年以降,年少少年が一貫して最も高く,以下,おおむね中間少年,年長少年の順となっているが,過去数年,中間少年が年少少年に近づいてきており,最近の少年非行の全般的特色として,第三の波を特徴づけた「非行の低年齢化」は未だ続いているものの,中間少年による非行の増加をも上げることができる。またこれに関連して,中学生・高校生別の少年刑法犯検挙人員の在学生1000人あたりの比率を密を58年の第三ピーク時には,高校生に比率を上回って23.1と最高値を示した中学生の比率は平成9年には14.2となっているが,昭和58年には13.4であった高校生に比率は,平成5年以降上昇し,7年からは中学生の比率を上回るようになり,9年には16.1に達している。
罪名非行名別に見ると,昭和51年以降,毎年,窃盗及び横領(遺失物等の横領を含む)の2罪名で刑法犯検挙人員総数の80%以上を占めており,平成10年も85.6%となっている。また最近の傾向として,凶悪犯である強盗の検挙人員が,昭和35年をピークに減少していたが,平成に入り上昇に転じ平成9年には1701人と急激な増加を見せている。
2 少年非行の特質
最近における少年非行の特質を見ると、まず、動機に関しては、恐喝、窃盗及び横領において、「利欲」を動機とする者が一貫して50%を越え、「遊び」を動機とする者は、おおむね20%から30%台で推移している。注目すべき点として、窃盗、横領、傷害及び恐喝は、近年、その比率が上昇傾向にある。
また、傷害において、近年「激情」を動機とする者の比率が「怨恨・報復」を動機とする者よりもはるかに高くなっており、殺人事犯少年の非行動機の比率は「カッとなって」が最も高くなっている。さらに、強盗事犯少年は「お金が欲しくて」に次いで、「誘われて、その気になって」を動機とする者の比率が高くなっている。これらの調査結果は、「抑制力の不足」、「短絡的な行動傾向」と言った最近の非行少年の特性を伺わせるように思われる。
3 非行少年の特質
職業等については、男子が有職、女子が無職が最も多いが、凶悪事犯少年では、学生・生徒の比率が総数と比べて高くなっている。また教育課程については、この10年間を累計すると、男女ともに中学卒業の占める割合が最も多いが、この10年間では、高校中退の比率が上昇しており、特に、強盗事犯等の凶悪事犯少年では、高校在学、高校卒業以上の者の比率が総数と比べて高くなっている。
家庭環境に関しては、実父母が保護者である比率は、10年前と比較すると、男女ともに上昇し、また保護者の生活程度も中以上の比率が上昇している。養育態度では、10年間を累計すると、両親ともに放任が最も多いが、この10年間では、放任の比率の低下と普通の比率の上昇が見られ、強盗事犯少年では母親の養育態度は「普通」が最も多くなっている。現在の家族の問題については、問題の無い者の比率はこの10年間上昇しているが、殺人事犯少年には、問題の無い者と、かなり深刻な家族の問題を抱えている者双方がいる。
少年の処分歴・問題行動歴の有無に関しては、最近の傾向として、過去に非行歴・処分歴のない者の上昇が認められ、いわゆる非行の「一般化」傾向の進展や、「いきなり型」非行の増加傾向をうかがうことも出来るように思われる。
4 非行少年の生活意識
最近の非行少年の特質を明らかにするために、「少年鑑別所在所少年の生活意識や価値観に関する特別調査結果」を、平成2年に実施した前回調査と比較すると、「自分だけが悪く思われている」「世の中に取り残されている」等、男女とも否定的な自己意識はやや軽減されてきたものの、現実の自分の生き方(在り方)に対する満足度は低下している。
家庭生活に対して「満足」としたものの比率、並びに「家族と話をする」事が「よくある」「ときどきある」としたものの比率が共に上昇し、また、「気楽に話が出来る人」「注意されたら言う事を聞く人」として、家族、友人、先輩等の中で、特に、父親、母親、兄弟姉妹をあげるものの比率が上昇するなど、家族についての受け止め方が前回調査と比べて好転し、非行少年を取り巻く身近な人間関係における家族の持つ意味が最近は大きくなっているように思われる。
身近な人間関係の中で、友人等が依然として大きな意味を持っていることは前回調査と変わらないものの、交友関係における情緒的親密感が前回調査と比べ薄まっており、非行少年の特質の一つとして、対人関係の希薄化が起こっているように見られる。
5 おわりに
最近の非行少年の特質を見ると、凶悪・粗暴事犯及び覚醒剤犯の増加や、集団による非行、処分歴にない少年による非行、保護者の経済状態や家庭環境にもさほどの問題の認められない少年による非行等の増加傾向が認められ、また最近の非行少年の特質についても、家庭生活に対する満足度の上昇や否定的な自己意識の軽減が認められる一方で、自分の在り方に対する満足度の低下や対人関係の希薄化、抑制力の不足と短絡的な行動傾向等を指摘できる。
少年非行には、家庭・学校・社会環境等、多くの要因があり、これが相互に関連して複雑に絡み合っているため、少年非行を防止するためには、家庭・教育・文化・社会福祉その他各般にわたる総合的な施策と国民全体の幅広い不断の努力が必要であるが、刑事司法関連諸機関においても、関係機関の連携の元に、少年非行防止策の一環として、引き続き、少年事件の捜査・審判における適正な処理、少年の福祉を害する事犯に対する厳正な処分、鑑別機能の充実、社会内・施設内処遇の充実強化等に努める必要があると思われる。
9月の研究会は、9日(土)[第2土曜日になります注意してください]午後1時から、宮城学習センターで行う予定です。
テーマ未定です。
心理学に興味がある方なら、どなたでもお気軽に参加してください。