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坂を登り、下った。空気が僕にまとわりつくように存在している まろやかで何かやわらかいものが僕を覆い尽くし、まゆの中の蚕のようだ 僕は何も考えず気を失ったように、目を閉じる が、すぐに意識をもちだし、自分をコントロール制御する そこで彼は悲しい笑ったような表情をする 坂を下る。 何かつかめそうな感触がする だが、それは透明で匂いも味もしない 目や耳がなんて邪魔なものなのかと僕は感じる とはいっても感じたものは確実に存在し、それに突き動かされる 僕はその存在しか認めないし、感じない 僕しか存在しなかったんだと彼は考えた。 しかし、時間という流れが僕の体に舞い戻る すばやく自転車を降りて、駅に急ぐ。 時計を見たら後三分で電車がきてしまう。急がなくては、と彼は思った。 ひとがたくさんいる 小走りでなんとかまに会ってよかったと、彼は思い、安心した。 どうしようもない僕がどうしようもない僕に命令する。 |