◆◆◆ Mさんのこと ◆◆

2003.2.23

 わたしの知り合いに、Mさんという人がいる。
 男性で、年齢は来年定年なので50代と思われる。
 一流私大W大学政治経済学部を卒業し、大学生が就職したい企業の常に5位以内にランキングされる日本○空株式会社に入社。
 家族構成は妻と子どもふたりで、上の息子は結婚して子どもがいるらしい。
 典型的なエリートビジネスマンの経歴といえるだろう。
 
 しかし、昔Mさんの心はある危険なことで占められていた。30歳をちょっと過ぎた頃、猛烈にハイジャックをしたい!と思っていたそうなのだ。それでみんなが「何か目的があったの?」「どこに行くつもりだったの?」とMさんに聞いた。それに対し「あの頃何か何かものすごい重圧を感じていた。ハイジャックをすればその重圧から開放されるような気がした。だから毎日、ハイジャックしたい...ハイジャックしたい...って思っていた」と答えた。実はアブナイ人なのだった(実行力がないので、危険はないが...)。

 エリート・サラリーマンである一方で、Mさんは市民運動家である。複数の運動団体に所属していて、アフターファイブや土日祝日は、会議や集会の準備やら会報の発送やらで忙しい。わたしが今ボランティアで通っている市民運動団体にも所属している(たしか広報担当)。

 これだけなら別に問題はない。「ハイジャックしたい」と思っていても実行に移したわけでない。会社員が市民運動をしてはいけないという法律はない。わざわざホームページで紹介するまでもない。

 問題はMさんがわたしを愛しているのである!!!

 これは、わたしの思い込みでも、被害妄想でも、断じてない! なぜなら、Mさんとわたしの両方を知る人々のうち少なくとも80%は、このことに同意するに違いないのである。以下、Mさんがわたしを愛していると断定する根拠を列挙する。

 ある集会の警備のボランティアをしたときのこと。集会が終わって帰ることになったとき、Mさんが「ごはん食べていこうよ〜」と言うが、Aくんが「僕もう食べましたから」とさっさと帰ってしまい、わたしは取り残されてしまう...。Mさんは「食事ごちそうするから、喫茶店でコーヒーごちそうしてよ」と言う。こうしてなかなかNo!と言えないわたしは、Mさんとふたりきりで牛丼屋で牛丼を食べ、喫茶店でお茶まで飲んでしまうことに...
 後日、Mさんはわたしに密かに言った。「Aくんが帰ってよかったね。ふたりきりになれたから」。よかったのはMさんだけだよ!!!

 仕事で帰りの遅い日が続いていたときがあった。うちに帰ると留守電が6、7件入っている。全部メッセージなしの無言留守電である。そんな日が何回かあった。犯人電話をかけた人がMさんであることは、ほぼ間違いないと思われた。最近自宅の電話番号の記載された名刺をあげちゃったから(不覚...)。それに他に無言留守電を大量に残しそうな人は思い至らない。
 居酒屋で同席したとき、Mさんに「うちに30回くらい電話したでしょう?」と聞いたら、Mさん「そんなにしてないよ〜」。それでわたしは「うちに無言の留守電が6、7件入っていて、そういう日が3日くらいあったよ」と具体的に言ったら、別の人が「じゃあ20回はしたでしょう?」と聞くと、Mさんは「……………(無言で苦笑い)」。否定できなかったのである。そこでHさん(推定50代、女性)がおだやかに一言「それはちょっと異常ねぇ」。
 確かに普通じゃないけど、異常とまで言われてしまった。この頃からMさんは一部でストーカーと認識されるようになった。

 ある日Mさんがわたしに「Tさんが○○さん(もにかの本名)のうちに行ったんだって?」と聞いた。それで「はい。うちで会議をやりましたので」と答えた。Tさんとわたしは、学習会を企画したり、ニュースレターを発行したりする、小さな団体に属していた。その会議を拙宅でおこなったのである(注:わたしはこのとき一人暮らしをしていた)。恐ろしいことにMさんは僕も○○さん(もにかのことよ)のうちに行きたいと言う。Tさんがうちに来たのはみんなで会議をするためで、Mさんがわたしんちに来る理由はないのっ!!!

 最近では周りがストーカー防止法に基づいて(ウソ、独断で)、Mさんをわたしから遠ざけようとしてくれる。例えば、居酒屋に入ってわたしのとなりにMさんが座ろうとすると、他の人が「ダメ、Mさんはこっち!」と言って別の席に強制移動させる、等々...。

 一昨日(03.2.21)に、わたしがボランティアしていてMさんも所属している市民運動の会議があり、その後居酒屋へ向かった。Mさんは「これからうちに帰って徹夜で××しないといけない」とぶつぶつつぶやいていたが、みんなと居酒屋へ。「1杯だけ飲んで帰る」と言って、わたしのとなりの席に座ろうとした。例によってみんな「ダメ、そこじゃなくてこっち!」と誘導しようとするが、無視して強引にわたしのとなりにどっかりと腰を下ろしてしまった
 「1杯だけ」なはずなのに、Mさんはなぜか30分経っても帰らない。みんなが「もう1杯飲んだでしょ?」「帰らなくていいの?」「うちでやることあるんでしょう?」と言うが、なぜか動かず。
 そのうちに「バレンタイン・デーに会社の女性からチョコレートをたくさんもらった」と威張りだす(わたしは当然あげていない!)。別の人が「Mさん、来年定年だからでしょう」と指摘。Mさん「ばらさないでよ〜」。わたしが「じゃあ、3月14日のホワイト・デーでお返ししないとね」と言うと、Mさん「そうなんだよ〜。何がいいかな〜。相談にのってくれる〜?」。周りから「だめだよ、Mさんに付け入るすきをみせちゃ!」と注意される。確かに、ボランティアに行ってる事務所に「ホワイト・デーの相談なんだけど〜」とかいう電話が何遍も来たら大変だ!
 そうこうしているうちに、10時半を回った。わたしはみんなより遠くに住んでいるので、「では、お先に」と帰ろうとしたら、Mさんも「ぼくも帰る」と言いだした。みんなが「わざわざ○○ちゃん(わたしのこと)と一緒に帰ることないでしょ!」「Mさん、あと10分くらいいなよ」「もうあと5分でいいから」と言うが、完全に帰りモードに入ってしまう。わたしは自分の飲み代2000円を置いて、帰り支度をした。Mさんも2000円置いたら、「Mさんはビール飲んだから3000円!」と言われるが(わたしは居酒屋でたいていウーロン茶しか飲まない)、「3000円払ったら交通費がなくなる」と2000円で押し切る(日本○空社員なのに、なぜかいつもあまり金を持っていない)。みんなに「○○ちゃん、はやく出なよ」とせかされ、出口へ向かった。Mさんも急いで出ようとするが、周りの連中がMさんのコートを隠したりして妨害工作をしている。結局追いつかれて駅までご一緒することに...。
 Mさんは地下鉄ユーザーのはずなのだか、わたしと同じJRに付き合ってくれた(トホホ...)。Mさん宅と拙宅は反対方向なので、上り電車でも下り電車でも、どっちかが来たらホームでお別れ。こういうときに限って電車がなかなかこない! 「マーフィーの法則」という言葉が頭をよぎる。それとも短い時間でも、長く感じたのか...。やっとわたしの乗る上り電車が来たので「では、お疲れ様でした」と挨拶する。Mさんは握手を求めてきたのでやけくそで応じる。
 「今日もMさんの愛を一心に受けたなぁ」と思い、家路に着いたのであった...。

 Mさんへ一言
「あなたを嫌っているのではないのです。ただ、うちに来てくれたら困るの!!!」

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