* 初海外 *



 小6の時に、「中学生になったら英語を勉強しなあかんなんて、絶対に嫌!」と言い張ってたのが今となってはだいぶへんちくりんな話である。日本語以外の言葉を勉強するなんて絶対にごめんやったのに、それがなぜか中学生で、どこでどうなったんか将来の夢が、「オーストラリアに住むこと」になってた人、Mちく。こんなに雄大な国が同じ地球にあるんやと知った。日本ってなんてちっちゃいんやって思った。だからずっとオーストラリアに憧れてた。でもなんでか知らんがイギリスがMちくの海外デビューの地となるのである。

 高校3年、18の夏休み、通ってた高校ではほぼ全員が3週間ホームステイの研修旅行に行く。理系でも文系でも語学が好きでも嫌いでも。とにかく楽しみに行こうゼ!っていう気楽なやつだ。付属高校でエスカレータで大学にいけるし、受験がないからそんな余裕が生まれるわけでありましょう。「英語、フランス語、ドイツ語、中国語」で自分の履修してた言語の国へ行くんやけど、Mちくはずっと3年間、英語を取り続けてたから行き先はアメリカ(サンフランシスコ、ボストン)、イギリスもしくはオーストラリアの4つの選択肢があった。オーストラリアを選ばなかったんは、たぶん、中学ん時にオーストラリアにあまりにも憧れすぎて、いろんな旅行書をすでに読みあさってたから、行ったこともないくせに有名どころはほとんど知り尽くしてしまってちょっと飽きてたってのもあったし、「あ、この地球には他にも国はあるのよね」って高校生になってふと新しい世界に気が付いたからかな。だから違うとこに行こうってひらめいた。アメリカを選ばなかったんは、アメリカには絶対いつか自分で行くような気がしたから。そんな日が来ると自然に思ってた。それはその通りになったけど。だから、なかなか行けなさそうなところにしようと思った。それがイギリス。遠い遠い国に思えた。

 初めての海外は感動と驚きの連続やった。見るものすべてが。初飛行機で、飛行機が大好きになってしまった。お子様のように、空港で一人はしゃぎまくってやった。窓に張りついて飛行機の渋滞を見てるんはなんとも愉快やったし。エアポケットに入って揺れると嬉しくてずっと笑ってた。とにかくすべてが新しい世界。実際、自分の知らなかった世界を知ったような。そんな気分やった。そして、英語。悲しきかな全然通じひんかったなぁ〜。発音は直されるし文法も細かく指摘されるし、おまけにそんな単語はイギリスにないと言って笑い者にされる始末。くそー!イギリス英語なんて大嫌いだと思ったな。その反動で?自分はアメリカ英語のほうが好きなんやなってことに気づいた。

 初海外。おまけに言葉がよくわからんし伝わらんから、ちょっとホームシック的なものにもかかり。でも約100人ぐらいでイギリス行ってたし、ホームステイ先は全員バラバラやったけど、学校に行ったらみんなに会えるからホームシックってほどのものではなかったんかも。で、Mちくのイギリスでのわくわくどきどき生活をいっそう楽しいものにしてくれたのは、同じ家にステイしていたドイツの人やラトビアの人やルームメイトのイタリアの人。他にもポーランドの人もいたけど、とりえずめちゃくちゃいっぱいいた同居人だな。ホームステイ先を提供することをひとつの仕事としてやっている家やったから、Mちく以外にもヨーロッパ方面からたくさんの人が3階建ての家にいっぱいいっぱいステイしてたのである。それはまさに、「何人出てくんねん!?」って勢い。3週間のステイ中に会った人達はたぶん全部で10人を越えてたかな。Mちくがなんと初のアジア人であり、日本人だったらしんやけど。だからひっぱりだこ。照れるわ。とにかく高校の友達と遊ぶよりも、彼ら彼女たちと遊んでることが多かった。いろんな国から人が集まってるから、それなりにいろんな事件が起こったけど、とにかくそれさえも楽しかった。みんなすぐMちくの部屋に集まってきて散らかしまくって帰っていくし、常に誰かのネタにされて遊ばれてたし。でもいろんな話をしてバカなことをして、はしゃいで笑って。とても貴い時間やったんやなと思う。

 研修先はロンドン郊外の小さな町で、老後その町にやって来る人が多いとか。確かにおじいちゃんとおばあちゃんが多かった。家から少し行くと海があった。みんなで遊ぶんは海が一番多かったかな。よく夜中まで遊んでたりもした。いくら帰るのが遅くなっても、家の人は何も言わないし心配もしなかったから。高校生Mちく、悪の道に走る…。なかには次の日の朝に帰ってくるポーランドの人がいたけど、それでも平気やねんもん。いいのか悪いのか。とにかく毎日誰かと一緒にいた。ラトビアの人とは今だに仲良し。英語を上手に話せる彼はしどろもどろの私をいつもすごくかわいがってくれた。そして日本に興味を持ってくれた。とてもいい人である。

 週末はロンドンまで遊びに行ったりした。ロンドンってすごい。なんて言葉にしたらいいのかわからんけど、外国にいるってことをむちゃくちゃ感じた。あっこはさすが、世界のcityだな。きれいめなとこも汚いめなとこも、いろんなとこ行ったけど、ロンドンはアートな街な感じがした。なんていうか、こ洒落てる?まぁ、なんといってもまだ高校生やったしいろんなとこ行ったっていっても全然そんな冒険はしてないけど。とりあえず、ドキドキすることばっかで、初海外はおもしろいことばっかやったなぁ。だって、なんにも考えてなかったからネ。若かったです。そんなこんなで、世界デビューしました。