失意の軸〜虚言〜
少しずつ広がっていく物語・・・。

1.結合者

轟々と燃える焚き木を見ながら、私は考えていた。

私が、この場所に着いて、早3年の月日が流れた。

最初は戸惑ったこの場所での生活だったが、あんがい慣れとは素晴らしいもので、今となっては、この環境に適応している。

私が、ここに来てしまった理由は、ここでの生活を始めてから1年立った頃に、ある一人の人物の言葉によって、明らかとなった。

そして、私が、もう元の場所に戻れないということも。

その理由とは、ある特殊能力の暴発といったものだった。

その能力を持つものを総称して「結合者」と呼ぶんだそうだ。

私は「結合者」だと言われた。

その後、その人は、「結合者」について語ってくれた。

理解するには信じがたい話だった。

時空間上には、様々な向きの異なる時間軸が存在するという。

時間軸同士が交わる点が、幾つか存在する。その時、常人でも異なる時間軸にワープしてしまうことがある。それは、たまたま交点が生み出したエネルギーに干渉してしまった場合だ。

「結合者」は、それらの時間軸が、交わっていない時でも、軸同士の間に架け橋を作り、軸間をまたげるという。

私が、いた場所の時間軸と平行で逆向きの時間軸が、今いる場所だという。

私は、交点エネルギーへの干渉によって、この軸へ来たのではなく、自らの力で来たということだ。

だが、私にそんな覚えはない。

先に言ったように暴発。

未発達の能力者には、この手の事故が多いらしい。

そして、暴発の影響か、能力が解除されるという。

つまり、戻る術は、ないということになる。

・・・まぁ、ここでの暮らしも悪くは、ないな。

私は、焚き木の火を消し、床についた。


戀[TOP]