[ ボクはがんばるぞぉ ]




セイくんは生まれて間もない精子です。立派な仕事をするために、今日は精子の学校

に来ました。

「いいですか、みなさん。サイレンが鳴ったら、すぐにトンネルを抜けて泳ぎ出すん

です。ほら穴にたどり着くまで、とにかく一生懸命泳ぎなさい。1等賞を取らないと

意味がありませんよ。そしてほら穴の向こうに赤くて丸い卵子を見つけたら、すぐに

『こんにちは、僕は精子だよ』と声をかけなさい。すると彼女が『こんにちは、私は

卵子よ』と答えるはずです。こうしてめでたく出会えたら、あとは2人の共同作業

になります。ここまでの流れ、わかりましたか」

「はーい」

「では本番の日も近いことでしょう。みなさんよくおさらいをして、がんばるんですよ」

「はーい」

2日後、セイくんがウトウトしていると、突然サイレンが鳴り響きました。

「うわっ、いよいよだ!よーし、がんばるぞぉぉ!ランちんに会うんだい!」

先生に教えられた通り、セイくんはトンネルを抜けてがむしゃらに泳ぎました。仲間

たちが後からいっぱい追いかけてくるのがわかります。

「負けるもんか!ボクが1等賞とるんだい」

ひたすら泳いでほら穴の入り口にさしかかったとき、セイくんは2位以下に大差をつ

けて文句なしの1等賞。そうして赤くて丸い彼女を見つけると、やや緊張しながら

も、せいいっぱいの笑顔で言いました。

「こんにちは!ボクは精子だよ!」

彼女も笑顔を返してくれました。









「あらこんにちは。私は扁桃腺よ」