司法試験の情報を投稿してくれ、ということですので、とりあえず、「司法試験合格のための方法論」ということで書いていきたいと思います。
なお、以下の論述のうち「一、ないし三、の部分」は、『2000司法試験合格者ファイル』(辰已法律研究所)P.174〜5の私の執筆部分からの転載であることをお断りしておきます。
一、短答と論文・口述の特徴
司法試験の3段階のうち、短答試験は「見えやすい」試験なのに対し、論文試験・口述試験は「大変見えにくい」試験と言えます。
短答試験は、合否の目安は「42点くらい」と数字ではっきりしています。そして、自分が合格できるか否かは、「点数」という数字で客観的に現れます。さらに、短答のための勉強の範囲には限界があります。
したがって、「見えやすい」試験と言えます。
(注) ここでいう「42点くらい」というのは、あくまで平成11年度までの合格推定点を示しています。平成12年度短答本試験の合格推定点については 「44〜5点」くらいになっているようです。
これに対し、論文試験は、合否の目安ははっきりしていません。その結果として、自分が合格できるか否かも、はっきりと現れません。
さらに、論文のための勉強の範囲は、限界が見えません。なぜなら、問題の問われ方次第で解答の仕方も変わらざるをえず、そしてその問題の問われ方は無限大だからです。
したがって、「見えにくい」試験と言えます。
これは口述試験も同様です。
論文試験が最難関であるとされ、口述試験を受験生が苦しいと思うのは、恐らくこの「見えにくさ」から来ているのでしょう。
なお、短答は「結果」があえば足りるのに対し、論文・口述は「論理過程の正当性」も問われる、という違いもあります。
二、短答対策
短答試験を突破するために、必ずそして一番最初にしなければならないのは、「短答過去問を解くこと」です。
なぜなら、短答では過去問は繰り返し出されるからです。
これは、法務省のホームページに「短答式試験問題は,択一試験という性質上,過去に出題した試験問題との重複が避けられない」(プレスリリース平成11年1月28日付け)と書かれていることからも分かります。
平成11年現在では、憲法・民法については、結構細かい知識を問う傾向があります。
それゆえ、短答過去問は、細かい知識が問われていた「昭和36年から」解く必要がありますし、またそれで足ります。
昭和36年からの出題分が、短答の勉強の範囲の限界ラインとみてよいでしょう。
限界を超えられないからこそ、同じ問題を繰り返し出さざるを得ないともいえます。
他方、刑法については、細かい知識を問うのではなく、事務処理能力が要求されています。この事務処理能力を早めるカギは、学説の対立点を理解しているかという点にあります。ですから、学説の対立が生じる背景は何か、結論の異同はどうか、といった点に着目して勉強すればいいでしょう。
刑法の短答過去問については、「昭和56年から」解いておけば足ります。
(注) ここでいう憲法・民法・刑法の傾向については、本文中にもあるように「平成11年現在」であることに注意しておいて下さい。
三、論文対策
前述のように、論文試験は「大変見えにくい」試験です。
しかし、少しでも見えるようにする方法はあります。その方法とは、「合格答案のイメージ」を知り、そのイメージを自分自身で実感し、実際に答案に表現することです。
そして、「合格答案のイメージ」とは、「読み手に読みやすい答案」であり、一言でいえば「言葉のつながった答案」です。
答案を書く際には、
@ある論点を書くか否か、
A書くと決めたものにつきどのように論理過程を示すか、というプロセスを経ることになるのですが、
@については、なぜ本問でこの論点を書くのか、「問題文と論点とが」言葉でつながっており、
Aについては、条文・原則などの論証不要なものから(明文なく問題となる場合は条文の趣旨などから)「論理過程」が言葉でつながっているものが、「言葉のつながった答案」ということになります。
もちろん、知識の有無で差がつくことはあります。
しかし、実は「答案の書き方」の点で差が付くことが意外に多いのではないかと私は思っています。
ですから、前述した点を意識した「答案の書き方」ができれば、他の受験生に差をつけることが出来ると思います。
四、これからの執筆方針
『2000司法試験合格者ファイル』では、以上のようなことを書いたわけですが、いかんせんページ数や執筆内容につき制約があったために、十分な記述ができていません。
そこで、今後は、以上の記述をもっと具体化する形で書いていきたいと思っています。
果たして、どれだけ続けられるか、どれくらいのペースで書けるのかは全く分かりませんが、できうる限り、書いていきたいと思います。
今が論文試験直前ということもありますので、
論文試験対策を先行させるつもりです。
<第1回 終わり> H.A