『影男』 江戸川乱歩

  いくつもの名前を持ち、変装の名人である影男はいろいろな人物になりすまし、人間や世界の裏側を探求して、そこで知りえた情報によって莫大な金銭を得ていた。つまり、金持ちをゆすってお金を要求したり、裏世界で知ったことを小説に書いて(影男は謎の小説家でもある)、金儲けしてたのである。
  この影男の設定がおもしろくて、スポーツ万能で昔サーカス団にいたとか、本をたくさん読んでいたため人間の裏側を探求することに興味を覚えた、あたりまではいいんだけど、忍術のように全身同じ色の服(上着のそではそのまま手袋に、ズボンのすそはそのまま靴下に、そして同じ色の覆面までも)を身にまとって、保護色で人の目につかないようにしたらしい。・・・そのほうが、人目につきやすいと思うのだが。
  話の中盤あたりに出てくる地底のパノラマ王国がぶっとんでて良かった。終盤にさしかかり、明智小五郎の登場によって話が・・・。いい感じでニヒルな主人公、影男に感情移入してたのに、それはないよって感じです。けどまぁ、 おもしろかった。



 

『超老伝』 中島らも

  灘高出身の変な(いい意味で)アル中のおっさん、中島らもの書いた小説。彼はエッセイとか劇団リリパット・アーミーで有名だが、ちゃんとしたおもろい小説も書いている。小説でいったら、吉川英治文学新人賞を受賞した『今夜、すべてのバーで』のほうが有名であるが、大阪のりのおバカなおもしろさでいったら、『超老伝』のほうが抜群に良い。
  サブタイトルが「カポエラをする人」とあるように、主人公のキチ○イ電波全開のおじいさんが、カポエラ(格闘技の一種。読んだらわかる。)の達人ってとこから、もうぶっ飛んでる。モヒカンのパンクスや相対性理論を宗教の教義にしてるおっさん、世界一でかい巨人、インド人の兄弟とか出てきて、もうひっちゃかめっちゃか。一章ごとに、一人称が変わって、それぞれの目で見た世界が語り口調で描かれているところが、とても読みやすく、またユニークでよかった。ちっちゃいボケがふんだんにちりばめてあったりして、マニアックなとこがとってもおもしろい。 まじでおすすめ!!