Summer Program for Japanese Speakers 2000

2000.8.6 - 8.18
at Rudolf Steiner College in Sacramento

カリフォルニアのサクラメントにあるルドルフ・シュタイナー・カレッジで、
「日本人のためのサマー・プログラム2000」
という2週間の講座が開かれました。

2週間という短い期間でしたが、
色んな意味で、とても貴重な体験をすることができました。
これは、プログラムの概要&感想です。


オイリュトミー 

 7時半という早い時間に始まるオイリュトミーのクラスは、カレッジに隣接するサクラメント・ワルドルフ・スクールのオイリュトミー用の建物San Juan Hallで行われました。

 まず、歩くことから始まりました。ただ歩くだけでなく、大地を感じながら歩いてみる。まわりの空間を感じながら、まわりにいる人たちを、目だけでなく、肩で、背中で、全身で感じながら歩いてみる、そうしながらみんなと出会ってみる。

 言葉のオイリュトミーもしました。母音・子音ひとつひとつ音の響きの性質にあわせて動きがあります。
 言葉って、凄い!母音aが、相手に対して開いていくopenな性質をもつのに対し、母音oは、外から内を守る性質を持ちます。英語で心は"heart"でaの発音をするのに対し、日本語は"kokoro"でoの発音なのだと先生が言ったのが印象的でした。言語で、日本人の性質をしっかり表しているんですね。「心でなくheartを持ちたい」と思ったわたしでした。

 Satin Doll (American song)に合わせてのオイリュトミーもしました。初めのうちは、ただのダンスでした。アップテンポで動きを覚えるのが難しくって、覚えた頃に次の動きを加えていき、だんだんダンスとして完成していきました。それが最後には、音楽から言葉を感じて、言葉の動きを入れて、言語オイリュトミーとして完成。カリフォルニアだから何でもありでしょ〜、と笑いながら指導してくれた、とっても優美なHelga先生。こんなオイリュトミーは初めて。とっても楽しかった。

 日本語の詩に合わせて、言語オイリュトミー。
「わたしは稲穂 秋 大地が 胸をこがす 見渡すかぎりの金色の稲穂」 
                    わたしを束ねないで 新川和江作   の一部
母音a,i,u,e,oの性質。地(憂鬱質)の性質を表すm,b,d,g,m、火(胆汁質)を表すs,k,fなどを混ぜながらオイリュトミーを完成させました。日本語を知らないHelgaなのに、しっかり詩を感じ取って表現していました。

4つの気質

 地(憂鬱質)・水(粘液質)・火(胆汁質)・風(多血質)について、地水火風それぞれの性質を考えることで学びました。本で読んだだけの知識ではよく分からなかったものが、はっきりとしてきました。

 気質を学んでいくうちに、気づいていなかった自分の性質に気づいた。「私ってこんな面もあったのね〜」と発見することが多々あって発見の毎日でした。
オブザベーション

 ガーデンの中からmy plantを決めて、7日間その植物の観察を続けました。「地」的、「水」的、「火」的、「風」的な観察の仕方をし、植物を科学的に見たり、植物の周りの空間や流れを感じてみたり、連続するものを感じてみたり、植物に語りかけてみたり・・・。

 まず感じたのは、人間って、なんて偏ったものの見方しかしてないんだろう、ということ。ものの一面しか見ていなかったり、主観を混ぜて見ていたり、まわりとの連携を考えずにその「もの」だけしか見ていなかったり、名前をつけて分かったつもりになってしまったり・・・。もの、そのものを既成概念でも主観混じりでもなく、そのものをそのまま受け取ることや、目だけでなく、体中の感覚を使って受け取ることが、何て難しいんでしょう!私って、なんてわずかな感覚しか使わずに生きているんでしょう!!!

 この授業の中で、「十二感覚論」についても学びました。
カリキュラム

 1年生から8年生までの算数の授業のカリキュラムについてのお話。授業のはじめには、ワルドルフ・スクールで行われているように、先生の奏でるフルートに合わせて挨拶をしたり、リズムに合わせて全身を使って九九の練習をしたり、数の性質をみんなでリズムをとりながら感じました。おお、これが本で読んだワルドルフ・スクールの授業か〜。実際に体験してみると、本当に面白いし、体で分かって感動でした。

 加減乗除にも地水火風の性質があるという。だから、黒板に書くとき、+−×÷の記号も、地水火風の性質を
表すように+(地・青)、−(水・緑)、×(風・黄)、÷(火・赤)を使って書くのだそうだ。体を使って整数や分数を感じること、イメージとともに感じさせること。何てこまやかな心配りのある授業なんでしょう。そうやって、子どもたちの体に染み込ませていくんだな〜、と実感しました。

 シュタイナー学校では3年生までに、人が生きていくために必要なことを全て習うのだそうです。食事を作ること、作物を栽培して食料を得ること、着る物をつくること、家をつくること、など。これが大きな自信となって9歳の危機を乗り越えていける。そこまで考えてカリキュラムが作られているのか〜、と改めて感心しました。

パステル

 パステルを使って「緑」のエクササイズ。何種類かの緑のパステルを使って、一枚の絵を完成させました。

 緑は、現在の光の色。黄色や赤のように前に飛び出してこないし、青のように後ろにさがる色でもない。微妙に違ういくつかの緑をつかって、画面に光を作り出した。最初、うすく塗った緑が、だんだん濃淡が強くなっていく。全体的には、色が濃くなる一方なのに、光が生まれてくる。とても、静かな、穏やかな光。
 
 初めは、「緑の光?」と納得できないまま話を聞いていたのですが、エクササイズを進めるうちに、画面から緑の光が生まれてきました。これが、緑の光なんだぁ。

 黄色い光は過去の光。神様が降り注いでくれる光は、知恵の光。これは、一方的に降り注がれる光で黄色い光。それに対し、緑の光は、自分から発する光。神様から受けた黄色い光を、自分の知恵として、自分から発するのが緑の光。

 例えば、新興宗教などは、神様の教え(=黄色い光)を受け、それを丸ごと信じていきます。シュタイナーの考えでは、黄色い光を丸ごと信じるのではなく、それが正しいのか正しくないのかを自分で考えて決めていくことが大事です。自分で考えて、自分のものとし、自分の知恵として放つ光が「緑」なのでしょう。
 
ドラマ

 「ドラマ」って何するの?と思いながら受けた初めての授業。いや〜、面白かった。セリフを投げる練習、レスリング、即興のジェスチャー、そして、エリオットの詩のコーラスetc。自分を再発見した演劇の授業でした。

 レスリングは、スポーツのレスリングではありません。はじめ、二人で向かい合って手でテンションを感じます。日本語で言う所の「気」のようなもの。テンションを感じながら、二人で動きます。初めは手だけ、次第に全身で、そして離れても、後ろを向いてもテンションを感じる。俳優は、俳優同士、そして観客とのテンションをいかに作れるかが、とても大事。これは、俳優と観客だけでなく、教師と生徒の関係にも言えるのですね。

 泥の中を動くつもりになってジェスチャーをしてみました。泥の中を前進しようともがいていると、足が泥から抜けなくなって動けなくなってしまいます。足が膠着したまま、もがきます。しばらくすると、足が泥から抜け、自由になります。そして、水の中を漂い始めます。ふわふわ、ゆ〜らゆら〜。気持ちよく漂っているうちに、空高く舞い上がり鳥となって飛びます。ゆっくりゆっくり、次第に速く、速く、速く!!最後に、太陽になります。体の中から光を発し、みんなを照らします。明るい光の源。
 泥⇒水⇒風⇒火、そうか、4つの気質を演じていたんだ。
 
その他、歌、幼稚園、などの授業があり、毎日の最後はハーベスティングで終了。

 ハーベスティング(1時間)では、毎日のできごとを逆からたどる「ルクシャ」をしたり、毎日与えられる質問について考えたりした。そして、それをみんなで共有しあった。日本の学校で言うならば「帰りの会」みたいなもの(?)。でも、他の授業に負けないくらい、深く考える時間だった。この時間に得たものは、ものすごく大きい。

                   

BREAK&LUNCH

 午前と午後、各1回30分間のブレイクがあります。木の下にテーブルが並べられてあり、テーブルの上には、カレッジのガーデンでバイオダイナミック農法によって作られた野菜や果物、クッキーやケーキ、おにぎりやお寿司が並びます。これが、毎日バリエーションに富んでいて、おいしい。青い空ときれいな空気、自然がいっぱいの環境で食べるのも、すごく気持ちいい。ランチももちろん木の下でとりました。
 
 毎日毎日、朝7時半から始まるハードな毎日でしたが、こうやってブレイクをとるのって、とっても心が休まります。忙しいばっかりで、ゆとりを忘れてしまいがちな日常生活も、こんなブレイクがあれば、ずいぶん心が豊かになりますよね。

 ちなみに、私、お腹が弱いのですが、カリフォルニアの美味しい野菜と果物のせいか、(バイオダイナミックのお野菜のおかげ?)お腹は絶好調でした。(日本に帰ってきたら、すぐにお腹をこわしたのはなぜ?)

 あちらにいるときは、一日六食!。朝食、ブレイク、昼食、ブレイク、夕食、その後「夜のオイリュトミー」を終えてから、夜のデザートまで、しっかり食べていて、それでもちゃんとお腹がすく自分が怖かったーー。2週間で2kg太ってしまいました。(~_~;)
 
LIVE OAK Waldorf School 訪問

 カレッジから車で30分ほどのところにある小学校を訪問。
 そこでは、3年生の国語の授業か、6年生の天文学の授業のどちらかを選んで、生徒になったつもりで授業を受けました。そして、ぬらし絵。子どもになったつもりで、先生のお話を聞きながら黄・赤・青の3色をのせていきました。メルヘンの世界にひたりながら、色を感じ取れた体験。先生のお話を聞いたり、質問したりした後、ワルドルフスクールの父兄の家である、すごい豪邸で、ピザパーティ。みんな、プールで泳いだり、お喋りしたり、短かったけど楽しい時間を過ごしたのでした。

 学校に併設されているshopは、シュタイナー関係の本やグッズが充実していて、比較的安かったです。カレッジの近くのSecond waveというお店では$57だったコロイのリコーダーを、$48で購入することができました。



 毎日朝7:30から始まるプログラムは、本当に充実していました。
 毎日、こんなに中身のある授業をたくさん受けたので、私の中は飽和状態でした。心も幸せでいっぱい。2週間という限られた期間のなかで、こんなに沢山のことをよく学んだなぁ・・・。「学んだ」というのは正しい表現ではないかもしれません。沢山のことを「体験」した・・・の方が正しいかしら。
 本を読んで、一生懸命頭で理解しようと頑張っていた「シュタイナー」の思想のひとかけらが、この夏の体験で、すーっと私の中に入ってきた感じ。心の中に種を蒔いてもらって、帰ってきた気がします。この種を、枯らさないように、コツコツと育てていきたいなぁ・・・・・・。