最近、現代社会のあらゆる局面 で細分化が進み他方その動きに対して疑問を投げかける声もよく耳にします。現代医学の分野においても例外ではなく、その細分化、専門化がますます進んでいるといえます。専門化により、 医療にとって有利に作用する点、あるいは不利に作用する点それぞれ存在するといえます。

しかし最近の傾向としては、利点の方だけが強調され、医療の専門化に伴う弊害に対しては軽視されている感があります。 この問題を、具現化したものが、インフォームドコンセントの不備、医療ミスの増加、その集大成としての医療不信が挙げられるといえます。"病人を診ず、病気を診る"という言葉に現状が集約されているといえるのではないでしょうか。



このような現状の中、全人的医療が広く叫ばれるようになり、知識一辺倒の医療ではなく、コミュニケーションを基本とし た患者を一人の人間として診るという、今の医療に欠けがちなしかし本来あるべき医療の姿を追求する必要性は広く求められていると考えられます。 一方で医療は完璧なものではなく、本来の医療の在り方について、理想と現実の間に挟まれている状況にある医療者もたくさんいるのです。そこで医療体制に対する批判ではなく、本質を見直すという意味で、医療の原点に立ち返った企画を立てようというのが今回の趣旨であります。つまり、本企画を通 じて患者・医療者がお互いに歩み寄り、 よりよい医療とは何かということを考える機会を与えることができればと思っています。また、学生には医師過剰時代といわれる現代においてコミュニケーションの重要性を強く認識するきっかけとなることを期待します。



それらの糸口として、まず現場の生の声、つまり、患者、看護婦、医師など医療を様々な角度から見つめる人々の心の声に 耳を傾けることからはじめようと思います。この企画の成果を医療の現場に少しでも還元し、患者本位 の医療の実現に僅かながらも尽力できたら幸いです。