不況


論題:デフレ不況による問題

上記の論題をうけて、下記のテーマ(論点)を設定することとする。

論点:不安・孤独社会における、悩める日本企業と賢い消費者〜不況問題の一つである顧客不在現象の原因の解明とその克服をめざして〜

序論

T.はじめに…問題意識と課題の設定

T−1.問題意識
 近年の日本社会・市場を見た場合、その大きな特徴は「1.デフレ不況による企業の倒産を含む顧客不在現象2.不安・孤独の21世紀と、その中にいる賢明で自覚的・主体的な消費者の出現」の二点に集約される。そして、この二つの傾向はおのおの個別に存在しているのでなく、相互に関連しあっているのではないか、もしそうであるならば、その関連性という領域にこそ、不況下の企業が直視すべき事柄があるのではないか―という問題意識が深まっていた。

T−2.課題の設定
 以上の問題意識から、次の課題を設定してテーマを考察することとする。@顧客不在現象の原因の解明についてA顧客不在現象の克服策について

U.考察方法

 関連文献・資料からの引用事例で、テーマを考察することとする。

本論

第一章 顧客不在現象の原因の解明〜なぜ企業は顧客をひきつけられないか〜

 ここでは、問題が最も身近にあらわれている領域と、その問題が生み出される背景について、考察を深めることとする。

第一節:問題はどこにあらわれているのか

 その問題は、企業が提供する商品と消費者が求める商品とのズレ・ギャップの大きさにおいて明らかだ。東京大学経済学部教授の片平秀貴氏によると、両者にとってベストな商品は、「大・同・新」と「小・異・義」というキーワードで特徴づけられる。つまり、いかに多くの人に多くのモノを売るかという発想のもとにつくられる「無難で汎用性の高い=差別化のなされていない没個性の、見た目だけの新商品の大量生産」を行う企業に対し、消費者は、「企業の規模よりも、オリジナリティ・企業全体としての社会への姿勢」を商品購入の基本に据えるのである。このような商品を好む新しい消費者に、これまでの商品戦略はもはや通用しない。そこで次節では、そのような新しい消費者の、より鮮明な「顔」と、彼らの出現の社会的背景に迫ってみたい。

第二節:問題が生まれた背景とはいかなるものか

 まず、新しい消費者の特徴として、下図のような4つの要素があげられるが、これらは言うまでもなく先述した小・異・義的商品志向の所以である。次に、そういった消費者が出現した背景についてであるが、それは先述した「不安・孤独の現代社会」にほかならない。地球環境・社会保障・医療・教育・雇用問題といった数々の不安と、近年のグローバル化・ボーダレス化に伴う価値観の多様化・流動化による孤独感の蔓延―そんな中、彼らは自己の問題(不安)を解決してくれると同時に自己が共感できる商品を求めており、そのような「不安・孤独の解消=安心・共感の提供」への需要を中心に成り立つ社会システムを、理念型経済社会」という。では、企業は今後、こうした新たな消費者・未来型社会システムといかに向きあうべきか―

第二章 顧客不在現象の克服〜企業はいかにして顧客をひきつけるべきか〜

 下図は理念型経済システムのコンセプトである。本システムの最大の特徴は、まず社会が一つの明確なゴール・目標・理念・夢を設定し、その達成に向けて適切なルートを設定するというもので、ここでのルートとは企業、消費者、自治体といった諸因子とその機能を指す。また、ゴールとは、すでに何度も述べてきた「不安・孤独の解消された安心・共感に満ちた社会の形成=持続可能な社会の形成」ということになろう。図より明らかなように、企業においては、消費者の支援のもと、目標実現のための提案・提言を行うという重要な役割が与えられ、ここにこそ無限のビジネス・チャンスが存在しうると確信できる。つまり、消費者は「目標達成=不安・孤独の解消された、安心・共感に満ちた社会の実現」に貢献する企業にエールを送るのであり企業は顧客をひきつけつづけるためには、目標達成へ向けた魅力あるプランの提示に、全社的にエネルギーを投入する必要があるであろう。

結論

 以上、第一章から第二章にわたってテーマを考察してきた。その結果分かったことは、近年のデフレ不況下における顧客不在現象の根本的要因は、不安・孤独の21世紀社会の中ですでに理念型経済というサイクルに親しみつつある消費者の意識の高さに企業側の意識が遅れをとっている点にあり、それゆえその解決策としては、持続可能な社会の形成という21世紀型の新たな思想に基づく最終目標を明確に認識した上で、既存の社会システムをどう変えるかといった提言・提案を行いながら、顧客との関係を築いていくことが考えられる。そのようにして構築された関係は、やがて単なる売り手・買い手といった枠を超え、共に21世紀日本という共通の時代・社会に生きる人間同士としての熱き血の通ったものとなるであろう。そしてその熱き血の通った企業と顧客の本物の連帯こそ、このデフレ不況を打破するパワーとなるにちがいない。今回のレポートで、その大切なことに気付くことができた意義は大きい。

参考文献

片平秀貴 「新版パワー・ブランドの本質」 ダイヤモンド社 1999年