この小説のコンセプトは御巣鷹山事故とその背景にある現代の企業を蝕む闇の構図である。
アフリカ篇、御巣鷹山篇、会長室篇の三部五巻から成る本作品は山崎氏の長期にわたる徹底的な取材により明らかに
された事実を小説風に再構築したものであり、単なるフィクションとは一線を画す。
航空会社は、政治と結びつき、我々の予想をはるかに越えた巨大な力を持つ。その組織に対し、事故の真相究明を求めて立ち向かった作者の勇気と忍耐には頭が下がる。
事故の裏には必ず複雑に絡み合った人間的要素がある。企業の人間性の消失、企業倫理の崩壊、労組間の対立、そして政・官・財が癒着する利権の闇― 航空に興味がある人はもちろんのこと、人的資源管理(人事労務管理)や企業行動と政治の関わりに興味のある人にこそ、ぜひ一読をお勧めしたい。