本書は、映画同様、この事件を題材の一つにしながら、 アメリカや日本で起きた数々の少年犯罪を取り上げ、事件からその背景までの糸をていねいにたぐりよせていく。その中には、1997年の 日本を震わせた「神戸連続児童殺傷事件」もあり、改めて事件の背後に潜む問題の深さを思い知らされる。
本書の特筆すべき点はまず、少年による銃撃事件を「ナルシシズム」的観点からとらえている点だ。「これらの事件はイジメへの報復であると同時に、誰もに内在する 自己防衛手段としてのナルシシズムの最もネガティブな形での表れである。」という著者の言葉に共感する。
そして本書のもうひとつの特徴は、事件の加害者・被害者・関係者の手記・証言をもとに論理が展開されるところにある。 事件を思い出したくない人、語りたくない人も多かったにちがいない。事件の少年も含めて、ここに書かれた 一つ一つの言葉は、彼らの胸の内から搾り出された魂の叫びである。そんな貴重な生身の言葉・体験が読者の胸に確かな重みをもって響く。
許容ではなく受容―彼らが起こした犯罪事態は決して許されるべきものではない。しかし、その背景に近づこうとすること=受容はできる。いや、 我々は近づかなければならないのだ。「そして僕は銃口を向けた。」―「そして」の前に確かに在った「何か」と向き合うために。