参考文献紹介


野村総合研究所 著 
「ユビキタス・ネットワークと新社会システム」
野村総合研究所
2002年



近頃、ニュース、新聞広告などで話題に上ることが多くなった「ユビキタス」―ユビキタスとは、ラテン語で「同時にいたるとこ ろに存在する」、つまり「遍在する」という意味である。

これまでのIT環境がPCに「偏った」ものであったのに対し、 これからはTV、携帯電話、車など、あまねく存在する端末を利用したネットワークの活用が可能となるのであり、このような、 「偏在」ならぬ「遍在」するネットワークをユビキタス・ネットワークという。そして、この「偏在」から「遍在」への変化を生み出す ものが、@ブロードバンドによる動画を用いた情報量豊かなコミュニケーションAモバイル端末の利用による「いつでもどこでも」の実現 B常時接続による自然なコミュニケーションCバリアフリー・インターフェースによる、子供や高齢者・障害者の利用の簡易化 DIpv6による、IDを持てる端末数の大幅な増加、という複合的な技術の加速度的な進化による技術要因である―このように書くと 、情報技術分野に興味の薄い人には不向きな書であると思われるかもしれない。しかし、それはまったくの杞憂である。 将来、世界がどのように変わっているのか...そのような思いを一度でも抱いた人なら間違いなく、ユビキタスというこれまで 誰も体験したことのない不思議な世界の展望に引き込まれるであろう。

本書は、そんな大きな可能性を秘めたユビキタス・ネットワークそのものの解説はもちろん、それを「どこに」「どのように」活用するのかといった 領域にまで鋭く踏み込むことによって、非常に具体的、実践的な内容となっている。しかし、その根底にあるのは常に、社会とシステムの関係をどう捉えるかといった極めて根源的な 問いかけである。「ユビキタス・ネットワークははたして誰のために何のために存在すべきか」―そんな問題意識を胸に据えながらじっくり読んでほしい一冊。