第2回ACLS勉強会口頭試問問題集  
 
 
 

2 ACLS勉強会 口頭試問問題集

不整脈の心電図の鑑別と初期治療について

注意点:ECG所見からの治療の正しいアルゴリズムは今後の勉強会で扱う内容です。今回の問題では、ECG所見と大まかな治療法がわかることを目的にしています。

問題1  VF

状況設定:BLSを行いましたが、脈が触れず、ECGではこのような波形でした。

問−この心電図をどう読みますか?

答−正常QRSがなく、PSTT波がなく、不規則な頻脈になっています。

問−では心室細動ですね。それでは次にどうしますか?

答−除細動を行います。

問−エネルギーの設定は?

答−200J300J3回目以降は360Jで、波形が変わらなければ脈を確かめずに連続して行います。

 

問題2  EMD

状況設定:脈が触れず、ECGでこのような波形でした。

問−これは何ですか?

答−EMD(electromechanical dissociation)です。(電気収縮解離)

問−原因を10個あげて下さい。

答−ABCDEFGHIJacidosisbleedingcardiac tamponadedrugembolismfreezing gas(低酸素血症)hyperkalemiainfarctionjam(緊張性気胸)です。

問−どの様な治療を行いますか?

答−チェックパルス行い、ボスミン1Aを投与します。

 

問題3   Asystole

状況設定:脈が触れず、ECGはこのようでした。

問−どうしますか?

答−VFである可能性もあるので、誘導を変えてみます。

問−変化がありませんでした。これは何ですか?

答−Asystoleです。

問−原因を6個あげて下さい。

答−ADFGHHacidosisdrugfreezinggas(低酸素血症)hyperkalemiahypokalemia

問−治療のための薬物をあげて下さい。

答−ボスミン1A、硫酸アトロピン2Aなどです。

 

問題4  房室ブロック(完全房室ブロック、2度房室ブロック)

状況設定:意識レベルの低下した3人の患者さんが運ばれてきました。それぞれECGこのようでした。

問−それぞれの心電図を読んでください。

答−Aさん 3度の房室ブロック Bさん 2度房室ブロック Wenckebach Cさん 2度房室ブロック Mobitz

問−緊急の治療の必要な人をあげ、治療法を述べて下さい。

答−AさんとCさん→経皮あるいは経静脈的ペースメーカーを使用する。

 

問題5  VT:心室頻拍

状況設定:50歳の男性。動悸と胸痛を訴えて来院した。急に血圧が低下して、呼吸困難を訴えた後、意識を失った。脈は触知する。→ 心電図所見を示す。

問−この心電図をどう読みますか?

答−1) 心拍数は? ・・ 頻脈2) R-R間隔は ・・ 3) QRS波形は ・・・ 幅は広い(0.12秒以上)。波形は整。P波は不明。

問−診断は何ですか?

答−VT:心室頻拍

問−治療はどうしますか?

答−1) 1st choice:カルディオバージョン=100200300J

 2) リドカイン:キシロカイン(2%):i.v. 初期量1A、以後5分おきに0.5A

 3) プロカインアミド:アミサリン:1A(200mg/2ml)を生食水18mlで希釈して2ml/分でi.v.

 

問題6  Torsades de pointes

状況設定:60歳の女性。胸痛と呼吸困難を訴えて来院。急に血圧が低下し、意識を失った。呼吸をしておらず、脈を触れない。→ 心電図所見を示す。

問−この心電図をどう読みますか?

答−1) 心拍数は?・・・頻脈

  2) R-R間隔 ・・・ 不整

  3) QRS波形 ・・・ 幅や波形は不整。QRSの極性が周期的に、基線を軸に上下に捻れた様に変化。

問−診断は何ですか?

答−Torsades de pointes(心室細動へ移行した可能性)VTの一種。

問−治療はどうしますか?

答−1) 1st choice:硫酸マグネシウム(マグネゾール)1A12分かけてゆっくりi.v.

   2) カルディオバージョン=100200300J

  3) リドカイン:キシロカイン(2%)+プロカインアミド

 

問題7  PSVT:発作性上室性頻拍

状況設定:40歳の女性。動悸と突然の胸痛を主訴に来院。→ 心電図所見を示す。

問−この心電図をどう読みますか?

答−1) 心拍数は? ・・・ 頻脈

  2) R-R間隔 ・・・ 整。P波は不明瞭

  3) QRS波形 ・・・ 幅はnarrowで、波形は整。

追加)症状の有無確認:

 自覚症状 ・・・ 胸痛、呼吸困難、意識レベル低下

 他覚所見 ・・・ 低血圧(<90)、ショック、肺水腫

問−診断はなんですか?

答−安定しているPSVT:発作性上室性頻拍

問−治療法は何ですか?

答−1) 1st choiceATP(アデホスP)10mgを急速i.v.し、20ml生理食塩水で後押し。

  2) 副交感神経刺激:頚動脈洞マッサージ、Valsalva

  3) ベラパミル(ワソラン)1A12分ゆっくりi.v.

 → 薬物治療施行でも不安定、もしくはVTVFに移行した場合

 → 不安定なPSVTと診断:カルディオバージョン(50Jから開始)

 

問題8  wide QRS tachycardiaQRS幅の広い頻拍

状況設定:70歳台の女性。動悸、胸部不快感を主訴に来院。以前から同様の発作があった。意識は明瞭で、呼吸・脈拍は確認できる。→ 心電図所見を示す。

問−この心電図を読んで下さい。

答−1) 心拍数 ・・・ 頻脈

  2) R-R間隔 ・・・ 整。P波は不明瞭

  3) QRS波形 ・・・ 幅はwideで、波形は整。

追加)症状の有無確認:

 自覚症状 ・・・ 胸痛、呼吸困難、意識レベル低下

 他覚所見 ・・・ 低血圧(<90)、ショック、肺水腫

問−診断は何ですか?

答−wide-QRS tachycardiaQRS幅の広い頻拍

問−鑑別疾患をあげて下さい。

答−変行伝導性の上室性頻拍か、心室頻拍か鑑別。鑑別困難なら心室頻拍として診断、治療

問−治療法は何ですか?

答−1) 上室性頻拍の診断なら問題7の治療。

   1st choiceATP(アデホスP)10mgを急速i.v.し、20ml生理食塩水で後押し。

    副交感神経刺激:頚動脈洞マッサージ、Valsalva法、ベラパミル(ワソラン)1A12分ゆっくりi.v.

  2) 心室頻拍の診断なら問題5の治療

   1st choice:カルディオバージョン=100200300J

   リドカイン:キシロカイン(2%)i.v. 初期量1A、以後5分おきに0.5A

   プロカインアミド:アミサリン

 

問題9  Af:心房細動

状況設定:60歳の男性。165cm85kg。動悸、呼吸困難を主訴として来院。応答は可能。自発呼吸はあるが努力性呼吸。脈は触れる。心拍数は160190回/分 → 心電図所見を示す。

問−この心電図を読んで下さい。

答−1) R-R間隔 ・・・ 不整。P波は認められない。基線の不規則な細かい揺れ=f波を認める。(f波は通常V1で最大)

 2) QRS波形 ・・・ 幅はnarrowで、波形は整で一定。

追加)症状の有無確認:

 自覚症状 ・・・ 胸痛、呼吸困難、意識レベル低下

 他覚所見 ・・・ 低血圧(<90)、ショック、肺水腫

問−診断は何ですか?

答−安定したAf:心房細動

問−原因疾患をあげて下さい。

答−1) Hyperthyroidism:甲状腺機能亢進症

 2) Infarction    :心筋梗塞

 3) Embolism    :肺塞栓

 4) Drug      :薬物過剰投与(特にジキタリス、キニジン)

 5) Gas(Hypoxymia) :低酸素血症

 6) Electrolyte    :電解質異常

問−治療法をあげて下さい。

答−1) ジギタリス(ジゴシン):初回12Aをゆっくりi.v.30分後に1Ai.v. ジギタリス2回投与でもAf持続なら(ジギタリス中毒の危険があるため)、次に

 2) ジルチアゼム:ヘルベッサー2A(20mg80kg)2分かけてi.v.

 3) カルディオバージョン:100200300J(不安定状態になったときのみ)

 

問題10  AF:心房粗動

状況設定:60歳の女性、155cm40kg(甲状腺機能亢進症疑い)胸痛、呼吸困難を主訴に来院。応答は可能で心拍数180200回/分。検査中に意識を消失した。→ 心電図所見を示す。

問−この心電図を読んで下さい。

答−1) R-R間隔 ・・・ 整。P波はない(41伝導)。基線の規則的な鋸歯状の揺れ=F波を認める。(F波は通常、U、V、aVFで最大)

 2) QRS波形 ・・・ 幅はnarrowで、波形は整で一定。

追加)症状の有無確認:

 自覚症状 ・・・ 胸痛、呼吸困難、意識レベル低下

 他覚所見 ・・・ 低血圧(<90)、ショック、肺水腫

問−診断はなんですか?

答−不安定なAF:心房粗動。Afと同様の原因(HI-EDGE)

問−治療法は何ですか?

答−1) カルディオバージョン=100200300J(50Jからでもいい) 安定したら問題9と同様の処置。

 2) ジギタリス(ジゴシン):初回12Aをゆっくりi.v.30分後に1Ai.v. ジギタリス2回投与でもAF持続なら(ジギタリス中毒の危険があるため)、次に

 3) ジルチアゼム:ヘルベッサー2A(20mg80kg)2分かけてi.v.