傷跡

 
恋愛は、自分で評価するものでもなければ
ましてやされるものであるはずもないわけで、
だから「本当の恋」だとか「間違った恋」とか
恋を区別することはできないと思うのね。
私が今までしてきたいくつかの恋も
それらの全てが違う印象を持っているのは当然なのだけど、
その中でも特に他と違う印象を持っている恋があるのだよ。
それは、「相手にいつまでも傷跡を残したい」と思う恋なのだ。

私は、彼のことをとても好きだった。
片思いの状態から始まった恋は半年経たないうちに両思いになって
私は本当に幸せな日々を過ごしていたのだね。
でも、その日々は長く続くことはなく
結局終わってしまったのだよ。
終わった時の私といったら、本当に悲惨だった。
毎日泣いてばかりいて、生きることが嫌になって
電車に乗っていても涙があふれてくる始末だったよ。

それでも、時間というのはすごいもので
いつの間にかその傷は風化していき(このようになった背景には
またいろいろとあるのだが)
今ではもう思い出を呼び起こすようなものを見ても感傷に浸る
ことはなくなったように思っていたのだよ。

そんなある日、私はaikoのアルバムを借りてきたのね。
そこには「赤いランプ」という曲があって、聴いてみたところ
私は途端に胸がしめつけられてしまったのだよ。
「たまに私を思い出してね そして小さなため息と
 肩を落とし 切なくなってね
 長い月日が経っても あざとなり残る記憶」
という歌詞があまりにもあの時の恋にぴったりだったのだね。
私は、彼に傷跡を残したいと思っていたのだ。
そして、実際私は彼に傷跡を残したと思う。
それが私にとって救いになっていたりするのだ。

こんなことを言うと私はとても嫌な人みたいだなぁ。
彼が新しい恋をすることは構わないし、むしろそうして
くれた方がよいのだけど、私とのことを忘れないでほしい。
なかったことにはしないでほしいのだよ。
私にとってもあの恋はなかったことにはできないからねぇ。
そういう意味で、傷跡を残したいのだ。
そして、他の恋愛とは違うのだよね。
私は、この恋が唯一「本当の恋愛」だと思っていたのだけど
最近は始めにかいたように恋愛には区別がないという考えなので
とりあえず他の恋とは違う恋である、ということにしておこう。


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