多事匠論


世代交代

 三大都市、東京・大阪・名古屋で激震が走った。東京では、若いボス猿が追放され、
新しいお山の大将に老猿が選ばれた。背後には、腹黒いヒヒの影がちらつく。病魔と戦
いながら栄冠を勝ち取った大阪の英雄は、後進に道を譲る潔さをみせた。我流を貫き通
した一兵卒は、ついに名古屋で表舞台に立つ。
 なんのことかと言えば、もちろんプロ野球の話である。日本シリーズも始まり、野球
ファンはナイター中継に釘付けだ。虎が吠えれば鷹が舞う。白球の行方に一瞬たりとも
目が離せない。勝敗とともに気にかかるのが「ストーブリーグ」。例年ならば、シリー
ズ終了後に熱を帯びるはずだが、今年はどこかおかしい。
 おろかで滑稽な「読売の人事異動」は、ダイエーの優勝直前に断行された。阪神のマ
ジックが「2」と減り、優勝への期待がかかった名古屋では、中日が山田監督の事実上
の辞任を発表。そして、日本中が驚愕した星野監督勇退はシリーズの前日であった。
 タイミングが悪すぎる。セ・パ両リーグで優勝に王手がかかりファンが注目している
中、他球団はなぜ、盛り上がりに水をさすのだろうか。プロ野球人気の低迷が叫ばれて
久しいが、これではますますファンはプロ野球から離れていくしかない。いっそのこと、
無味乾燥なアメリカを贔屓にしてしまおうか、とさえ思ってしまう。
 プロ野球に幻滅したのはこれだけではない。球界の盟主である巨人には、ただただ呆
れ返るだけだ。「若い芽を摘んでどうする」と星野監督は嘆いたそうだが、誰もが同じ
ことを思う。古い体質から脱却し、新しい風が吹き始めなければ、どの世界にも未来は
ないはずだ。時代の流れに逆行している。星野監督の引き際の美しさについて、読売の
真っ黒なヒヒに尋ねてみたいものだ。
 タイミングと世代交代。今年のプロ野球界には、この両方をベストな方法で成し遂げ
た球団はなかっただろう。ボビーズはといえば・・・。秋合宿での新幹部発表、そして、
来たる納会での幹部交代。例年通り最適なタイミングで次期幹部が紹介された。あとは、
どのように世代交代がなされるかである。ただ単に幹部のメンバーが変わるだけなのか。
それとも、新しい風が吹き荒れるのか。球界の盟主とともに、KTCの盟主も気にかかる。


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