全国各地で、若者たちによる野宿者襲撃が多発しています。
 こうした事態の背景には、社会の「敗者」として野宿者を蔑視し、排斥する日本社会があります。「能力主義」、「競争主義」に基づき国家や企業にとって「能力のないもの」、「働けないもの」は差別・選別され排除されていくのです。そこでは、「違い」や「弱さ」は認められず、「異質なもの」として切り捨てられています。そして学校教育においても、国家や企業にとって「有益な人材」を作り出すため、差別・選別が行われているのです。
 それから北村さんが著書で示すように、若者による野宿者の襲撃の中には、学校から排除された子ども達が、同じように社会から排除された野宿者達を襲撃しているという構図が存在しているのも事実です。つまり、今の社会のなかでは排除の連鎖が起こっていると言えるのではないでしょうか。
 よって、この連鎖を断つためにも、野宿者と襲撃者(学校から排除された子ども達)両方を作り出している学校教育やその背後にある競争社会を批判していく必要があるのではないでしょうか。
 また、野宿者への差別を煽るような報道を行う一方で、事件が起これば自らの責任を棚上げにし、センセーショナルに若者の凶悪さだけを書きたてるマスコミ報道についても批判的にみていく必要があると思います。
 今回、講師としてお招きするルポライターの北村年子さんは、「競争社会」に排除された、野宿者や、若者と接し、著書において競争社会の問題点を告発され、また、彼らを支援されてきました。北村さんには、自らが取材された、九五年の道頓堀での野宿者襲撃事件を切り口としながら、その事件を報道するマスコミの姿勢の問題点なども含めて、人々を差別・選別し、排除する競争社会について批判する話をしていただきます。